2022 Autumn

解説の”まるさん”執筆レポート「極天竜鳴」環境まとめ【RAGE Shadowverse 2022 Autumn】

Shadowverseが6周年を迎えてから最初のRAGE予選は、カード能力変更から10日あまりの準備期間で行われる短期決戦となりました。デッキ登録期間も本日までとなりましたが、大会参加者のみなさんは納得のいくデッキ選択ができたでしょうか。

本レポートでは、カード能力変更後の主要デッキと、それぞれにおける注目の採用カードをご紹介します。まだデッキが決まり切っていない、あるいはデッキ構成の細部で悩んでいるといった方の判断の一助となれば幸いです。

秘術ウィッチ

RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 22-23 2nd Season 予選 ローテーショングループB 1位通過 福岡ソフトバンクホークスゲーミング所属 MURA選手の秘術ウィッチ

先日行われたプロツアーにて、ローテーション選手16名中14名が使用したことで大きな反響を呼んだのが秘術ウィッチです。
「極天竜鳴」で追加された《遥かなる叡智・レヴィ》や《工房の錬金術師・ノノ》は盤面・ダメージレースの両面にアプローチできる強力なフォロワーたちで、《記憶の軌跡》のローテーション落ちで小回りの利く回復手段が減った環境において、ひときわ強い存在感を放っています。

長所

選択・切り替え可能なリーサルプラン

秘術ウィッチの大きな特徴は、デッキの大半をドローソースかダメージソースで構成していることです。
どちらにも絡まないカードは多くの場合《ストーンバレット》《強欲の魔女》くらいなもので、犬も歩けばダメージソースに当たります。
そのため、多少ダメージソースを使ってしまってからでもワンショットに必要な打点は十分に回収可能で、継続して打点を出していく分割リーサルプランと、20点前後の打点を一息に叩き込むワンショットリーサルプランとを柔軟に切り替えてゲームを進めることができます。とはいえ、どっちつかずのプレイが続けばPP・手札・スタックといった各種リソースを無闇に消費してしまうのも事実。
マッチアップや自身の手札を見て、「相手の守護や回復をどの程度見積もるか」「リーサルターンに《スペリオルコントラクター》は通せるのか」などの判断基準を持っておくことが大切かもしれません。

短所

盤面依存度が高い

ダメージ面で非常に強力なカードがそろう秘術ウィッチですが、一方でそれらを十全に機能させるには盤面の条件が必要です。
《大地の魔拳》であれば「相手の場に選択可能なフォロワーがいること」、
《スペリオルコントラクター》であれば「相手の場に守護がいない、あるいはいても突破可能な手札・コストの見立てが立つこと」など。
特に《スペリオルコントラクター》は場を2つ埋めるため、元々スタックで1面埋まっていることと相まって、バーストダメージによるリーサルを目指す場合には場のスペースを確保する工夫が必要です。
バウンスやフォロワーの破壊、複数守護の設置や攻撃不可効果による盤面ロックなど、相手プレイヤーの選択によって目先の打点が大きく変動するため、詰めが近いほどシビアな打点計算が求められます。

構築の変化

《大地の魔拳》や《一世の探究》の枚数等、好みに合わせた細かな調整が可能な秘術ウィッチですが、中でもデッキ非公開制のRAGEにおいて大きなインパクトを持ちうる枠は、やはり《プレデターゴーレム》でしょう。

コストを落としきるのには労力がかかりますが、秘術ウィッチが苦手とする守護に対してアプローチが増えるほか、本体のサイズが十分に武器となるため、回復の豊富な対コントロールデッキ戦などで盤面からプレッシャーをかけていく役割を担います。
《工房の錬金術師・ノノ》や《アストラルシャーマン・ライリー》と合わせた一斉展開であれば、コントロールデッキに限らず、幅広いデッキに対して要求値の高い処理を迫ることができるでしょう。
単体でのダメージ性能は控えめなため、自盤面にターンをまたいでフォロワーを生存させて初めてその真価を発揮できると言え、使いどころを選ぶフォロワーですが、うまく決まった際の破壊力は抜群です。
逆に秘術ウィッチを相手取る場合にも、除去札の温存や盤面に3体以上のフォロワーを残さない意識など、《プレデターゴーレム》を念頭に置くか否かでケア範囲が大きく変わる側面があり、戦いを大きく左右する可能性があると言えるでしょう。

フラム=グラスネクロマンサー

RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 22-23 2nd Season 予選 ローテーショングループB 2位通過 GXG所属 拓海選手のフラム=グラスネクロマンサー

続いては、《双極の生命・フラム=グラス》のカード能力変更を受け、いっときほどの爆発力こそ失ったものの、変わらない盤面制圧力と豊富なドロー・打点への人気が根強いフラム=グラスネクロマンサーについて見ていきましょう。

前環境からの変化点

「Edge of Paradise / 天象の楽土」環境からあまり大きく姿を変えていないデッキですが、その性質には少なくない変化が見られます。

回復量の減少

《記憶の軌跡》ローテーション落ちの影響で、単純合計で平均9点分の回復を失っています。《干絶の飢餓・ギルネリーゼ》や《天使の恩寵》は引き続き採用されていますが、いずれもEPや盤面といった対戦相手のアクションに依存する要素を含んだカードのため、回復行動そのものに対して以前よりかなりケアされやすくなった点には注意が必要でしょう。
これによって攻め手の豊富なデッキとのマッチアップでは受けきりが困難になっており、秘術ウィッチなどに手を焼くシーンも散見されます。

打点の増加

新カード《霊魂の統率》の採用により、ドローとダメージの両立が可能になりました。
自盤面を破壊するカードの追加投入は相手のドレインケアでもあるため、間接的にデッキの攻撃性能を上げている側面も存在します。
ただし、《双極の生命・フラム=グラス》のカード能力変更により、バーストダメージの平均は少しばかり落ちており、2ターンに分割してのリーサル等も柔軟に検討する必要があるでしょう。


主に上記2点、まとめれば「長期戦や防御的な立ち振る舞いへの適性を落とした代わりに、より攻撃的になった」という変化があり、デッキの採用カードたちもその特徴に即した選択が多く見られるようになってきました。

既存カードたちの採用傾向

多くの場合新カードの起用は《霊魂の統率》のみですが、このカードとの組み合わせや環境との相性を踏まえ、既存カードの採用傾向には変化が見られます。

上記のように多くのカードの採用枚数が見直される動きにありますが、並べてみれば単独のものではなく、特定の採用カードの増減を前提に調整されていることは一目瞭然です。
こうしたシナジー単位での細かな枚数変化にはカードゲームの妙味も感じさせられますが、競技的に重要なのは「盤面にフォロワーが残る(残す)」タイミングの見極めが以前よりも遥かに大きな価値を持つ点でしょう。
前環境でも場を空にしてターンを渡すというテクニックは頻出でしたが、ここまでで見てきた「回復量減少とそれに伴う《干絶の飢餓・ギルネリーゼ》の価値向上」「《カースメーカー・スージー》と《スケルトンレイダー》の採用率上昇傾向」を踏まえると、場にいるフォロワーの数はそのままネクロマンサー側ができるアクションの幅に繋がってくると言えそうです。

コントロールエルフ

RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 22-23 2nd Season 予選 ローテーショングループB 3位通過 auデトネーション所属 ユーリ選手のコントロールエルフ

豊富な体力回復と《アルティメットバハムート》の相手デッキ消失効果により、ライブラリアウトでの粘り勝ちを目指すのがコントロールエルフです。

長所

守護フォロワーも多く、疾走フォロワーによるリーサルに一定の耐性がある

持ち前の回復力の陰に隠れてあまり目立ちませんが、実は守護フォロワーが少なからず投入されています。
しかも《マスターコック》や《ユピテル》はバウンスする価値も高いため、相手からのリーサルがなさそうなターンで無理なくプレイ・バウンスをして手札に守護を抱えておくことができます。
《ブロッサムルナール》も大型の守護を複数展開するアクションを得意とするため、使い方次第で相手のリーサルをかわしながら《アルティメットバハムート》到着まで十分な耐久が可能となります。

短所

コンボデッキへのプレッシャーは弱い

体力上限を引き上げることができるとはいえ、やはり20点オーバーのバーストダメージには苦しめられることが多いでしょう。
となれば、盤面なりダメージレースなりで、コンボパーツを回収する相手の動きに待ったをかけたいところですが、いかんせん相手の体力を削りきることを念頭に置いていないデッキのため、相手にかけられるプレッシャーが弱く、大量ドローなどを許してしまいやすい課題が存在します。
バーストダメージの上限が高いデッキとのマッチアップでは、中盤戦での盤面・体力維持の優先度を落としてでも《アルティメットバハムート》の早期直接召喚を目指し、デッキ消失効果による相手のコンボパーツ欠損への時間的プレッシャーをかけていく必要があるでしょう。

構築による個性

ここまでコントロールエルフのフィニッシャーを《アルティメットバハムート》という前提で説明してきましたが、先日のプロツアーでは《ジャーニーゴブリン》や《螺旋角の巨象》を起用し、バーストダメージで相手の体力を削りきるタイプのコントロールエルフも活躍を見せました。

また、直近では新カード《紅葉のリーフマン》で場のフォロワーを保護することで、盤面から相手にプレッシャーをかけていくような構築も見受けられます。

《凍土の女王・ピアシィ》のエンハンス + 《ブロッサムルナール》の組み合わせと非常に相性がよく、バウンスして複数ターンの使い回しが可能なことから、苦手なスペルウィッチなどへの対抗策として選択されることがあるようです。
今環境から台頭を始めた新しいデッキであり、まだまだ構築内容も固まりきらないコントロールエルフ。
採用候補となるカードにはアンテナをはっておき、自ら使用する場合には柔軟な採用カード選択を、相手に使用された場合にはどのようなカードが出てきても落ち着いた対処をできるようにしておきたいものです。

宴楽ヴァンパイア

RAGE SHADOWVERSE PRO TOUR 22-23 2nd Season 予選 ローテーショングループA 1位通過 横浜F・マリノス所属 水煮選手の宴楽ヴァンパイア

トップシェアのデッキ群において、前環境ほどの回復力が見られなくなったことで台頭してきたのが宴楽ヴァンパイアです。
ローテーション落ちの影響も基本的に受けておらず、カードプール拡大の恩恵を全面的に受けているデッキでもあります。

前環境からの変更点

手札枚数の調整力向上

新カード《紅き血の女王・ヴァンピィ》から手に入る《眷属への贈り物》は手札の枚数をコントロールする上で大きな役割を果たします。
相手の場に強制的にフォロワーを出すことで《ルームサービスデビル》や《銀釘の射手》をアクティブにできることはもちろん、《紅き血の女王・ヴァンピィ》自身が瞬間的には手札が減らないフォロワーのため、手札が細い際に盤面展開しつつも続くアクションで捨てる手札を手元に残せるなど、「中盤以降で手札が細く、コストを使い切れない」といった従前の課題にも改善が見られます。

構築の変化

前環境から大幅な構築の変化はありませんが、1コストフォロワーや《パルクールウルフ》などの採用枚数を減らし、《ブラッディスラッシュ》のようなバーンカードが追加投入される傾向にあります。

ブラッディスラッシュは手札から捨てた際にダメージを出せるため打点効率がよく、《紅き血の女王・ヴァンピィ》の登場で手札を捨てる行為の安定性が向上したことによって、事故率を抑えたままデッキへの起用が可能になっているカードです。
また、あまり積極的に狙う展開でこそありませんが、盤面展開を武器とするデッキが環境に少ないため、4コスト払ってダメージレースを仕掛ける運用が問題ない場面もちらほらと訪れます。
回復の豊富なマッチアップにおける本体プレイは、打点効率の観点から多くの場合悪手となりますので、事前にどのマッチアップのどういった状況下で本体プレイが有効打になりうるか整理しておくことで、手札の捨て方にも選択肢が生まれるかもしれません。

 激戦の幕開け

ここまで主に、能力変更後の環境でとりわけ高シェアのデッキをご紹介しましたが、スペルウィッチや人形ネメシス、共鳴ネメシスなど、数は多くないながらも活躍を見せているデッキがまだまだ存在します。
短期決戦でありながらBO3の採用候補となるデッキが多数ある非常に難しい環境ですが、それだけに構築・プレイともに他プレイヤーとの差別化をしやすい環境だとも言えます。

複雑な今環境を制し、新たなるファイナリストが誕生するまであと2日。是非現地、または配信にてその熱気を感じてください。

すべての記事を見る