2024 Summer

解説の”まる”さん執筆レポート【予選大会開幕直前】RAGE Shadowverse 2023 Summer

いよいよ間近に迫った今年最初のオフラインRAGE。
舞台となる「Academy of Ages / 遥かなる学園」は早期からカード能力変更の影響を受けつつも、前環境までとは異なる表情を見せ、多くのプレイヤーを悩ませています。
新カードパックリリースからは1ヵ月近い期間を経て開催される予選大会ですが、いったいどのようなデッキが活躍するのか。
まずは前環境との差を押さえたうえで、現在の競技シーンで多く見られるデッキを中心に見ていきましょう。

環境の特徴

回復とOTKの緩和

前EAA環境を振り返ると、財宝ロイヤルや八獄ウィッチ、スペルウィッチ等OTKを構えるデッキが多数存在しました。
これには大きく「OTKパーツを比較的高い再現度で手元に揃えられる」「環境に回復に長けたデッキが存在し、分割リーサルが安定しない」といった2つの理由が存在したと考えられます。
それに対して今環境では《空絶の簒奪・オクトリス》を失った財宝ロイヤルや、《叡智の神鳥》がローテーション落ちしたスペルウィッチなどが鳴りを潜めたことで、全体としてOTKに秀でたデッキが減少しています。
また、長きにわたって様々なデッキを下支えしてきた《干絶の飢餓・ギルネリーゼ》もついに一線を退き、カードプール単位で回復力が落ちたとも言えるでしょう。

分割リーサルというよりビートダウン

上記の変化を受け、現在の競技環境は継続してダメージを蓄積して押し切る、いわゆるビートダウン型のデッキが活躍しやすい状況となっています。
ターンをまたいでの攻勢という点では分割リーサルに通じるものがありますが、主に連続した2〜3ターンにダメージを集約する前提でゲームを組み立てる分割リーサルとは異なり、押せる時に押し、間に体力を詰められない息継ぎのターンが挟まることもある程度許容する性格のデッキが少なくありません。
OTKを武器にするコンボデッキを「ゴールまでの道を作りきってから走り出す」とするなら、ビートダウンは「走りながらその場で先の道を作る」デッキ。
環境全体の回復力低下により、走ってきた道を押し戻されるリスクが減ったことで、序盤から相手にプレッシャーを掛けつつ柔軟に立ち回れるビートダウンの強みを活かしやすい環境になったと言えそうです。

ダメージレースの「押し引き」と、タイミングの読み合い

いくら回復力が衰えたとて、細かくダメージを刻んでくるデッキへの対抗策として回復が有効であることに変わりはありません。
ビートダウン型のデッキが台頭してきた今環境にあって、ほとんどのデッキは何かしらの回復手段を持ちあわせており、一方の攻撃ともう一方の回復との天秤はかなり繊細なバランスで揺れ動きます。
空っぽの皿にいきなり20点が乗せられる展開は極めてまれと言っていいでしょう。そのため「大体○○ターン目からリーサル」といったゲームスピードの見通しがいくらか立てづらくなっており、互いの手札の打点量・回復量の読み合いはもちろんのこと、「回復の行いやすさ」をめぐった盤面争いも頻繁に発生します。
ダメージレースで優位に立つために今優先すべきは手札の改善なのか、盤面の奪取なのか、それとも少しでも体力を詰めておくべきなのか。
1ターンごとに目まぐるしく変わる状況に応じて適切な判断を下す必要がある複雑な環境となっています。

ディスカードドラゴン

《金色の威信・リュミオール》登場以降、何かしらの形で表舞台に立ち続けてきたディスカードドラゴンですが、今環境においても競技環境のトップシェアを誇っています。
早速、今環境におけるその特徴を見ていきましょう。

手に入れたOTK

従前のディスカードドラゴンが1ターンあたりに出せるダメージの総量はおよそ12 ~ 16点といったところで、盤面を吹き飛ばしながら出せるバーストダメージとしては破格ながらも、1ターンで相手の体力を削りきることは構造上不可能でした。
しかし、今環境では手札2枚を捨てられる《竜の創造》を0コストで抱えることが可能になったため、OTKを実現できるようになりました。
複数枚の《竜の創造》を絡めたり、《黒白の乱舞・ノール&ブラン》の疾走も大事にしなければいけないなど、条件達成は容易くはありませんが、いざ《金色の威信・リュミオール》をプレイし始めるタイミングまでは、複数ターンにわたってダメージを刻んでいくゲームプランとOTKの両プランを同時に狙っていくことができるため、対戦相手にとっての脅威度は増したと言えるでしょう。

豊富な回復量

OTKの中核をなす《竜の創造》ですが、フィニッシャー一辺倒かというとそんなことは全くありません。
手札に加わる《リリウムの幼竜》は守護・回復双方の役割を担う取り回しのいいカードで、細かなダメージが重なりやすい今の競技環境にあって頼もしい守りの1枚でもあります。
他にも新カード《竜の真恵》や、環境に合わせて採用が増えた《マーメイドシンガー》など、回復の絡むカードがなんとデッキの半分近いボリュームを占める構築もそう珍しくはありません。
むしろ手札を捨てるギミックを前提とした回復カードが存在する分、現状のドラゴンクラスのデッキとしては、結果的にトップレベルの回復力を備えているほどです。
手札の入れ替えが頻繁に発生するため、ディスカードドラゴンとの対戦においては回復カード切れは望み薄で、攻め込むのであれば、相手の回復ペースを上回るか、回復と盤面処理の両立が困難な状況を押し付けるかが必要となってきます。
このように、今環境のディスカードドラゴンは攻守それぞれの水準が純粋に高まっていると見ていいでしょう。

幅広い採用カード

1試合でデッキのほぼすべてをドローしきるディスカードドラゴンでは、1枚採用のカードにも役割を持たせやすくなっています。
今環境では特に採用カードの個人差が出やすい傾向にあり、それに伴って対戦時のケアも複雑となっているため、注意が必要でしょう。
分かりやすいところでは《インフィニットフレイムドラゴン》の採否があがります。油断していると突然OTKに迫る大ダメージを貰うこともありえるため、対ディスカードドラゴン戦では、体力6以上のフォロワーを自分の盤面に残さないよう心掛けたいところです。
加えて、直前のターンに0コストで《剛爪の看守》をプレイしたり、0コストの《竜の創造》から《リリウムの幼竜》《マーメイドシンガー》を展開することで《インフィニットフレイムドラゴン》進化時のバーンダメージを伸ばすことも可能なため、「攻撃時効果だけケアできていればいいのか?」という疑問は常に頭の片隅に置いておくべきでしょう。

他にも、能力変更を受けてなお起用が見られる《ウーラノス》やPPブーストも睨んだ《キャプテン・ドラグウッド》、細かいところではEP回復を狙う《紅炎の竜爪・エチカ》や序中盤のダメージカットに貢献する《リザードブレス》など、直撃した場合勝敗に影響が出かねないようなカードも、採否およびその枚数にはばらつきがあります。
デッキ非公開制というRAGE予選の場において、ディスカードドラゴンの使用プレイヤーにとってはどんな構築に仕上げるのか、対戦するプレイヤーにとってはどこまでケアするのかという両サイドに悩みの種を振りまくデッキとなりそうです。

復讐ヴァンパイア

「Academy of Ages / 遥かなる学園」から追加となった学園タイプのカードを中心に、復讐状態をコントロールすることで豊富なダメージソースを実現した攻撃的なデッキです。
カード能力変更以降、ひときわ脚光を浴びたデッキタイプですが、直近では僅かながらその勢いを落としつつあります。

絶えないダメージ

このデッキもOTKを決めることはあまり得意としていません。
代わりに《エンペラーフィスト・ガロム》を《逢魔の校長・ヴォルガス》で疾走させる12点コンボを筆頭に、中規模のダメージであれば少数のカードの組み合わせだけで様々に出していくことができます。
特に、必要なカード枚数が少ない点は手札を整える必要性が低いという長所と見ることができます。
ドロー・サーチに時間をかけず早期に攻撃に移れ、かつある程度見切り発車で攻勢に出たとしても、引いてすぐ攻撃に組み込めるようなトップ受けが広いというのは非常に魅力的です。

また《エンペラーフィスト・ガロム》や《紅き血の女王・ヴァンピィ》、《ルームサービスデビル》など、ダメージを捻出しながら盤面優位にも貢献してくれるカードが豊富なため、盤面への対処を迫ることで相手に回復の猶予を与えない動きも可能となっています。
目立ったバーストダメージを持たない復讐ヴァンパイアが、それでも相手の体力をきっちりと削りきれるのはこの特長に支えられている面が少なからずあるでしょう。

一方で復讐状態でなければダメージソースとして機能しないカードも多く、復讐状態に入るタイミングは丁寧に見極める必要があります。
その意味では、盤面対処やダメージソースとしての活用も見込みたい《ルームサービスデビル》《アビスドゥームロード》に関しても、復讐管理という役割をどこまで重視するか、その場の戦況に応じて適切な判断を下せるよう、しっかりと練習しておきたいデッキのひとつです。

限られた回復、使いどころは慎重に

復讐ヴァンパイアは上記の通り、基本的にはダメージと盤面を押し付けて相手に対処させることで有利状況を作り出すコンセプトのため、相手の行動への対処としての意味合いの大きい回復を主眼においたカードがほとんど採用されていません。
そのため、ミラーマッチ等相手からのダメージを軽視できないマッチアップでは、限られた回復をどこで切るのかという問題が発生します。
このデッキをある程度使い慣れたプレイヤー同士での対戦の場合、相手側も復讐ヴァンパイアの回復量が少ないことを織り込んだリーサルを狙ってきやすいため、裏を返せば些細な回復で相手の思惑をくじける可能性も出てきます。

主には《憧れの飛躍・イツルギ》のリーダー付与能力や《大いなる学び舎》の回復効果を頼ることになりますが、1点の回復が勝敗に直結する場面はそこまで多くありません。
ただし、《逢魔の校長・ヴォルガス》によって被ダメージ上限が設けられている場合や、《アビスドゥームロード》の効果でそれ以上の自傷効果を許容できない場合など、1点の回復が大きな意味を持つ状況を自発的に作ることは可能です。
回復手段が少ないからこそ、相手の攻撃をしのぐには絶好の回復タイミングを見極める目と、回復を活かせる状況を自ら作りにいくようなゲームメイクの手腕が問われます。

学園カードの採否に惑う

復讐ヴァンパイアの構築では現在「学園タイプのカードを何枚採用するか」が大きなテーマとなっており、《韋駄天のパシリ・マロン》《エンペラーフィスト・ガロム》《大いなる学び舎》の3種類に絞った構築から、《バッドスクールライフ》や《逢魔の校長・ヴォルガス》まで最大限搭載した構築まで、個々の採用枚数を含め非常に濃淡がある状況です。
種類を絞る構築には《大いなる学び舎》からのサーチ先を直接的なダメージソースに絞りたい狙いが、種類を絞らない構築には《逢魔の校長・ヴォルガス》による復讐管理・疾走付与に期待するものから、《バッドスクールライフ》のリソースとしての性格を求めるものまであり、それぞれに一長一短となっています。
そのため同じデッキタイプでありながら、採用カードによって見据えているゲームスピードにはばらつきがあります。「相手が強引に《大いなる学び舎》を置いてきたら……」「《バッドスクールライフ》が見えたら相手の構築は……」など、一部のカード・プレイから構築の輪郭を読み取り、ケアの判断材料にするというのも今環境の対復讐ヴァンパイア戦では押さえておきたいポイントです。

狂乱ヴァンパイア

《愛絶の姦淫・ヴァーナレク》を失い、流石に厳しいかとの見立ても多かった狂乱ヴァンパイアですが、蓋を開けてみれば依然として強力なデッキとして、競技環境のシェア上位に名を連ねています。
構築に劇的な変化は見られず、ダメージソースを失った格好にもかかわらずと評せる人気ぶり。その背景たる現環境との噛み合いはどのようなところにあるのでしょうか。

許されたロングゲーム

もともと前EAA環境では《愛絶の姦淫・ヴァーナレク》を活かし、中盤から連続攻撃を仕掛ける攻撃的なデッキとしての性格が強かった狂乱ヴァンパイアですが、決して防御的な立ち回りができないわけではありません。
自傷効果の多さから、満額20の体力を保ち続けることこそ難しいですが、回復効果を持つカード自体は非常に豊富で10後半の体力を維持する程度であれば、長いゲームでも十分現実味のある範囲です。
この「長いゲームにおける20を少し割り込む体力」というのが曲者で、EAA環境においてはOTKないしOTKに迫るバーストダメージを8ターン目前後で捻出できるデッキが非常に多かったことから、狂乱ヴァンパイアの防御的な側面が日の目を浴びることはありませんでした。

ところが、今環境ではバーストダメージの被弾頻度が減少したため、ダメージを貰ってからしっかり回復してロングゲームに持ち込むといった戦法も、状況に応じて選択肢に入れられるようになってきました。
ゲームが長引くほどに《羅刹の咎人・ガロダート》の疾走条件達成は容易になりますし、2枚同時プレイによるOTKも見据えられるため、もともとこのデッキとロングゲームの相性は悪くなく、環境変化によってロングゲームが成立しやすくなったことで風向きがよくなったデッキとして捉えることができます。

苦手の克服

明確な弱点というほどではありませんが、前環境で狂乱ヴァンパイアがしばしば頭を痛めたのは相手の守護フォロワーと盤面ロックです。
メインのフィニッシャーを《羅刹の咎人・ガロダート》に頼る都合上、複数枚の守護フォロワーによってリーサルを止められるといったシーンは前環境でしばしば見られました。
今環境では《人狼の女王・ルーナ》によってダメージレースの優位を得ながら、EP消費なしに相手の守護フォロワーをどかして1ターンやり過ごすことができるため、守護の二文字を前に顔をしかめる展開も減っています。
《人狼の女王・ルーナ》自体は前環境からカードプールには存在しましたが、やはり「守護フォロワーをどかしたうえで相手にリーサルを取られず、もう1ターンもらえる可能性が高い」という今環境の背景に合わせてその強みを活かせるようになった形です。
また、《魅惑の狂想曲》で0コストの《デモンディーヴァ》を抱えられるようになったことも大きく、逆に「迂闊に守護フォロワーを立てれば《デモンディーヴァ》の交戦先を提供してしまう」というプレッシャーを相手にかけることも可能になりました。

次に盤面ロックについてですが、やはりこちらへの対策でも《魅惑の狂想曲》の貢献度が高いです。
主に《クイーンズキャッスル》を場に出した際に盤面が《フォレストバット》等小粒のフォロワーで埋まってしまい、相手に盤面ロックの選択肢を与えてしまいます。
今環境においても、ディスカードドラゴンのような回復に長けたデッキであれば、盤面ロックしてPPブーストを進めるような行動は十分に考えられます。
その選択に大きなカウンターとなるのが《魅惑の狂想曲》です。
普段は隙も大きく安易にはプレイできない1枚ですが、盤面ロック下では、残してもらった盤面をしっかりと隙をつぶすアドバンテージとして活用できます。
《魅惑の狂想曲》自体は、やはりその隙の大きさから採用枚数が膨らみづらいカードではありますが、このように刺さるとゲームの行方に直結しかねない凶悪さを秘めているため、カードプールに存在するだけで対戦相手の盤面ロックを牽制してくれる頼もしい1枚となっています。

フェアリーエルフ

ドラゴン、ヴァンパイアに次いでシェアの大きいフェアリーエルフは、EAA環境後期の進化エルフの面影を残しつつ、手札に応じてアグロからOTKまでより変幻自在の攻撃を見せるようになっています。
流石エルフと言うべきか、今環境のデッキの中で最もコンボ色の強い構築のフェアリーエルフについて、その特徴を見ていきましょう。

圧倒的可動域

フェアリーエルフはその名の通り《フェアリー》を集めて戦うデッキですが、過去のエルフデッキと比較すると《フェアリー》の役割が多岐に渡ります。
多くのエルフデッキに共通する、ダメージソースやプレイ数要員としての役割はもちろん、《カッティングキャット》や《幻想の使役者・フィリィ》の存在によって、回復やドローの働きもこなすようになりました。
またひと口にダメージソースと言っても、小さなダメージを積み重ねる従来のあり方から、《緑の顕現》を介してOTKの一端を担う場合まで、その活用方法は様々です。
そのため、《フェアリー》の供給・温存・放出といった管理全般がゲームに及ぼす影響度はいつになく高く、ゲーム序盤から先の展開を意識し続ける必要のある気難しいデッキとなっています。

とはいえ、《フェアリー》の供給にはフォロワー展開を伴いやすいため、序盤は積極的に盤面を横に広げて相手の体力を狙うアグロムーブが肯定される場面も多く、そのまま《黒百合の女王・ノワリス》等につなげて押し切れることもしばしばあるのがこのデッキの魅力でもあります。
シンプルな勝ち筋はそれとして享受しつつも、序中盤で押し切れないゲームをプラン変更してOTKまで繋ぎなおせるよう《フェアリー》の運用をシビアに見極める姿勢が求められる、「入口が広く奥が深い」デッキだと言えるかもしれません。

構築の幅も変幻自在

フェアリーエルフは現在に至るまで様々な構築の形が試されており、まだ定型的なリストには落ち着いていない状況です。
そのため、使用者にとっては自身のプレイスタイルも加味して適切な構築を選択する必要がありますし、フェアリーエルフを相手どるプレイヤーにとっては、出てきたカードをもとに相手が得とするゲームスピードを推し量る必要があります。
例えば《幻想の使役者・フィリィ》と《ワンダードリーム・アリス》の採否について。コストの大きさを鑑みてどちらか一方のみを3枚採用するケースもあれば、枚数を散らしている構築も散見されます。
《幻想の使役者・フィリィ》は比較的早いターンからフルスペックを発揮できる可能性がある一方で、《ワンダードリーム・アリス》はより少ないコストで疾走やドローを実現するため小回りが利く等、それぞれに長所・短所があり、どちらを採用するかによってゲームの組み立て方は大きく異なります。

他にもゲーム後半のコンボ性能を大きく向上する《聖緑の輝き・カーバンクル》や、0コストの《フェアリー》で《幻想の使役者・フィリィ》のコンボ達成をアシストする《奮励のプリンセス・メリオーネ》、序盤のアグロ性能に直結する《アネモネタイガー》など、採否及びその枚数に個人差が出るカードの多くはゲームスピードとも密接にかかわっています。
フェアリーエルフを使うにせよ使わないにせよ、構築のバリエーションと、それぞれが得意とするゲームスピードを正しく理解しておくことは、今回のRAGE予選においても重要なポイントとなるかもしれません。

ヒーローロイヤル

長く不遇にくすぶっていた《ブレイズフレア・マーズ》が度重なる能力変更の末、ついに競技環境の一角に躍り込みました。
《ブレイズフレア・マーズ》を大前提としたデッキではありますが、ダメージソースとしてヒーローカード群の活躍も見逃せないため、ここではゲーム内「大会上位デッキ紹介」の表記に則り、ヒーローロイヤルと称します。

ヒーローは遅れてやってくる?

このデッキのヒーローフォロワーは比較的、助けが欲しいときにいてくれることが多いです。
《ブレイズフレア・マーズ》のサーチ率を高く保つ都合上1枚採用が一般的な《ヴァリアントフェンサー》ですが、《ジャスティスシーフ・カッツェ》からの確定サーチはもちろん、ゲーム後半には《愚直なる研磨・トニー》からのサーチ率も上がるデザインとなっており、7ターン目には高い再現率で手札に存在するカードでもあります。
そして《ヴァリアントフェンサー》とのコンボを狙いたい各種ヒーローカードですが、《炎将の二槍》のおかげで単純な盤面処理であればあらゆるフォロワーが担えるため温存が比較的容易とあって、こちらも狙って動けば7ターン目には手札に揃い踏みの状況を作りやすくなっています。
裏を返せば早期に引いたヒーローカードを随時プレイしていくのか、7ターン目まで温存するのかは選択肢であり、状況に応じてヒーローカード投入のタイミングを調整することが重要となります。
例えば《鉄壁のガードナー》は序盤で見えていれば、《フレイムソルジャー》や《マッハナイト》とのシナジーを狙って早々にプレイしていくことが視野に入りますが、中盤以降に引き込んだ場合は7ターン目の《ヴァリアントフェンサー》進化とのセットで強固な守護とすることを狙うのも手と言えるでしょう。

粘り強く攻める

ヒーローロイヤルは《ブレイズフレア・マーズ》の特性上、デッキの全フォロワーがダメージソースと言っても過言ではありませんが、1体あたりのダメージ量は微々たるものなので、7ターン目の《ヴァリアントフェンサー》からなる一斉展開を除けば、小さなダメージを絶やさず積み重ねていく必要があります。
ダメージの捻出自体は強く意識せずとも自ずと達成できるので、課題となりやすいのは単純なリソース不足であったり、主に相手の強いアクションによるダメージレースの逆転であったりします。
リソース不足については、相手の回復が大きなファクターとなるでしょう。
どうしても一度に大ダメージを叩き出すことは得意でないデッキなので、こまめな回復を得意とするデッキに対しては長期戦を強いられることになります。
手札交換時にドローソースを意識したり、ダメージ効率の高い疾走カードは溜めこんで集中的に使うなど、相応の備えをもって長いターンを戦い抜く必要があります。

また、《炎将の二槍》による盤面の狭さに加え、《ヴァリアントフェンサー》以外のフォロワーは強力なコンボとは縁がないため、ゲームが後ろに倒れるにつれ、コンボを搭載した相手デッキに出力負けするリスクが出てきます。
しかし、このデッキに許された攻撃手段はそう多くはなく、ロングゲームになったとしても交戦と疾走によってまっすぐダメージを重ねる他ありません。
そのため、かなり攻撃偏重なデッキにも見えますが、重要なのはターンをもらうこと。ゲーム後半相手に押される展開が増えてきたとしても、《ルミナスヒーラー・リララ》や《ジャーニーゴブリン》等の回復・防御カードの使いどころを冷静に見極め、1ターンでも多く攻撃の時間をもらうことで勝ちきりを目指すデッキとして、粘り強い戦い方にも習熟しておきたいところです。

エントリー締切迫る

今回ご紹介したデッキたちはあくまでも現時点で環境の中心にいるだけで、現在進行形で勢力図は複雑な変化を続けています。
ギリギリまで環境の動静を見極めるべきか、あるいは早く使用デッキを確定させて練習に励むべきか……。
各プレイヤーにとっては悩ましい問題かと思いますが、まずは目の前のエントリーをお忘れなきようお願いします。
現在受付中の二次エントリーですが、間もなく 4 月 16 日(日) 23:59 までで締切となります。

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