2024 Summer

解説の”まる”さん執筆レポート【Day2直前】RAGE Shadowverse 2024 Spring

2024年、幕開けのRAGEは混沌とした環境からのスタートとなりました。
先日のカード能力変更によりマナリアウィッチが姿を消し、代わりに多くのデッキが競技環境に現れました。

今回のRAGEにおいても、Day1 では様々なデッキの組み合わせが登場したことは記憶に新しいでしょう。
そのすべてをこの場で確認することはできませんが、特に人気のデッキを中心に整理しておくことで、多少なりとも視界のクリアな状態で試合に、あるいは観戦に臨むことができるかもしれません。

今回のレポートではいくつかのデッキについて、その特徴や現在の立ち位置、意識したいポイントなどをまとめてみたいと思います。

融合ネクロマンサー

JCG Shadowverse Open 28th Season Vol.6 1月10日 ローテーション大会優勝の融合ネクロマンサー

特徴


【長所】
・リアニメイト先のフォロワーを使い分けることでOTK, コントロールなど複数の勝ち筋を切り替えられる
・膨大なドロー量で常に広く選択肢を持つことができる
【短所】
・融合枚数が不可逆なため、ワンミスでプランが総崩れすることも
・回復量はそれほど多くない

先日のRSPTプレーオフでラストワードネクロマンサーが猛威を振るった傍ら、並行して開発が進んでいたのが融合ネクロマンサーです。
《グランドリッチ・ヘリオ》を主軸に、様々な値のリアニメイトを使いこなすことで《デミゴッド・ギルガメッシュ》によるOTKや《カースドキング》乱立によるコントロールプラン、《全死の裁定者》による盤面勝ちなど多彩な勝ち筋を選択することができます。
《グランドリッチ・ヘリオ》で相手の守護を突破しながら《デミゴッド・ギルガメッシュ》を通せる点は非常に強力ですが、逆に《グランドリッチ・ヘリオ》が倒れられなければ頓挫してしまうOTKプランの性質上、マッチアップによって狙っていきたいプランをある程度見据えて動くことが重要視されます。
いずれのプランにせよ、融合枚数の確保さえできれば5~6ターンというスピードで大規模な展開が実現するため、プランの豊富さとゲームスピードの速さを売りにシェアを急激に伸ばしたデッキです。

もうひとつの魅力として、そのドローの豊富さにも触れるべきでしょう。
融合あるいは葬送といった効果はいずれもドローに繋がるため、ターンごとに何枚もドローが重なり、7ターン目まで到達する頃にはもうデッキの残り枚数は1桁といったことも、そう珍しくはありません。
他デッキから頭2つほど抜けたドロー力のため、1~2枚採用のカードに対するアクセスも比較的信頼しやすく、ひとたび引いてしまえば融合やリアニメイトによって何度でも場に出すことができるとあって、デッキ構築の自由度・ゲーム後半のプレイの再現度ともに非常に高いと言えます。

ただし、融合も葬送も追加で手札を消費する選択のため、融合ネクロマンサーは繊細な判断が絶えず続くプレイ難度の高いデッキという性格を持ちます。
特に融合カウントは減らすことができないため、後になって《カースドキング》や《デミゴッド・ギルガメッシュ》をリアニメイトしたくても、カウントがそれを許してくれないといった展開に陥らないよう注意が必要です。
融合や葬送の対象とするフォロワーの種類や《万死の否定者》への融合する種類の管理等、ひとつひとつは少し注意すればミスなくできることでも、限られた時間の中で多方面同時にケアしなくてはならない場面が頻繁に訪れるこのデッキでは、プレイの大きな負荷となりえるでしょう。

また、《グランドリッチ・ヘリオ》や《ソウルライト》など盤面除去のパフォーマンスが比較的高い融合ネクロマンサーですが、リーダーの体力を回復できる手段はそれほど多くありません。
丁寧な除去やゲーム後半の強力な守護フォロワーによって体力を守ることを意識したいですが、バーンダメージを防ぎきることはできないため、積極的に削ってくるデッキに対して後手に回りすぎないようにも注意が必要です。

環境における立ち位置

複数存在する勝ち筋を適切に使いこなせるのであれば、マッチアップを選ばないデッキとして一定の信頼を寄せられるでしょう。
各マッチアップで目指すべきゲームスピードや取るべきプランについて十分に理解したうえで選択したいデッキです。
また、上述の通りバーンダメージに対する耐性はあまり高くないため、今後の環境の動き方次第ではもう少し肩身が狭くなる可能性も考えられます。

意識したいポイント

なんといっても融合・葬送対象のカード選択でしょう。
非常に多くの判断軸があり、1枚の判断ミスがそのままゲームプランの崩壊に直結しやすいため、注意が必要です。
例えば葬送ではフォロワーしか選択できない都合上、仮に融合時にはスペルを優先的に対象とするといった基本方針を取ったとして、《転生の毒林檎》はリアニメイトの回数に、《枕元の不吉》や各種葬送カードは《全死の裁定者》のサイズアップに影響するため、安易に序盤から融合してしまってもいいのかという問題。
いくらドローが多いデッキとはいえ、5ターン目あたりでは総ドロー数にも限界があります。
そのため、悠長に構えている余裕がないマッチアップでは、手札と相談しながら一部のスペルを融合せず手札に残しておくような展開がしばしば見られるでしょう。

また、ターン内のドローが非常に多いため、ドローを見てプレイ方針が変わることも念頭に置きたいところです。
他のデッキに比べターン内の初動は早めを心掛ける、相手のターン中にトップ受けによるプレイの変化パターンを想定しておくなど、時間管理の意識を高く持つことで、時間切れに涙を飲むリスクを下げられるかもしれません。

ラストワードネクロマンサー

RSPT PLAYOFF AXIZ使用のラストワードネクロマンサー

特徴


【長所】
・勝ち筋としてOTK, 分割リーサルの両睨みが可能
・序盤から細かい打点・回復が豊富
【短所】
・ラストワードカウント10達成までは決定力不足
・消滅やダメージカットなどにより対策されやすい


今環境のラストワードネクロマンサーの大きな特徴は、ゲーム終盤に《闇色の童話・ダークアリス》がダメージソースとして場に残り続けることです。他のデッキでは、同じフォロワーが複数ターンにわたって攻撃を行えることはあまり多くありませんが、ラストワードネクロマンサーの場合、特に意識せずとも5点刻みのダメージを継続して見込めます。
半自動的に分割リーサルのような立ち回りが実現するといってもいいでしょう。一方で、結晶のカウントダウンをうまくコントロールすることができれば、5×4を基本としたOTKも十分に実現可能です。
多くのデッキではひとたび分割リーサルに舵を切れば、限りあるダメージソースを消費していくことになるため、あとからOTKプランに切り替えることは非常に難しくなります。
ところがラストワードネクロマンサーの場合、いつまでも盤面にダメージソースが残り続けるため、OTKパーツが揃うのを待たずに攻め始めても、パーツを後引きしたところからシームレスにOTKに繋げられる点が非常に強力です。

ゲーム序盤から攻守のバランスが取れている点も強みと言っていいでしょう。
《イビルエクスポーザー》や《セイントギャル・アルディス》、《晴天のアマテラス》といった少量の回復を担うカードが点在しているため、回復カードの温存を強く意識せずとも体力を高く保ちやすいデッキ構成となっています。
これは攻撃面においても同様で、広い盤面展開を足場とした削りや、《荒天のツクヨミ》によるダメージはラストワードカウントを稼ぐゲーム展開の中で自然と実現するものです。
このように、特別ゲームプランを歪めないまま削りと回復を両立できるため、対策の薄いマッチアップにも一定の耐性が備わっていると評価できます。様々なデッキが入り乱れる環境ほど活躍の場が多いといえそうです。

先述の通り《闇色の童話・ダークアリス》の場残りの良さを存分に発揮できるデッキですが、裏を返せばリーサルを《闇色の童話・ダークアリス》に依存してしまっているため、欠点も少なくありません。
例えばラストワードカウントが10を数えなければ疾走ができないということで、やや盤面ロック気味に進行されるケースはよく目にすることでしょう。
他にもリーサルパターンが疾走フォロワーの波状攻撃に限られるため、守護やダメージカットの影響も大きいです。

環境における立ち位置

上記の強みを活かし、逆に弱みを突かれにくいフィールドは「BO3の選択肢となるデッキが多い環境」です。
相手側はマッチアップの種類が多いために対ラストワードネクロマンサーに特化したカードの採用が難しい反面、ラストワードネクロマンサー側は持ち前のダメージ性能・回復性能によって、特別な対策を講じずとも、多彩なデッキに対してある程度の安定感を維持して戦うことができます。
逆にラストワードネクロマンサーが多数派となることが明確な環境では、ピンポイントで対策されてしまい真価を発揮できないことが予想されるため、ラストワードネクロマンサー自体のシェアを適切に見積もることがこのデッキの活躍の鍵でもあります。
現在は先述の融合ネクロマンサー台頭によってクラスを同じくするラストワードネクロマンサーのBO3でのシェアが低下してきた状況のため、対策されにくくなったと見るか、逆にここからのラストワードネクロマンサー再増加を読まれてRAGE時点では対策されてしまうと見るか、読みづらい立ち位置だといえそうです。

意識したいポイント

ゲーム終盤、《結晶:闇色の童話・ダークアリス》のカウントダウンをどうコントロールするかでOTKの成功率が大きく変わってきます。
例えば相手の盤面に守護フォロワーが立ちにくいのであれば、ターン開始時にカウントダウンが0となるよう調整しておくことでコストの無駄ない攻撃が可能ですが、多くの守護が並ぶマッチアップでは《勅令の咎人・イステンデッド》からスタートしたいこともしばしばあるでしょう。
この場合は《闇色の童話・ダークアリス》はまだ結晶でいてくれた方が都合がいいケースもあり、前のターンからニュートラルカードのプレイ枚数に細心の注意を払う必要があります。
《転生の毒林檎》が豊富にあれば、先に付与してから《勅令の咎人・イステンデッド》をプレイする展開も考えておきたいところです。
このように、自分の手札と相手の盤面の状況によって詰め方が変化するデッキのため、次のターン開始時に《結晶:闇色の童話・ダークアリス》にどうなっていてほしいのか、明確なイメージを持って準備を進めることが重要なデッキとなります。

カステルエルフ

RSPT PLAYOFF よしもとゲーミング使用のカステルエルフ


【長所】
・OTK, 分割リーサル, 盤面勝ちなど取りえるプランが幅広い
・豊富なバウンスカードにより、安定してカウントを稼ぐことができる
【短所】
・手札消費が激しく安定しにくい
・除去能力に限界があり、純粋な物量で盤面を押された場合に守りづらい

前環境では最終的にマガチヨエルフに大きく水をあけられたカステルエルフ。
今環境では依然マガチヨエルフも活躍していますが、カステルエルフもしっかりと復権を果たしたといえるでしょう。
その大きな支えとなっているのが《シャインクリスタリア・リリィ》の存在です。比較的シェアの大きいネクロマンサーデッキ2種類がいずれも、ゲームプランのうちに疾走フォロワーの一斉攻撃を含んでいることから、大幅なダメージカットを狙える1枚として重宝されています。
さらにカステルエルフの場合は《緑の顕現》によって破壊効果を受け付けない守護フォロワーで盤面を固めることができ、《勅令の咎人・イステンデッド》を擁するラストワードネクロマンサーに対して万全の防御体勢を取れる点も大きな魅力です。
あくまでメインの勝ち筋である「場から離れたエルフフォロワー」の20カウント達成を目指す中で、こうした対ネクロマンサー色の強いカードや立ち回りを無理なく採用できることが現環境におけるカステルエルフの高評価に繋がっています。
20カウントの達成は7ターン目前後で達成され、そこからはOTKはもちろん、疾走フォロワーが足りていなくとも《緑の顕現》連打による巨大盤面の押しつけや、疾走フォロワー・《新緑の新入生・カステル》をバウンスして分割リーサルを狙うプランなど、マッチアップによって様々な戦い方を使い分けることができます。

こうしたカウント達成を境にデッキの出力が跳ね上がるデッキはえてして、盤面ロック等でカウントの進行を遅らせられる展開に苦しみますが、カステルエルフの場合は豊富なバウンスカードや《繁栄の撒き手》によって盤面のスペースを確保しやすく、安定してカウントを稼ぎやすい特徴を持ちます。
実際には手札に十分な量のバウンスカードがない場合であっても、対戦相手目線ではバウンスカードでロックを解消されてしまえばむざむざ多くのダメージを許してしまうだけになりかねないことから、単純に盤面ロックを仕掛けられる頻度自体が低くなりやすいのも、このデッキのカウント達成を後押ししてくれます。

上記の強みを抱える一方で、デッキの大半を1コストのカードが占める都合上、ドローソースにありつけなかった場合の手札の消耗は極めて激しくなります。
特に2ドローを担うカードは多くの場合《繫栄の撒き手》と《ツインシスター・アスカ&シオリ》に限られるため、破壊してしまっても問題ないフォロワーの確保やEPの温存はトップドローによる両者の受けを踏まえ、常に頭の片隅においておきたいところです。

また、主に進化可能ターンから20カウント達成前までの中盤戦において、相手の盤面が強力になると対処に窮する可能性があることもこのデッキの難しい点だといえます。
《新芽の風・メイ》・《シャインクリスタリア・リリィ》と全体・単体双方に対処可能なカードは採用されていますが、《緑の顕現》1枚が3~12点になるこのデッキでは、バウンスカードの使い道には慎重にならざるをえず、除去を担うカードをバウンスする余裕があるかはシビアなところです。
このことに加え、通常《反転する翼》や《ドゥルガー》の採用がない分、相対的にマガチヨエルフよりも中盤の除去に手を焼きやすい傾向にあることは押さえておきましょう。

環境における立ち位置

先述の通り、標準的なデッキ構築のままラストワードネクロマンサーに対して強気に出られることから、その母数によってパフォーマンスがある程度左右されます。
マッチアップによらず一貫した勝ち筋も持ちあわせているため、ラストワードネクロマンサー不在によって一気に勝率が落ち込むということも考えにくいですが、十全の活躍を期待するのであれば、やはりネクロマンサーの使用率分布をしっかりと読んだうえで採用したいデッキと言えるでしょう。

意識したいポイント

前環境と同様、まずは基本形として「5コスト・5枚」のOTKパターンを押さえておきましょう。
2023 Winter 予選直前レポートの焼き直しになってしまいますが、「1コスト疾走フォロワーと《緑の顕現》で合計5枚」「リーサルターンのバウンスは1枚にカウントできない」あたりを念頭にカウントの進行とパーツの回収を進めることで、ひとまずのOTKは準備可能です。
実際には序中盤の削りや相手の守護フォロワー、《アネモネタイガー》《サルビアパンサー》といった2コスト以上の疾走フォロワーが絡んでリーサルの要求値が上下します。
特に今環境では大型の守護が並びやすいため、疾走を持たないフォロワーに進化を切って守護を突破するリーサルパターンを重点的に整理しておけるといいかもしれません。

回復ビショップ

RSPT PLAYOFF DetonatioN FocusMe使用の回復ビショップ


【長所】
・ゲーム中盤のうちから盤面制圧による勝ち筋を目指せる
・豊富な回復により、相手の分割リーサルを阻止しやすい
【短所】
・OTKを決めるハードルは高い

前環境から継続して存在感を放っている回復ビショップ。
《神託の旅立ち・ジャンヌ》による詰めのアクションもさることながら、4~6ターン目の分厚い盤面がその強みの一つです。
雪だるま式に盤面が強化されていくため常に対戦相手に処理を強いることができ、相手を楽に自身の勝ち筋を進められない状況に追い込むことができます。
相手が処理しきれなければそのまま盤面を強化して押し切り、対処されきったとしても《神託の旅立ち・ジャンヌ》でダメ押しをする二段構えの攻撃は、7ターン目を目安に強力な動きを繰り出そうとするデッキが多い今環境にあって、機先を制していけるメリットを有します。

また、回復量が安定しているのも嬉しい点です。
現在の環境ではOTKを狙えるものの、早期から細かいダメージをばらまいておくことでリーサルの要求値を下げるようなデッキが多いため、こまめな回復で体力を常に20近辺に保つことで、結果的に相手のリーサルターンを後ろに倒せる可能性が上昇します。
8ターン目までゲームを引き延ばせれば、7・8ターン目と《神託の旅立ち・ジャンヌ》を重ねて分割リーサルを達成することはそう難しくないでしょう。
これら2点の強みは「相手のリーサルに向けた準備の制限」「相手のリーサルの取り方自体の制限」であり、特定のマッチアップでのみ有効といったものではないため、幅広い戦いでのパフォーマンスの安定に繋がります。

上記の強みに加えて前環境から続くデッキであるため、一見して非常に使い勝手がよさそうですが、《祈願の聖遺物》がローテーション落ちした点は変更点として注意が必要です。
1ターン当たりのバフの乗り方はどうしても控えめになってしまうため、回復ビショップでOTKを狙うことは比較的難しくなったといえるでしょう。
前環境までであれば実際の採否はともかく、《祈願の聖遺物》が採用されている可能性があるとして警戒されていたバーストダメージも、現在ではそもそもカードプールに存在しないからとケアの優先度を落とされやすい状況にあります。
唐突に大ダメージをたたき出すことが難しい分、潜伏フォロワーが確実に場残りするようバフ量を調整するなど、相手へのプレッシャーを弱めない立ち回りを心掛けたいところです。

環境における立ち位置

自身のOTKが難しい分、潜伏フォロワーの通りやすさで環境内の立ち位置が変わってきます。
例えばラストワードネクロマンサーが多い環境では、《勅令の咎人・イステンデッド》に盤面を一掃されてしまうことが懸念されます。ランプドラゴンの大規模全体除去についても、耐えきれるかは状況によるでしょう。
一方で、前環境で散見された《漆黒の使徒》はデッキの選択肢が広がった現状、回復ビショップ狙い撃ちで採用されるケースが減少しています。
潜伏フォロワーへの対抗手段を有するデッキがどの程度存在するか、RAGE予選時点での環境を正しく見極めて使用を決定したいデッキだといえそうです。

意識したいポイント

上記の環境読みとも関係しますが、構築・プレイともに潜伏フォロワーにどこまで寄せるのか、その加減について意識が必要です。
潜伏フォロワーに高い信頼を置くのであれば、《病難の女神・セクメト》を採用する、固定ダメージの全体除去に対抗できるようマッチアップごとに維持したいフォロワーの体力水準を整理するといったことが大切となるでしょう。
一方で潜伏フォロワーを過信したくない場合や、盤面の応酬が激しくなりやすいミラーマッチを手厚くしたい場合、《有翼の光明》に優先的に枠を割き、7~8ターン目のリーサルに向けた手札管理を行うといった観点が求められます。

ランプドラゴン

RSPT PLAYOFF よしもとゲーミング使用のランプドラゴン


【長所】
・圧倒的な最大出力
・コストの踏み倒し全般が非常に強力で、多少の事故は後からカバー可能
【短所】
・ランダム要素が非常に豊富

今環境のランプドラゴンはその名にふさわしく、潤沢なPPブーストから大型フォロワーによる豪快な盤面形勢・バーストダメージを繰り出すデッキです。
手札さえかみ合えば、6ターン目にして10PPに到達し、《ヴァニティードラゴン》の効果によって合計28コスト分の動きを実現可能なうえ、《最果ての竜神》のコストカット効果次第では青天井に踏み倒せるコストが増えていきます。
複雑なコンボに頼らずとも一発一発のダメージが重く、純粋な物量で押し切ることも現実的なコンセプトと言えるでしょう。
攻撃・除去・回復のどれをとっても個々のカードパワーに立脚しており、コンボデッキのように特定の1枚さえ対策できれば妨害可能とはいかないため、型にはまれば止まらないタイプのデッキです。

当然、PPブーストが肝となるデッキですので、序盤のPPブーストに失敗した場合には大きな隙ができます。
しかし、《ドラゴンシュライン》から除去カードを確保できることや7コスト帯のドラゴンフォロワーが回復や除去に優れていることから、PP最大値が多少伸び悩んでもある程度の耐久が可能となっています。
そうして10PPまでの時間をどうにか稼ぐことができれば、《ヴァニティードラゴン》などで一気にゲームをひっくり返すことも夢ではありません。
最悪7PP時点で《アブソーブドラゴン》からコストの踏み倒しを狙いに行く動きも可能なため、事故気味な展開となってもある程度まではカバーしやすいのもランプドラゴンの特徴です。

そうはいってもやはりデッキ全体として、ランダム要素が非常に多い点には注意が必要です。
序盤のPPブーストカードの引き込みに始まり、《アブソーブドラゴン》のドロー先や《苦悶の飢餓竜》の割り振り、《挑戦の代価》のロック先など、あらゆる場面でランダム要素がついて回るため、確率に嫌われた際に立ちゆかなくなることは避けなくてはなりません。たとえ9割がた狙いを達成できる選択肢であっても、残り1割のパターンを引いたときにどのようにカバーするかを他のデッキ以上に頻繁に考える必要があるでしょう。

環境における立ち位置

巨大な守護や強力な除去手段を抱えるランプドラゴンは防御面で秀でており、カステルエルフや回復ビショップに対してある程度強気な立ち回りが可能です。
反面、大型の守護が《勅令の咎人・イステンデッド》に一掃され、《闇色の童話・ダークアリス》は結晶のため《苦悶の飢餓竜》の影響を受けにくいといった点から、対ラストワードネクロマンサーではより早いPPブーストから一気に畳みかけていくことが要求されます。
ここまで見てきた他デッキ同様、ラストワードネクロマンサーの母数をどの程度と見積もるかによって、競技環境での評価が上下しそうです。

意識したいポイント

ランダム要素の多さが短所として挙げられるのは事故の温床となるためですが、構築によってカバーする方法はいくつか存在します。
例えばシンプルにPPブーストカードを増やす方法。デッキの枠をとる分序盤の除去の安定か後半の爆発力を犠牲にすることになりますが、10PP到達のスピードアップを図ることができます。
あるいは低コストの除去や回復カードの追加。《最果ての竜神》プレイ以降はデッキから除外されるためデッキの出力を大きく下げることにはならず、序盤にダメージをもらいすぎていると感じる場合、有効な手当てかもしれません。
また、《竜人の魚釣り》や《インフェルノメテオ》を起用すれば《ドラゴンシュライン》の起動安定や、キーカードともいえる《最果ての竜神》《ヴァニティドラゴン》へのアクセス向上なども狙うことができます。
いずれもデッキの限られた枠を安定感向上に使うため、後半戦の出力と多少のトレードオフになる側面は否めませんが、各自がこのデッキに対して感じる課題に応じてデッキをカスタマイズしてみるのもいいでしょう。

上記のアプローチとは別に、そもそもデッキコンセプトをOTKに寄せる選択も存在します。
今回引用させていただいたランプドラゴンのデッキリストは高コスト帯のドラゴンフォロワーを豊富に採用していますが、種類数を絞ることで《最果ての竜神》によるデッキ圧縮以降ダメージソースへのアクセスを飛躍的に向上させられるような構築も可能です。
当然高コストの枚数が減少する分《ドラゴンシュライン》の安定性は落ちますし、《最果ての竜神》にアクセスできなかった際の出力低下は著しいですが、デッキ非公開制において相手の意表を突くリーサルが可能になるというのも一つの魅力でしょう。

群雄割拠の環境、勝者はいかに

今回は以上5デッキのご紹介となりました。
今環境はいつにも増してデッキ候補の多い競技環境となっています。非常に多くのデッキが7ターン目を目途にリーサルや強力なアクションを実現できるため、プレイスタイルに合うか、ミラーマッチをどの程度避けたいか(あるいは戦いたいか)といった周辺要素も加味しながらデッキを選択するのも一つの手でしょう。
来たるDay2の先には既にGRAND FINALSの輪郭が見えています。

未だなお手探りの部分も多い未踏の環境に大きな足跡を残すべく、是非Day2進出者の皆さんは全力で熱い戦いを繰り広げてください。

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