2021 Winter

解説の”まる”さん執筆レポート【GRAND FINALSに向けて】RAGE Shadowverse 2021 Autumn

いよいよ終盤を迎えている「Renascent Chronicles / リナセント・クロニクル」環境。
アディショナルカードではついに各クラスのメインリーダー達が登場し、5周年記念パックに相応しい華やかさを見せています。
そんな節目のカードパックのクライマックスでもあるGRAND FINALSを最大限楽しむにはどうすればいいのか。アディショナルカード追加後の環境のおさらいや、BO5の考え方など、いくつかの視点を整理しながらお伝えしていきます。

アディショナルカード追加後のローテーション環境

ご存じのとおりBO5で争われるGRAND FINALSですが、BO5を前提とした環境の情報はあまり多くありません。そこで、まずはアディショナルカード追加後のBO3環境という身近な切り口から、今シーズンのBO5について考えてみましょう。

今回は母数確保の観点からJCG Shadowverse Openのグループ予選における主要デッキの変化を見てみます。なお、個人的に収集しているデータである旨、ご承知おきください。

 

ロイヤル・ネクロマンサー環境の継続

こうしてみると、現環境においても引き続きラストワードネクロマンサー・撤退コンボロイヤルの二大巨頭が揺るぎないシェアを占めていることが分かります。
ここいくつかのカードパックでは、アディショナルカードの追加後に環境が大きく動くことが多かったですが、今回は地続きのBO3環境だと言えそうです。いずれのデッキも盤面奪取・バーストダメージの双方に優れるため、主体的にゲームプランを組み立てやすいのが人気の理由でしょうか。
BO5においてもまず真っ先に選択肢に挙がるデッキだと考えられます。

《友魂の少女・ルナ》の追加により、課題だった小回りやドローソースの偏在を解消したラストワードネクロマンサー
(RAGE Shadowverse Pro League 21-22 第7節:NTT-WESTリバレント Surre選手の使用リストより)

 

再現性の高さを優先し、アディショナルカードの採用を見送った撤退コンボロイヤル
(RAGE Shadowverse Pro League 21-22 第7節:福岡ソフトバンクホークスゲーミング Atom選手の使用リストより)

Tier2の勢力図には変化が

一方で使用率の観点では、Tier2と呼ばれるようなデッキ群の中で変化が生じています。
主な変化は2点。
「ウィッチのデッキタイプの入れ替わり」と「清浄の領域ビショップ」の台頭です。

ウィッチについてはマナリアウィッチからスペルウィッチへと流行が推移しているため、とりわけ9月に入ってから環境の変化を実感しているプレイヤーもいるのではないでしょうか。また、アクセラレートエルフはアディショナルカード追加前から継続して一定の勢力を維持していましたが、ここに来て緩やかな増加傾向を見せています。コンボエルフの微増と合わせ、コンボ色の強いエルフが評価される環境でもあると捉えられます。

その一方でフェードアウトしたのが自然ドラゴンや機械ネメシス、ヤテラントゥビショップといったコントロールデッキ群です。アディショナルカード追加直後はいずれも少なからず存在していましたが、エルフやウィッチの増加と時を同じくして減少の道を辿っています。
Tier2群が清浄の領域ビショップを除いてバーストダメージ捻出に長けたコンボデッキであるため、コントロールデッキの得意とする長期戦に引きずり込むことが難しいといった背景が考えられるでしょう。

《究明の魔術師・イザベル》の登場により、盤面攻勢とバーンダメージの二方面作戦が可能となったスペルウィッチ
(RAGE Shadowverse Pro League 21-22 第7節:auデトネーションの登録リストより)

 

《マスターコック》を駆使することで一層高い体力上限と、高頻度での1ターン3回回復が実現可能になった清浄の領域ビショップ
(RAGE Shadowverse Pro League 21-22 第7節:名古屋OJAベビースター ののさんの使用リストより)

 

総合的にはネクロマンサー vs コンボデッキの構図に

要約すると、現行のローテーションBO3環境には次のような特徴が見えてきます。

  • 地上戦・空中戦両対応のラストワードネクロマンサーがトップシェア
  • 比較的早期に対処困難なバーストダメージを叩き出せるコンボデッキ群が台頭
  • 強固な守護と膨大な回復で、コンボデッキからでも守り切る清浄の領域ビショップを除き、コントロールデッキは減少

当初はオールラウンダーたるラストワードネクロマンサーへの対抗策として「早期のバーストダメージ」「消滅を絡めたコントロール」が掲げられていました。
対ラストワードネクロマンサーだけを意識するのであれば後者に軍配が上がりますが、コンセプト上前者が後者に優位だったことから、次第に対ネクロマンサーに特化したデッキが減少して今のような環境に収束したと考えられます。
BO5においても同様の構図は発生しやすいですが、使用デッキ数が増えるため、ネクロマンサー不採用の構成とのマッチアップはより減少すると考えられます。であれば、対ネクロマンサーに特化した消滅軸のデッキが今一度姿を現す可能性は否定できません。

「ネクロマンサー vs コンボデッキ」のBO3環境を基本軸に、

  • シェアが増えそうなコンボデッキ間の対戦で差をつける
  • 対コンボを捨ててでも、マッチアップ確率の上がるネクロマンサーを徹底して対策する消滅意識のコントロールデッキを再評価する
  • 清浄の領域ビショップを含むコントロールデッキとの対戦を予期し、手持ちをコンボデッキで固める

等のBO5戦略が派生しやすく、デッキの枠が一つ増えることの影響はかなり大きいと言えそうです。

採用カードから見るBO5

続いて、選択デッキ数が広がることの影響を、採用カードの観点からもう少し深堀りしてみましょう。いくつかのデッキ・カードを例としてピックアップしていきます。

月光の執行者・リオード


撤退コンボロイヤルにおいて採否の分かれる1枚ですが、採用による主なメリット・デメリットをおさらいすると、次の通りです。

メリット

  • 進化後効果によって相手の盤面を整理し、《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン》をより安全に着地させられる
  • 《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン》プレイ時に回復する3PPで盤面を強化する場合、とりわけ強力な選択肢の一つ

デメリット

  • 指揮官フォロワーのため、各種サーチカードの対象となる

概ね《劇的な撤退》に依存しない盤面形成を意識する場合メリットが強く、逆に《劇的な撤退》のコンボを重視する場合デメリットが重くのしかかるような性格です。
他に細かいところでは、エルフの《ワンダーツリー》による守護予約に対して同じく除去を予約できる点は軽視できません。

これらのことからBO5においては、コンボデッキとのマッチアップ率向上を見込むのであれば採用に傾きやすく、逆に清浄の領域ビショップ等コントロールデッキとのマッチアップ増を予想する場合、不採用を良しとする可能性が高い1枚です。
今回のBO5ではBO3と比較した際のマッチアップの変化は十分にあり得るため、たかが1枚、されど1枚としてファイナリストたちの頭を大いに悩ませるカードになるかもしれません。

深緑の弓使い・アリサ

現行のエルフにおいて幅広く採用されていますが、特に多いのはアクセラレートエルフでの起用です。その役割も多岐に渡りますが、主な特徴は以下のようなものです。

メリット

  • 早期の《森番の弓》着地から盤面起点のダメージプッシュが可能
  • 《ストームアロー》によるバーンダメージの確保

デメリット

  • アクセラレート能力を持たない
  • ドロー効果にややラグがある

メリットについては14 ~ 18点のバーストダメージを得意とするアクセラレートエルフにとって、20点を削りきるための大きな手助けとなります。
特に序盤の盤面に隙があるコンボデッキやラストワードネクロマンサーとの対戦では、《森番の弓》によるアグロムーブが通れば、盤面を取り返される頃には《万緑の回帰・ラティカ》でなくともリーサルを取れる体力水準まで落とし込めていることも考えられます。
ただし、この1枚が瞬間的に捻出してくれる打点はそう高くはありません。
そのためこまめな回復や除去に秀でたコントロールデッキとのマッチアップでは決定打になるケースは少なく、この枠がドローソースだったらと歯噛みする展開もあるかもしれません。やはりBO3の延長として「とりあえず」で採用していいカードなのかは一考の余地があるでしょう。

詠唱:一角獣の祭壇

以前から清浄の領域ビショップにおいて、採否の議論が尽きないカードです。長らく環境にいてもはやお馴染みかとは思いますが、改めてその性能を整理すると、次のようになります。

メリット

  • 1ターン目のアクションが増える
  • 先の回復を予約できるため、1ターン3回回復の達成が容易になる
  • 《清浄の領域》と合わせて2面除去を担う

デメリット

  • 《宝石の輝き》による《清浄の領域》確定サーチを阻害する
  • 盤面に残るターンが長く、後半戦の盤面ロックを誘発する

今環境で言えば、《清浄の領域》込みで計7点の除去が無進化の《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン》をターン開始時に処理できる点もメリットの1つでしょうか。
一方で1ターン3回回復については《マスターコック》の採用によりカバー可能となったため、ここに来て採否の議論が再燃しているという経緯があります。
最大の焦点はやはり《清浄の領域》2枚設置の必要性です。なるべく早期に2枚設置を目指す必要があるなら、《宝石の輝き》によるサーチを阻害するデメリットが前面に出てきますが、まずは1枚設置を目標にし、序盤から積極的にダメージカットや盤面の対処に動く方が望ましいマッチでは1ターン目の《詠唱:一角獣の祭壇》がその真価を発揮します。
序中盤と終盤、相手のピークターンをどの時間帯と見積もるかによって、早期の《清浄の領域》2枚設置の必要性が変化すると言えそうです。
なお、「選択できない大型守護」というのは今環境のコンボデッキ全般に有効な強力な効果ですが、「盤面に選択可能なフォロワーがいない」状況を作るだけなら《清浄の領域》の設置枚数は1のほうが選択肢が広い点には注意が必要です。
BO5になって広がるマッチアップごとに「守護」が大事なのか「選択できない」が大事なのかをきっちり整理したうえで、仮想敵に合わせたチューニングとなりそうなカードと言えるでしょう。


ここでは主にBO3環境でも採否が分かれるカードを例として扱いましたが、BO5では想定すべきデッキタイプが増えることで、様々なデッキにとって再検討を要するカードが少なからずあります。もし当日発表されるデッキリストが、自分が愛用しているリストと一風違う作りになっていた場合、そのカードの「BO5における役割」に注意して考察してみると、何か新しい発見があるかもしれません。

今回はアディショナル前後でBO3環境に大幅な変化がなかったため、BO5は一味違うかもしれないということを中心にお届けしました。トッププレイヤーたちの繊細な駆け引きをより深く楽しむための一助となれば幸いです。

来たるGRAND FINALSは 9月19日(日) 12時より配信開始です。この環境を駆け抜けた猛者たちの頂点に立つのはいったい誰なのか。是非ご自身の目で確かめてください。

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