2024 Summer

【GRAND FINALSに向けて】RAGE Shadowverse 2021 Spring

今年最初のRAGE。そのGRAND FINALSがいよいよ近づいてきました。RAGE初参加にしてトップ8まで登り詰めた猛者から元世界王者まで、ファイナリストの顔ぶれも様々です。

RAGE Shadowverse Pro League 20-21 Seasonも先日決着を迎え、公式の競技シーンとしては「十天覚醒 / Eternal Awakening」の締めくくりに位置するこの大会を最大限楽しむために、このレポートでは「BO5についての整理」「主要デッキとアディショナルカードの影響」という2つのトピックを扱っていきます。

ファイナリストのデッキ選択から見どころを見つけよう!!

GRAND FINALSは知ってのとおり、BO5で争われます。登録した3デッキ全てでの勝利が求められるため、デッキ選択においても様々な選択肢が並びたち、ファイナリスト達は大舞台を前に決断を問われることでしょう。大まかなデッキ選択の戦略は次のようなものになります。

パワー型

大きな不利マッチを抱えないデッキを揃える戦略。明確な不利マッチが少ないデッキというのは、往々にして明確な有利マッチも多くありません。そのため、デッキ選択時点でのアドバンテージは小さいですが、「相手に出し順を読まれにくい」「プレイで差をつけやすい」など実戦への意識が強い戦略と言えます。相手のデッキ選択にもよりますが、比較的1戦1戦が拮抗しやすいため、ミラーマッチの結果が勝敗に与える影響は大きく、見逃せないポイントとなります。

3タテ型

あらかじめ仮想敵となるデッキタイプを定め、有利なデッキを3つ選択する戦略。「対象外のマッチをどれだけ落としても、ターゲットさえ残っていればそこで3連勝できる」というコンセプトはデッキ選択で大きなアドバンテージを得るチャンスがあり、ファイナリスト同士の戦いという実力が拮抗しやすい場で有効でしょう。反面、1つのデッキに対して3つの有利マッチを用意すること自体が難しく、尖った相性関係のデッキを持ち込むことにもなりやすい諸刃の剣です。見どころはもちろん「ターゲットを押さえ込めるかどうか」で、有利マッチをこぼさないよう隙の無いプレイを求められる選手の緊張感にも注目しましょう。

バランス型

ワー型・3タテ型の間を取る戦略。不利マッチの少ないデッキを1~2個、主要デッキ相手に有利を狙えるデッキ1~2個採用します。この戦略の理想形はメタデッキ(対主要デッキ有利を狙うデッキ)が一発で仮想敵に勝利する展開のため、出し順の読みあいが1つの焦点となります。しかし一方で望んだマッチアップにならない可能性も十分にあり、過去大会を見てもメタデッキがターゲット外のデッキに連敗してしまったケースは少なくありません。したがって、メタデッキの作りがターゲットと異なるデッキに当たっても勝ちにいけるようになっているかも重要なポイントと言えるでしょう。こうしたメタデッキの選択、そして採用カードをどこまで仮想敵に寄せるかはプレイヤーの個性が出る注目箇所となります。

上記はあくまで大まかな区分となります。「明確な不利マッチを持たず、有利マッチはいくつかある」「1, 2個の不利マッチがあるかわりに、主要デッキ複数に対して有利を見込める」など、上記のカテゴリをはみ出すようなデッキを見つけ、あるいは作り出すのもBO5の醍醐味です。もし自分がBO5に臨むならどんな戦略でどの3デッキを選択するか、是非考えてみてください。

環境の主要デッキを振り返ろう!!

2月18日のアディショナルカード実装により、本大会予選時から環境は大きく変わっています。2月18日~2月28日におけるJCG Shadowverse Openの環境は次のようになっています。

※アイコンサイズは大まかな母数の違いを示しています。
※ グッドスタッフ:単体で優れたパフォーマンスを誇るカード。また、それらのカードを中心に構築されたデッキのこと

もちろん、母数の関係で上図には登場していないものの高いアベレージを持つデッキなどもありますが、アディショナルカード追加前との大きな差は主に以下の3点と言えるでしょう。

デスブリンガーネクロマンサーの台頭


※RAGE Shadowverse Pro League 20-21 League Championshipにてauデトネーションが登録したデスブリンガーネクロマンサー

新カード《ボーンドミネーター》の登場により、一気にその人気に火が付いたデスブリンガーネクロマンサー。1コストで墓場を2増やしながら1ドロー、さらにはリーダー回復までこなす《ボーンドミネーター》は「7ターン目までの《死期を視るもの・グレモリー》直接召喚」「ゲーム序盤から中盤のダメージ軽減」というこのデッキの2つの指針を手厚く支えてくれる1枚です。

相性関係の側面でも、主要デッキであるロキサスエルフに対して除去力・回復力の高さから有利を取れるにもかかわらず、明確な不利マッチがあまりないため、先に見たBO5戦略のいずれでも採用圏内に位置するデッキタイプと目されます。決定力の要となる《冥界への霊道》の枚数に加え、低コストカードの枚数配分なども個人差が出やすいため、自分ならどんな形に仕上げるのかイメージして、ファイナリストのデッキと比較するのも面白いでしょう。

葬送連携ネクロマンサーの台頭


RAGE Shadowverse Pro League 20-21 League Championshipにて福岡ソフトバンクホークスゲーミングが登録した葬送連携ネクロマンサー

同じくネクロマンサークラスのデッキですが、こちらはより中盤の厚みを大事にした葬送連携ネクロマンサーです。やはり流行の立役者は《ボーンドミネーター》。軽量の葬送カードが増えたことで連携カウントや葬送回数も稼ぎやすくなり、《天覇風神・フェイラン》や《征伐の死帝》などの強力な直接召喚フォロワー起用が後押しされました。

立ち位置としては、中盤横に広い盤面を継続して展開できるため、デスブリンガーネクロマンサーの除去体勢が整う前に仕掛けられるとして、対デスブリンガーネクロマンサーで好位置につけているとの評価が多いです。シンプルに盤面形成力だけで多くのデッキに対してプレッシャーをかけていけるのも大きな魅力ですが、回復や除去は依然として不得手なため、盤面形成で躓いたり、一度受けに回ってしまうと取り返しがつかないケースも少なくありません。このように評価の分かれやすいデッキですが、BO5においてもメタデッキとして3タテ型やバランス型のデッキ選択の一角を担う可能性があります。他の2デッキとの組み合わせにも注目したいデッキタイプと言えるでしょう。

バアルヴァンパイアの登場


RAGE Shadowverse Pro League 20-21 League Championshipにてauデトネーションが登録したバアルヴァンパイア

アディショナルカード追加前はほとんど姿を見なかったバアルヴァンパイアですが、新カード《灰白の豹・アイル》を携え、環境に食い込んできました。《背徳の狂獣》・《バアル》といったキーカードへのアクセスが向上しただけでなく、《バアル》への融合後に《灰白の豹・アイル》で交戦することで大幅に手札を補充し、2ターンがかりで6枚融合を達成しやすくなったことはこのデッキの戦術の幅を広げてくれました。

《自由を駆ける漢・スカル》や《壊天災・ハレゼナ》といったダメージディーラーの存在から、対葬送連携ネクロマンサーでの仕事を期待されることが多いですが、攻撃性能自体が高いため、対策の不十分なデッキ全般を相手取って勝ちを目指せるデッキとなっています。その反面、回復の豊富なデッキに対しては押し切りが困難でややピーキーな相性関係とも言えるため、BO5においてはバランス型や3タテ型の戦略での採用となりそうでしょうか。

上記はアディショナルカード追加の前後で特に母数が大きく動いたデッキ群です。
一方で、環境内で依然トップシェアを占めつつも、デッキ内容や立ち回りに変化を生じたものも少なくありません。

より攻撃的になったロキサスエルフ


RAGE Shadowverse Pro League 20-21 League Championshipにて福岡ソフトバンクホークスゲーミングが登録したロキサスエルフ

ロキサスエルフは《閃光のエルフ・アルバータ》を加え、より攻撃性を増しました。《開拓のロデオガイ・ロキサス》のコンボに頼らず、シンプルに盤面と疾走フォロワーで押し切る展開自体はかねてよりありましたが、あくまでサブプランとしての色合いが強く、狙って達成するのは難しかったと言えます。《閃光のエルフ・アルバータ》によってこちらのプランが補強されたため、相手のデッキタイプに合わせて自身のピークターンを調整しやすくなっています。

こうした変化の背景にあるのはやはりデスブリンガーネクロマンサーの台頭でしょう。ロキサスエルフの持ち味であるゲーム後半の超展開もデスブリンガーネクロマンサーには捌かれてしまうため、より攻め手を早める必要があり、立ち回りとセットでデッキの姿が変化した側面があります。やや前のめりになったとも取れますが、各種ドローソースはほぼ据え置きのため、依然として「デスブリンガーネクロマンサーが少し苦手なものの、他に明確な不利マッチはほぼない」という立ち位置は変わっていません。今大会でも多くのファイナリストがパワー型・バランス型のデッキ選択として採用することが予想されます。

逆襲のエンジンを手にした清浄ビショップ


RAGE Shadowverse Pro League 20-21 League Championshipにてauデトネーションが登録した清浄ビショップ

清浄ビショップもアディショナルカードにより立ち回りの幅が広がったと言えるでしょう。新カード《ルナールプリースト》は本体効果・アクセラレートともにコスト不要のリーダー回復で、《清浄の領域》設置下での3回回復の達成率が目に見えて向上しました。これにより、従来の「豊富な回復でゲームを引き伸ばす中でダメージレースを逆転する」というスタンスをより強固なものとしつつ、同時に「3回回復を基点に盤面を制して相手を削りきる」というサブプランが一層現実味を帯びた形となります。

環境内での相性としては、バアルヴァンパイアや疾走ランプドラゴンなど継続してダメージを与えることを得意とするデッキ群に対して、優位につけています。一方で、瞬間的な盤面形成を得意とするロキサスエルフや葬送連携ネクロマンサーには遅れを取ることもあります。とはいえ、《詠唱:一角獣の祭壇》をはじめ、相手のピークターンをやり過ごすためのカードは少なくないため、主要デッキとのマッチアップで大きく不利を被ることはあまりなく、こちらも幅広いBO5戦略で採用可能な汎用デッキと言えるかもしれません。

いかがだったでしょうか。
主要デッキを中心にご紹介したため、特に3タテ型の戦略で用いられやすい尖った相性関係のデッキにはあまり触れられていませんが、「BO5のデッキ選択」という目線で各々のデッキがどのような性質・役割を持つのかを感じ取っていただければ幸いです。

きたる3月21日、今年最初のRAGE王者がまた一人その名を刻みます。皆さんとともに栄光の瞬間を見届けられることを楽しみにしています。是非配信でお会いしましょう。
【文:まる】

RAGE Shadowverse 2021 Spring GRAND FINALS

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