2021 Autumn

解説の”まる”さん執筆レポート【GRAND FINALSに向けて】RAGE Shadowverse 2021 Summer

様々なデッキが相争った『暗黒のウェルサ』環境。その総決算となるGRAND FINALS開催まで、残すところ1週間を切りました。三度目の出場にして史上初の二冠を目指すShimon選手はもちろん、プロ選手を打ち破って進出を決めた強豪たちも集う、頂上決戦の舞台となりそうです。

さて、アディショナルカードの追加、そして既存カードの能力調整を受けてプレーオフ時からは様変わりしている現環境ですが、各ファイナリストのデッキ選択にも注目が集まります。BO5という触れる機会の少ないフォーマットの中、どのような戦略で1試合あたり3勝を目指していくのか。今回は改めてアディショナル環境の大まかな構図を確認しつつ、BO5のデッキの組み合わせ候補をいくつか見ていきたいと思います。

アディショナル環境は2強や否や

アディショナルカードの追加、そしてカード能力調整を受けて大きく躍進したデッキを挙げるとすれば、真っ先に名前が出てくるのがアーティファクトネメシスとラストワードネクロマンサーの2つでしょう。

アーティファクトネメシス


※RAGE Shadowverse Pro League 21-22 にて使用されたアーティファクトネメシス
《音速の機構・ララミア》のアーティファクト化、そして《水銀の遮断》の追加によってデッキの柔軟性を大きく向上させたのがアーティファクトネメシスです。アディショナル以前の環境と比較して、主な変更点は次の通りです。

《終末の番人・スピネ》の汎用性向上

《音速の機構・ララミア》がアーティファクト化したことで、《スピネのアーティファクト》が安定して1ドローを果たせるようになるとともに、スピネ本体も破壊されたアーティファクトの名前の種類として「6」の水準を達成しやすくなり、総合的なカードパワーが上昇しました。

「攻撃されない」能力持ちのフォロワーへの対処が可能に

場への干渉を専らフォロワーの交戦に頼っているアーティファクトネメシスの天敵である「攻撃されない」能力に、《水銀の遮断》で対応できるようになったため、特定のカード1枚で即敗北という展開が減少しました。他にも守護の突破に厄介なラストワードの無力化など、活躍の場面は少なくありません。

ラストワードネクロマンサー


※RAGE Shadowverse Pro League 21-22 にて使用されたラストワードネクロマンサー
《ナイトメアイーター》の能力調整とアディショナルカード2種の追加で一躍環境のトップに躍り出たのがラストワードネクロマンサーです。主な特徴を見ていきましょう。

多彩な盤面制圧手段を有する

能力調整を受けてネクロマンス効率と攻撃力が上昇した《ナイトメアイーター》は中盤で場を制圧するのに十分な性能になったと言えます。加えて《オミナスタイラント》や引き続き現役の《トリニティモンスターズ》など、1枚で盤面を逆転できるカードを豊富に採用できる点はこのデッキの大きな魅力の一つです。

相手の行動を大きく縛る《セレスト・マグナ》の存在

相手のフォロワー以外のプレイの一切を封じてしまう《セレスト・マグナ》はコストや本体のサイズ感などから、以前は活用しきれなかった一枚ですが、頭一つ抜けた盤面制圧が可能になったことで、直接場に干渉しないこのカードをプレイする余裕が生まれました。《パラダイムシフト》を主軸とするアーティファクトネメシスが大きなシェアを占めていることもあり、非常に存在感のある1枚です。

JCG等の競技大会でも上記2デッキの使用率は他とは一線を画しており、この2つが環境の中心にいることは疑いようがありません。では今は俗にいう「2強環境」なのかと言うと、おそらく首を傾げたくなる人もいるのではないでしょうか。その理由として最も分かりやすいのはヴァンパイアやドラゴンの存在です。引き続き対処方法が限られている「攻撃されない」能力を活用できるデッキが存在する以上、単純に使用率上位の2デッキばかりが席巻する環境ではないと言えます(これを「2強」と呼ぶかは、トップシェアのデッキに分かりやすい弱点があることを許容するかという個人の判断によるところでしょうか)。

ランプドラゴン


※RAGE Shadowverse Pro League 21-22 にて使用されたランプドラゴン
通称ライドドラゴン、乗り物ドラゴンなど。アディショナルカードや能力調整で直接的な強化を受けたわけではありませんが、苦手とする回復量の多いデッキが減少し、《ティアマト・マグナ》の結晶能力が刺さりやすいマッチアップが増加したことで、相対的に好位置につけてきたデッキタイプです。対アーティファクトネメシスで《エッジアーティファクト》によるドレインを避けるため、盤面を空けても攻め手を継続できる《ドラゴンイクシード・ギルヴァ》の3枚採用が目下の流行と言えるでしょう。《ドラゴニックコール》を排して高コストフォロワーを厚く取る構築ではリソースとの向き合い方がシビアで、繊細な判断を求められます。

庭園ドラゴン


※RAGE Shadowverse Pro League 21-22 にて使用された庭園ドラゴン
こちらも直接的な強化はほとんどないデッキタイプ。やはり《ティアマト・マグナ》の有用性が増したことによる立ち位置の変化が目立ちますが、ランプドラゴンの攻撃性能を削って回復・ドローを強化しているため、立ち回りは大きく異なります。ランプドラゴンと比較して、長時間盤面を放棄せずに戦えるという意味で、より対ラストワードネクロマンサーに意識が寄っているデッキとも言えるかもしれません。一方で《水銀の遮断》さえも受け付けない《虚無の堕天使・ルシフェル》を攻撃の起点にできるのもポイントの一つ。アーティファクトネメシスやラストワードネクロマンサーの中盤の攻勢に柔軟に対処しやすい反面、決着までに時間をかけやすく、その間にバーストダメージの準備を整えられてしまうリスクがあるなど一長一短の性格です。

バアルヴァンパイア


※RAGE Shadowverse Pro League 21-22 にて使用されたバアルヴァンパイア
《紅魔の淑女・ロゼロッティ》の追加を受け、《自由を駆ける漢・スカル》や《デコレーションデビル》のパフォーマンスが向上したデッキ。攻撃性能・回復性能いずれも若干ではありますが上昇した格好です。むしろこちらも環境の中心に交戦主体のデッキが集まったことが追い風であり、《壊天災・ハレゼナ》が1枚で体力の大部分を持っていく光景には覚えのあるプレイヤーも少なくないのではないでしょうか。

主にここに挙げたようなデッキ群はアーティファクトネメシス、ラストワードネクロマンサーの対抗馬としての役割を期待されることが多い「対トップメタ」の立ち位置となります。「攻撃されない」能力の活用を標榜する都合、いずれも継続してダメージを捻出することに長けており、バーストダメージで相手の体力を根こそぎ奪い去る動きはやや苦手です。そのため、清浄の領域ビショップを筆頭に高い回復力を有するデッキが第三勢力として存在する環境でもあります。
このほか、特定デッキに対するメタではなく、純粋な爆発力を評価されるロキサスエルフ等もデッキ選択の候補に挙がるため、「アーティファクトネメシス・ラストワードネクロマンサーを環境の中心としつつも、選択肢の裾野は広い」というのが環境の全体像として見えてきます。

今回の焦点は「メタるか、押し通るか」

ここまで見てきた環境を踏まえると、今回のGRAND FINALSで想定しやすいデッキ選択は大きく次のように分類できます。

2トップ + 対トップメタ

例) アーティファクトネメシス / ラストワードネクロマンサー / ランプドラゴン

素直にトップシェアのデッキを優先して選択し、3つ目のデッキとしてそれら環境デッキへの対策を組み込むという、最も無難な選択です。弱点が分かりやすい2デッキがそれでもなお環境に君臨しているという状況は、それだけデッキパワーが高く、不利マッチを突破しうるポテンシャルがあることの証左とも言えます。高頻度のミラーマッチを覚悟しなくてはならないため、予めミラーマッチを意識したカード選択を行ったり、プレイの研究が求められるでしょう。ネクロマンサーに《常闇の花嫁・セレス》や《一刀の幽鬼・カゲロウ》を採用する動機付けになりうる戦略と言えるかもしれません。また、同じ戦略同士の対決でも、3つ目のデッキが異なればそこにも相性差が生まれます。その意味で、対トップメタデッキ同士の相性関係の整理という視点も欠かすことはできません。

2トップ + 第三勢力

例) アーティファクトネメシス / ラストワードネクロマンサー / 清浄の領域ビショップ

前述の王道を少しひねった形となります。2デッキが環境の中心にいる以上、3つのデッキを選択しなくてはならないBO5では、1つ以上は対トップメタのデッキが選択される可能性が高いという判断に基づく構成です。構成上の大きな不利は取りにくい2トップを背骨に据え、3rdデッキ同士のマッチアップで差をつける狙いは刺されば強力な反面、自らの3rdデッキ自体は相手のネメシスやネクロマンサーからは組しやすしとされてしまうのが難点です。この場合、相手の3rdデッキを逃がしてしまうと一気に苦しくなるため、自らのネメシス・ネクロマンサーが不利マッチもある程度抑え込めるという自信を前提に、採用カードでさらに対トップメタデッキへの耐性を高めることが望ましいでしょう。《水銀の遮断》の採用枚数などに特に注目したい戦略のタイプです。

1トップ + 対トップメタ × 2

例) アーティファクトネメシス / バアルヴァンパイア / ランプドラゴン

こちらは1.の戦略を強く意識しています。相手のネメシス・ネクロマンサーに対して有利なデッキになるべく寄せる構成で、もう1つ対ネメシス・ネクロマンサーの有利を期待できるクラスを見つけられれば、いわゆる「3タテ」を目指せるポテンシャルを有します。《セレスト・マグナ》でアーティファクトネメシスを完封できる展開を加味すると、「1トップ」の選択はネクロマンサーに傾きやすいかもしれません。当然ながらこの戦略では、ドラゴンやヴァンパイアがしっかりと相手のネメシス・ネクロマンサーを突破してくれることがカギとなるため、「環境トップ vs 対抗馬」の相性関係をどう見積もるかによって、採用する戦略が2. と3. に分岐するとも言えそうです。ドラゴンやヴァンパイアでは採用枚数、ドローソースの追加などを通じて「攻撃されない」能力へのアクセス効率を最大化したい戦略となります。

(1トップ) + 第三勢力 × 2~3

例) アーティファクトネメシス / ロキサスエルフ / 清浄の領域ビショップ

今回紹介する中では最も挑戦的な構成です。前述のとおり「1つ以上は対トップメタのデッキが選択される」と判断するのであれば、総合力の高いネメシス・ネクロマンサーよりも、ドラゴンやヴァンパイアを標的にして勝ち星を重ねようというコンセプトです。多くのプレイヤーが研究について比較的手薄になりがちなデッキを中心に構成するため、相手の意表をつきやすい戦略となります。一方でネメシス・ネクロマンサーと正面から渡り合えるデッキに仕上げるには現状課題が多く、相手の3rdデッキを確実に狙い打てる自信がなければ、選択するにはかなりの勇気がいることでしょう。

以上大きく4つのBO5戦略に触れてきましたが、先述のとおりデッキの選択肢自体は多いのが今環境の特徴です。デッキが3つ必要となるBO5にあって、環境の中心には2つのデッキタイプ。残る1つのデッキにファイナリストの個性が出ることは言わずもがな、今回触れていないようなデッキを仕上げてきて独自のBO5戦略をぶつけてくる選手も現れるかもしれません。

いったいどんなデッキ選択が、あるいはカード選択が環境に応えているのか。そして選択したデッキをいかにプレイし、使いこなせばいいのか。その答えは是非、皆さんの目で確かめてください。来たるGRAND FINALSは2021年6月13日(日)、12時より配信開始です。
【文:まる】

RAGE Shadowverse 2021 Summer GRAND FINALS

    • 日時:6月13日(日) 12時〜 ※直前みどころ紹介:11時40分〜
    • 配信プラットフォーム:OPENREC.tvABEMAYouTube
大会詳細

https://rage-esports.jp/shadowverse/2021summer/gf/

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