2023 Spring

解説の”まる”さん執筆レポート【GRAND FINALS直前】RAGE Shadowverse 2022 Autumn

ついに目前に迫ったGRAND FINALS。

常々環境のトリを飾る競技シーンではありますが、今回は新弾リリースの4日前の実施と、まさに極天竜鳴環境の総決算と呼ぶにふさわしい大会となりそうです。
このように3ヵ月間たっぷりと駆け抜けてきた今環境ですが、ここに来てまだまだ新しいメタゲームが展開され続けています。
その火付け役は何といってもRAGE Shadowverse Pro Tour 22-23 (以下RSPT) 3rd Season予選。
8チーム中6チームがそれまで競技シーンには姿を現さなかったラティカエルフを携えて登場し、その強さを存分に見せつけました。
先日の RSPT 3rd Season 本戦においてもその姿は健在で、ラティカエルフを取り巻く環境の変化は、BO5におけるデッキ選択にも大きな影響を与えていることが見て取れます。

そこで今回のレポートではラティカエルフにフォーカスし、その対抗馬として環境に浮上してきたデッキを取り上げる形で、アディショナルカード追加以降の競技環境を整理していきたいと思います。

ラティカエルフ

※Shadowverse Pro Tour 22-23 3rd Season 本選

アディショナルカード《聖緑の輝き・カーバンクル》の登場によりコンボ性能が飛躍的に向上し、競技環境を激変させたラティカエルフ。
それまで環境を席巻していたフラムグラスネクロマンサーを押しのけての登場には、どのような背景があるのでしょうか。

6〜8ターン目での決着が一般的

ネクロマンサーにとって代わった理由の一つに挙がるのが、リーサルの早さと再現性です。

《聖緑の輝き・カーバンクル》プレイから《万緑の回帰・ラティカ》の16点 + ‪α‬でリーサルを取りに行くのがラティカエルフの最頻パターンで、7ターン目には高確率でバーストダメージが飛び出します
上記2枚のカードで4プレイが保証されており、3PPが返ってくるため、「手札に元のコスト1以下のエルフカードが5枚あるか」がコンボ達成のひとつの目安となりますが、該当するカードを豊富に採用しているラティカエルフにとっては再現性の高い条件ということができます。同じくバーストダメージに優れたフラムグラスネクロマンサーであっても、複数ターンでの分割であればいざ知らず、7ターン目までに耳をそろえて20点を叩き出すことは容易ではなく、ここに環境変化の一因があります。‬

また、かつてのラティカエルフと異なり12プレイの達成にバウンスカードが必須ではなく、かつデッキの大半のカードがコンボパーツとなりえるため手札が十分でなくともまずは《聖緑の輝き・カーバンクル》《万緑の回帰・ラティカ》で動き出すことが少なくありません。
ドローを見ながら12プレイ達成可否を見極め、難しければ《万緑の回帰・ラティカ》や《聖緑の輝き・カーバンクル》をバウンスして次ターンのリーサルを狙う展開となりますので、トップドローの受けを十分に意識した上で、その場でバウンスや盤面処理・回復といった様々なアクションの優先順位をつけ続けるようなアドリブ力が試されます

耐久の鍵を握る3つのカード

《腐食の絶命》

1コストかつ場を使わないスペルゆえにコンボパーツとしても優秀なこのカードは、3ターンに渡って相手の場を弱体化できるため、小型フォロワーを「横に」広げてくるデッキに対して特に大きな効果を発揮します。
今環境で言えば連携ロイヤルや宴楽ヴァンパイアがこれに当てはまりますが、フォロワーが退場することは
ロイヤルであれば「連携を稼げる」「《銃士の誓い》・《ビクトリーブレイダー》等中盤以降のパワーカードを着地できる」、
ヴァンパイアであれば「《デモンズグリード・パラセリゼ》直接召喚のスペースを確保出来る」「フォロワーをプレイして手札を減らせる」など、
かえって相手を利するケースもあるため、メリットデメリットをきちんと比較した上でプレイするタイミングを見極めていきたい1枚です。

《絶命の崇拝者》

進化時効果の攻撃力デバフにより火力の高いフォロワーを食い止める、主に「縦の」攻勢に強いカードです。一方でフォロワーの破壊ではなく無力化、そして【潜伏】能力ゆえに盤面ロックとの相性も非常に良く、相手の横展開に対して《絶命の崇拝者》進化とバウンスを複数ターン重ねることで相手の打点を抑制し、7PPまで時間を稼ぎやすい特性も見逃せません。ドロー要員でもあり、さらには《万緑の回帰・ラティカ》の16点と合わせるリーサル要員でもあるといった具合で実に多芸なカードですが、裏を返せば切りたくなる場面の多いカードゆえに手札離れもよく、本当に必要なシーンで手元に残っていないといった展開を避けるためには、手札の消費可能なバウンスカードの枚数にも気を配る必要があるでしょう。

《ヒーリングフェアリー》

ここまで見てきた2枚は「盤面への対処」をテーマとしているのに対して、「バーンや【疾走】フォロワー等の先行したダメージへの対処」をテーマとするのが《ヒーリングフェアリー》です。
バーストダメージが20まで及ばないデッキの分割リーサルプランなどに対処可能なため、先に述べた「7ターン目までに20点を綺麗にそろえるハードルが高い」ネクロマンサーにとっては天敵ともいえるこのカード。
十分なバウンスカードを有する状況では盤面ロック戦術のサポートとしても秀でており、2体の《ヒーリングフェアリー》で互いをバウンスしあう動きは生半可な攻撃を跳ね除けるだけの回復力を誇ります。
ただし元のコストが2てあること、ドロー効果を持たないことを踏まえると《メタトロン》と並びコンボへの寄与度が低いカードであり、限られたコストの中でコンボパーツを探しにいく動きとの取捨選択を迫られることも少なくありません。

対策は「パーツが揃っていても勝てない」状況にすること

コンボデッキへの対策として古くから共通するのは「完成前に倒しきる」ことです。
今環境で言えば宴楽ヴァンパイアや人形ネメシスのアプローチがこれに当てはまり、やはりラティカエルフに対しても一定の効果はあると言えるでしょう。
ただ、上述のカード群の耐久力は従来のコンボデッキとは一線を画しており、エルフ側が耐え切る展開も多く見られます。
そこで今環境でのラティカエルフ対策として台頭しているのは「パーツを揃えさせない」方面ではなく、主に「12プレイ達成そのものの阻害」「ダメージカットと次ターンでのリーサル準備の両立」の2パターンです。
前者はエルフ側のターンに場や手札に干渉することで、12プレイ達成のハードルを大幅に引き上げることを指します。デッキごとに固有の対応となりますので、後段で個別に見ていきましょう。

後者は「ダメージカット」と「リーサル準備」という2つの要素から成ります。まずダメージカットに関してですが、目安は「《万緑の回帰・ラティカ》2枚が絡むコンボを耐えきれる」ことになります。
8 × 4 点へのダメージカットということで非常に高い水準が要求されますが、ラティカエルフの豊富なドローを加味すると、7~8ターン目に《万緑の回帰・ラティカ》が複数枚登場する可能性は決して無視できません。

次に「リーサル準備」についてですが、ラティカエルフはドローが豊富で、《聖緑の輝き・カーバンクル》の連打によって手札・デッキ内のコンボパーツの純度を上げることができるため、基本的に時間はエルフの味方です。

「12プレイ達成そのものの阻害」というアプローチであれば、方法次第では複数ターンにわたってエルフを釘付けにできますが、ダメージカットの場合はエルフ側の自由なアクションを止めることはできず早晩限界が訪れてしまうため、自分から仕掛けていく必要があります。
にもかかわらず、エルフ自体が7ターン目を中心に早いリーサルターンを基準に持つデッキであるため、
「①まずはエルフ側のリーサルを阻止する」
「②その後は素早く自デッキのリーサルを叩き込む」
という二段構えのプロセスを踏む対策となっています。

“ラティカメタ” を標榜するデッキたち

上記の対ラティカエルフ指針を踏まえ、直近で台頭してきたデッキ群について、それぞれ簡単に見ていきましょう。

連携ロイヤル

※Shadowverse Pro Tour 22-23 3rd Season 本選

長く《スケルトンレイダー》に苦しめられてきたロイヤルですが、フラムグラスネクロマンサーの減少を受け、競技シーンへの持ち込みが増加傾向にあります。
ヴァンパイアクラスの選択傾向が宴楽ヴァンパイアから少なからずモノヴァンパイアへと流れていることも、宴楽ヴァンパイアを苦手とするロイヤルにとっては追い風と言えます。

そんな連携ロイヤルの対ラティカエルフ戦略の中核を担うのはやはり《ビクトリーブレイダー》です。
対処方針としては「ダメージカットと次ターンでのリーサル準備の両立」に該当します。
《撲滅の兵団長》と合わせた盤面形成ができれば、《万緑の回帰・ラティカ》が2枚飛んできても15点までに押さえることができ、ラティカエルフにとっては対処困難な大型フォロワーとしてそびえたちます。
本体の火力ゆえに生存さえすれば次ターンでの勝利も視野に入りやすいですが、今環境のダメージカットとしては唯一、対処されない限り効果を発揮し続けてくれるため、他のデッキに比べれば返す刀でリーサルを取りにいく必要性が薄いデッキとも見ることができます。
ただし、《妖精の騎士・タムリン》や《夢のもてなし》での除去はもちろん、守護が切れれば《万緑の回帰・ラティカ》2枚で20点が出てしまうため、《絶命の崇拝者》進化によるダメージカットなどに対しても十分な注意を向けながらゲームを進める必要があるでしょう。

さらにラティカエルフへのガードを上げるのであれば、《戴冠の儀》を起用するケースも見られます。
攻撃力1以上のフォロワーにつけていくことで、《万緑の回帰・ラティカ》による有利トレードすら許さず、疾走打点を丸ごとカットできる見立てが高いカードです。
デッキ公開制のGRAND FINALSではエルフ側の盤面ロック戦略にプレッシャーをかける役割も期待できるでしょう。
他にもエルフの最大PPが7となるタイミングに限定されますが、《シークレットスキル》が《聖緑の輝き・カーバンクル》の進化を止めてくれるため、局所的に「12プレイ達成そのものの阻害」のアプローチをとることも可能になっています。

こうして幅広くエルフへの対策をちりばめることができる連携ロイヤルですが、《戴冠の儀》を除き、連携数が大前提となります。隙あらば盤面ロックして対策カードの安着を阻止したいエルフと、盤面になるべく高火力を用意して盤面ロックを回避したいロイヤルとの駆け引きに注目して観戦いただきたいマッチアップです。

バーンドラゴン

※Shadowverse Pro Tour 22-23 3rd Season 本選

長くドラゴン不遇と言われてきた極天竜鳴環境にあって、ついに頭角を現してきたのがバーンドラゴンです。
《独尊龍・スーロン》や《紅炎の竜爪・エチカ》といった盤面対応力の高いカードを起用することで、かつての「攻撃と盤面対処の両立が苦手ゆえ、押され始めると脆い」という弱点を少なからず克服しています。

そんなバーンドラゴンの対ラティカエルフ決戦兵器とも言うべきは《ブリザードハート・フィルレイン》。
アプローチとしては「12プレイ達成そのものの阻害」になります。
今に限ったことではありませんが、手札のコスト増は多数のカードをプレイしたいコンボデッキにとってクリティカルで、ラティカエルフにとっては瞬間的に12プレイ達成が実質不可能になることに加え、そもそも《聖緑の輝き・カーバンクル》の着地をずらされること自体が大きな痛手たりえます。
デッキの基盤が非常に攻撃的なため、従来のコンボデッキ対策「揃う前に倒す」を自然と実践できるうえに、《ブリザードハート・フィルレイン》はコンボデッキであれば相手を選ばずに機能する、まさにコンボデッキキラーとも言うべき構成のデッキとなっています。
そのため、ラティカエルフを主眼に据えつつも、今環境での活躍著しいモノヴァンパイアを同時に射程に収めることができているのも、バーンドラゴンがここに来て評価を大きく上げている一因でしょう。

対コンボデッキという意味では《ブリザードハート・フィルレイン》に目を引かれますが、元来の攻撃性を活かして、他のデッキ群を押し切っていくことも狙えるデッキです。
マッチアップによって目指したいリーサルターンや欲しいカードが大きく変わりますので、BO5においては投げ順や手札交換、序盤の盤面形成とPPブーストのトレードオフなど様々なポイントを意識して見ていきたいところです。

モノヴァンパイア

※Shadowverse Pro Tour 22-23 3rd Season 本選

アディショナル環境前から無視できない存在感を放っていたモノヴァンパイア。
《月下の狼王・ヴァルツ》の追加によって【復讐】状態のコントロールが容易になりました。
これにより《アビスドゥームロード》を安定起動できるようになり、対フラムグラスネクロマンサーの相性向上という点でも注目を集めていました。

モノヴァンパイアの対ラティカエルフのアプローチは「ダメージカットと次ターンでのリーサル準備の両立」。
《アビスドゥームロード》進化によるダメージ無効化で時間を稼ぎつつ相手の体力を詰め、次のターンで《悠久の真紅・モノ》によるバーストダメージを叩きこむようなゲームデザインとなります。
EPが必要となるため、複数ターン連続してダメージカットし続けることは難しいですが、モノヴァンパイアのリーサル目安が7~8PPほどのため、7PPをひとつの足場とするラティカエルフに対して1ターンを捻出できる価値の大きさは計り知れません。
また、《アビスドゥームロード》本体の【疾走】によるダメージは《ヒーリングフェアリー》等で回復されてしまうこともありますが、エルフ側の守護が基本的には《メタトロン》に限られることも手伝って20点規模のバーストダメージを通しきれる公算が高いというのもマッチアップとして噛み合っています。

対ラティカエルフに限りませんが、モノヴァンパイアは手札や【復讐】状態等、管理しなくてはいけない変数の多いデッキです。
プレイするカードの枚数以上の選択肢が常に目の前に広がっているため、取捨選択からプレイヤーの意図が明確に伝わってくるのが観戦における醍醐味といえるかもしれません。

有明に咆える

今回は急激な環境変化があったことを踏まえ、ラティカエルフを中心に解説しましたが、アディショナル以前に猛威を振るったフラムグラスネクロマンサーや秘術ウィッチが姿を消したわけではありません。
非常に多彩なデッキがBO5の選択候補となりえる今環境。
その締めくくりに来てなお複雑極まるメタゲームを読み切り、構築・プレイで我々を魅せてくれるのはいったい誰なのか。

その答えが出るGRAND FINALSは 9月23日(金・祝) 11時より開幕です。
会場の有明セントラルタワーホールまではRAGE公式ページにてアクセスマップも掲載しておりますので、是非1戦たりともお見逃しなきよう。

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