2020 Winter

【オンライン予選大会 プレーオフレポート】RAGE Shadowverse 2020 Winter

11月3日(火・祝)に実施された予選プレーオフ。既に27名にまで絞られていた強豪たちが一歩も譲らない戦いを繰り広げ、8名のファイナリストが決定しました。今回からフィーチャーマッチでは選手の様子が映るようになり、プレイを熟考する真剣な表情や、GRAND FINALS進出を決めて喜びを爆発させる様子など、オフライン予選さながらの臨場感を感じることができました。

さて、この度のプレーオフは10月28日(水)に実施されたカード能力調整から1週間とたたないうちの開催ということで、出場選手たちもデッキの調整・練習等非常に苦労した様子がうかがえました。勝利者インタビューでも「ギリギリまでデッキの決定に時間をかけた」という趣旨のコメントが散見されています。そのような難しい条件下で、各プレイヤーが選択してきたデッキは一体何だったのか。能力調整の影響や、それによる環境の変化を見据えたカード採用など、順を追って見ていきましょう。

プレーオフ環境の振り返り

まずは、今回プレーオフ出場プレイヤーが選択したデッキの分布です。


オンライン二次予選のフィーチャーマッチと比較して、大きく数を減らしたのがグレモリーネクロマンサーです。また、コントロールネメシスもその使用率を落としています。一方で能力調整により陰りが見えるかに思われた守護ビショップ・進化ロイヤル・アーティファクトネメシスの3タイプは依然として根強い人気を誇り、その戦いぶりは健在でした。
こうした変化の主だった理由は2つほど考えられます。

① アグロデッキの台頭

多くのデッキで採用されていたニュートラル・フォロワー『《世界》・ゼルガネイア』の弱体化はやはり非常に影響が大きいと予想されていました。今回のプレーオフで数を減らしたグレモリーネクロマンサー・コントロールネメシスはいずれも序盤から積極的に攻撃されると脆い側面があり、これまで『《世界》・ゼルガネイア』が頭を押さえていたアグロデッキの増加を予見したプレイヤーが持ち込みを敬遠した可能性は高そうです。

※ファイナリスト 爪選手のアグロネクロマンサー
能力調整前ではかなり躊躇われた「フェイス進化」も、『《世界》・ゼルガネイア』の着地前に逃げ切る形で選択しやすくなりました。

アグロデッキの増加を警戒するならば、必然的に守護・回復・盤面処理に長けたデッキ選択を意識することとなります。『《世界》・ゼルガネイア』に頼らずともこれらを達成しやすいデッキとしては進化ロイヤル・守護ビショップ・アーティファクトネメシスなどが挙がり、今回のプレーオフのデッキ分布との結びつきが見られます。

② 一部のマッチアップにおける相性変化

能力調整以降も、調整対象のカードを抱えるデッキ同士であれば、その相性関係に劇的な変化は起こりませんでした。進化ロイヤルは守護ビショップの盤面を捌きながら体力を維持しやすく、グレモリーネクロマンサーは進化ロイヤルのリーサルを完全にシャットアウトできる。アーティファクトネメシスはグレモリーネクロマンサーの苦手とする素早い横展開に長け、守護ビショップは攻守の大部分をフォロワーが担うアーティファクトネメシスに対して守護能力を押し付けることができる。こうしたデッキコンセプト単位での噛み合い方は各キーカードが能力調整を受けてなお、変わらなかったためです。
とはいえ、当然全くの無影響というわけにはいきません。『トリニティモンスターズ』の決定力低下に伴い、リーサルターンが後ろにずれやすくなったグレモリーネクロマンサーにとって、時間制限のあるマッチアップはかなり戦いにくくなりました。中でも、対守護ビショップでは1ターンの差で相手の『光輝の顕現・ラー』のダメージが足りてしまったり、『聖なる守り手・ユカリ』のユニオンバーストが間に合ってしまったりということが往々にしてあるため、能力調整以前のように「進化ロイヤルをメインターゲットに据えつつ、守護ビショップとも渡り合える」という立ち位置には留まりにくくなってしまいました。

※ファイナリスト ぱこりん選手のグレモリーネクロマンサー
『デスブリンガー』の盤面処理・回復能力を活かし、ビショップとの長期戦を戦える構成になっています。

グレモリーネクロマンサーの減少理由は①だけでなく、従来のデッキではこうした「アグロデッキを意識した進化ロイヤル・守護ビショップを狙う」という役割に徹することが難しくなったという点も考えられそうです。

再評価されたカードたち

こうして見ると、主要なデッキタイプはオンライン二次予選の時からあまりその顔ぶれを変えていません。ただし、能力調整の影響を乗り越えるべく、前述の『デスブリンガー』入りネクロマンサーなど、既存のデッキタイプの多くで特徴的なカード採用や、かつて不採用となったカードの再検討などが見られました。ここではその中からいくつかピックアップし、その狙いや強みについて考察してみましょう。

① 伝道の司祭・ロレーナ(守護ビショップ)

もともと、能力調整前から守護ビショップにおける採用候補に名を連ねていたこのカードですが、今回守護ビショップを携えてファイナリストの座についた4名中、3名が3枚採用としています。主な狙いとしては、扱いづらくなった『ホーリーエンチャンター』に頼らず手札を確保することが挙げられますが、このカードのメリットはそれに留まりません。

  • 非守護フォロワーのため、守護の多いこのデッキでは守護フォロワーに守られ、場に残りやすい
  • アグロデッキを意識したい環境に『ロレーナの聖水』がマッチしている

ドロー効果や体力の回復といった防御的な性能にばかり目がいきがちですが、1つ目の「場持ちの良さ」については、自身の進化時効果や『神託の大天使・ガブリエル』を活かしやすいメリットとなっています。盤面の優位を奪いながら、守護フォロワーの裏で相手体力にプレッシャーをかけるアタッカーの役割を兼ねられるカードだといえるでしょう。ただし、このカードの採用に当たって、次のような悩みは避けて通れません。

  • 3コスト帯が非常にかさばってしまう

もとより『聖なる守り手・ユカリ』や『闇穿つ煌めき・サリッサ』などのキーカードを3コストに抱えるデッキだったため、『ホーリーエンチャンター』のコスト調整により、3コストの渋滞に悩まされることになりました。深く考えずに『伝道の司祭・ロレーナ』や、まして相性がいいからと『神託の大天使・ガブリエル』まで採用してしまえば、プレイの柔軟性を損ねかねません。対処方法としては、「『聖石の使徒』に代表される低コストカードの採用を増やして相殺する」「3コストの採用カードを厳選する」などがあり、後者の例では『ホーリーエンチャンター』自体が不採用となるケースも存在しました。

※ファイナリスト ミル選手の守護ビショップ

『ホーリーエンチャンター』不採用をカバーする『カインドブライト』3枚。これでもなお13枚にのぼる3コストの採用枚数は、このデッキの構築の難しさを物語っています。

リジェネレーター・ラインハルト(進化ロイヤル)

今回、使用率に反して苦しい戦いを強いられたのが進化ロイヤルです。かねてよりリーサルを『君臨する猛虎』に依存しがちだったデッキですが、周囲がアグロデッキへのガードを上げた結果、盤面を取りきっての勝利が一層難しくなりました。そのような中でロイヤルを操り、見事ファイナリストになったプレイヤーは2名。ともに『リジェネレーター・ラインハルト』を2枚採用としています。能力調整以前から採否の分かれるカードだったためお馴染みかもしれませんが、強みとしては以下のものが挙がるでしょう。

  • 盤面処理と回復を同時にこなし、アグロデッキへの防波堤を担う
  • 処理されなければ複数回の効果起動により、大幅なアドバンテージを得ることができる

1つ目の長所は『《世界》・ゼルガネイア』に通じるもので、能力調整前は役割の重複を嫌ってその数を減らす傾向にありました。2つ目については「処理されなければ」という条件こそつきますが、裏を返せば、相手に強引な処理を要求してEPを削ったり、キーカードのプレイを遅れさせる運用が可能です。

  • 単体除去に長けたデッキに対しては、コスト差でアドバンテージを稼がれてしまう

欠点としては上記のものが大きく、ミラーマッチや対コントロールネメシス戦では慎重なプレイが求められると言えるでしょう。
総じて、プレーオフの進化ロイヤルは10ターン目の勝利に重きを置くのではなく、アグロデッキを意識しつつ、対アーティファクトネメシスや対守護ビショップでの立ち回りやすさを優先したメタデッキ寄りのデザインが一定の成果をあげたと考えられます。

※ファイナリスト suuuum選手の進化ロイヤル

『両雄激突』の起用により盤面の取り合い、体力の維持に特化した構築。『リジェネレーター・ラインハルト』のサイズを即座に6/6に引き上げられるため、守護ビショップの攻撃力5のフォロワー達にカウンターしやすくなっています。

③ カオスルーラー・アイシィレンドリング(アーティファクトネメシス)

プレーオフのデッキ選択で最も人気を博したのはアーティファクトネメシスです。『アーティファクトスキャン』の弱体化を受けてなお高い展開力を誇るこのデッキは、今回のプレーオフでも特に構築に個人差が出たと言えるでしょう。『ヴァーテクスコロニー』の採用枚数を始めとして、採用する2コストカードの種類や、起用する直接召喚フォロワーなど、様々なアプローチが試される様子はデッキ基盤の懐の広さを感じさせます。
そんな中ここで着目したいのは『カオスルーラー・アイシィレンドリング』です。やはりこのカードも以前からちらほらと見かけるカードではありましたが、プレーオフでは特に活躍の機会が多かったのではないでしょうか。主な採用の狙いは次のようなものが考えられます。

  • 『魔導列車』によって進化ロイヤルや守護ビショップといった、終盤のパワーが高いデッキの守りを突き崩す
  • 『デッドペナルティ』によって相手のリーサルターンを後ろにずらす
  • 直接召喚を狙うためのフォロワー大量展開が、対アグロデッキで防御的な役割を兼ねる

2種のトークンそれぞれに明確な役割があり、特に『魔導列車』の有無を言わせない盤面制圧力は『バハムート』を思わせるほどです。では、何故能力調整前のアーティファクトネメシスでは採用例が少なかったのでしょうか。原因として、次のような短所が挙げられるかもしれません。

  • 直接召喚を達成できるターンが遅い
  • 手札からプレイする場合、大型フォロワーの除去に秀でたデッキに対しては隙を作りやすい

上記2点は特に「8ターン目前後のリーサル」と「豊富な必殺フォロワー」を有していたグレモリーネクロマンサーとのマッチアップで表面化しやすい課題でした。結果として、グレモリーネクロマンサーのシェアが高かった能力調整前環境では、デッキの重心を低コストに寄せた攻撃的な構築に収束していき、『カオスルーラー・アイシィレンドリング』は採用優先度を落とす傾向にあったと考えられます。
能力調整後の環境ではグレモリーネクロマンサーが数を減らすとともに、平均的なリーサルターンも遅くなったため直接召喚が間に合うケースが増え、再び採用候補として有力視されるようになりました。その意味で、仮想敵がグレモリーネクロマンサーから進化ロイヤル・守護ビショップへと切り替わる中で価値を増したカードだと言えるかもしれません。

※ファイナリスト す選手のアーティファクトネメシス

『夢の使者・アメス』『天覇風神・フェイラン』などのバフ手段を構えることで『ヴォイドリアライズ』の回収速度を上げ、選択肢を広く取りやすいことも特徴の1つです。

 

いかがだったでしょうか。今回はカード能力調整による環境変化に焦点を当て、プレーオフにおける強豪プレイヤーたちのデッキ・採用カード選択から、その背景を紐解く形で進めさせていただきました。どの調整1つをとっても、そのカードを採用していたデッキのみならず、相対していた様々なデッキに直接的・間接的な影響が生まれるという、このゲームの難解さを一つの魅力としてお伝えできていれば幸いです。

今回急な環境変化にもかかわらず、高いレベルでデッキ・プレイを仕上げてきた8名の猛者によって繰り広げられるGRAND FINALSは12月20日(日)開催となります。アディショナルカードの実装からひと月の時間を得た彼らがどのような答えを、雄姿を見せてくれるのか。当日を楽しみにお待ちください。
【文:まる】

RAGE Shadowverse 2020 Winter GRAND FINALS

            • 日時:12月20日(日) 12時〜
            • 配信プラットフォーム:OPENREC・ABEMA・YouTube・Periscope
          大会詳細

          https://rage-esports.jp/shadowverse/2020winter

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