2020 Winter

【オンライン予選大会 2次予選レポート】RAGE Shadowverse 2020 Winter

3ヵ月に1度、約10,000名の猛者たちが頂点を競うRAGE Shadowverse。今回で3度目となるオンライン2次予選は、いつにも増して賑わいを見せました。というのも、「久しぶりの2強環境(使用デッキのシェアの大半を2種類のデッキが占める環境)ではないか」と囁かれていた今大会、いざ蓋を開けてみるとこれまでベールに包まれていた多彩なデッキが活躍を見せたからです。

フィーチャーマッチでの使用クラス・デッキ分布も以下のようになっており、多寡の差こそあれど、多くのデッキが2次予選でしのぎを削った様子がうかがえます。


本レポートではこれらのデッキの中からいくつかを取りあげ、その特徴を整理するとともに、2次予選における立ち位置などについて触れていきたいと思います。それでは早速見ていきましょう。

2次予選で活躍したデッキたち

グレモリーネクロマンサー

『死期を視るもの・グレモリー』のリーダー付与能力を起点に、後半戦での盤面制圧ならびにバーストダメージ(相手リーダーに1ターンで与える大ダメージ)から決着を狙うコンボデッキです。

長所
  • ドロー枚数が勝利に直結するデッキ構造上、各カードへのアクセスに優れる
  • 『トリニティモンスターズ』のプレイ以降、相手のダメージソースのうち場を経由するもの全般を、ほぼ無力化できる
  • 小さな打点の連続によってバーストダメージを構成するため、相手のダメージカットや守護フォロワーの影響を受けにくく、翻って高い決定力を持つ
短所
  • 『死期を視るもの・グレモリー』の効果起動まで能動的な盤面展開ができない
  • 多面除去の手段に乏しく、序盤で体力を削られやすい

環境初期からは少し遅れて浸透し始め、進化ロイヤルの流行に歯止めをかけたのがグレモリーネクロマンサーです。デッキの大半を「墓場の増加」「ドロー」「ネクロマンス」のいずれかの能力を持つカードで構成しており、7〜8ターン目には安定してリーダー能力付与を達成出来る点が特徴となっています。

デッキの重要な一角を占める『トリニティモンスターズ』はひとたび効果を起動してしまえば、盤面制圧とバーンダメージ(能力による相手リーダーへのダメージ)を一手に担う強力なカードで、『冥府への道』さながらです。攻撃力・ラストワードを持ったフォロワーとして場に残ることを思えば、より凶悪な性能をしているとも言えるでしょう。このカードの存在によって多くのデッキに対して共通した勝利プランを描きやすくなっており、プレイ指針が分かりやすいという点も、このデッキの人気を後押ししています。

上述の通り、守護フォロワーの突破自体は比較的容易ですが、突破行為の多くは交戦を伴います。したがって守護ビショップとのマッチアップでは、『グランドナイト・ウィルバート』によって大きく体力を削られるリスクが発生することを念頭に置き、場の小型フォロワーを『イグジストソード・ギルト』で退場させる準備が必要となるなど、細かいテクニック自体は多く、「誰にでも扱える反面、比較的巧拙が浮き彫りとなる」デッキだったと言えるかもしれません。

守護ビショップ

攻守共に優れた盤面に加え、長期戦での強力なダメージソースを複数携えるデッキです。2次予選においても、レンジを問わない活躍を見せてくれました。

長所
  • 豊富な守護フォロワー群によって、大型フォロワーやリーダーの体力を守りやすい
  • 『結晶:双砲の神罰・アンヴェルト』や『《世界》・ゼルガネイア』の直接召喚など、コストを踏み倒す動きによって、1ターンで盤面の形勢をひっくり返すことができる
  • 『聖なる守り手・ユカリ』と『光輝の顕現・ラー』の存在により、盤面を軸としない長期戦も展開可能
短所
  • ドローを一部のカードに依存しやすく、キーカードの欠損が起こりうる
  • バーストダメージを持たないため、回復・除去手段の豊富なデッキに対して決定力を欠く

後半戦の盤面に覇を唱えるのがグレモリーネクロマンサーだとすれば、序盤からゲーム終了までバランスよく盤面の存在感を保つことに長けているのが守護ビショップです。豊富な守護フォロワーで相手の効果的なトレードを阻害するだけでは、フォロワー自体は相手の盤面に残ってしまいます。しかし、『双砲の神罰・アンヴェルト』や『《世界》・ゼルガネイア』によってそうしたフォロワーを一掃できるため、守護と全体除去のセットによって場のコントロールを可能としていると言えます。

比較的構築コンセプトに自由度があることもひとつの特徴でしょう。『神託の大天使・ガブリエル』や『ゴールデンイーグル』などの攻撃的なフォロワーを起用すれば、対ネクロマンサー戦の序中盤で大きくリードできる可能性が高まります。逆に『聖なる守り手・ユカリ』や『ラブソングシンガー』など守りに長けたカードを厚く取れば、ミラーマッチにおける終盤の削り合いで優位に立ちやすくなるでしょう。

ややデッキの弱点にもなっているドローソースでさえ、『包み込む願い』『伝道の司祭・ロレーナ』など拡張性を持っており、総じて使い手のプレイスタイルや仮想敵によってその全貌を変える、万能型のデッキとしてのポテンシャルを秘めています。

コントロールネメシス

相手の攻め手をいなしながらキーカードを整え、後攻8ターン目以降に回避困難な20点コンボを叩きつけることに特化したコントロールデッキです。

長所
  • 現カードプールでは、『聖なる守り手・ユカリ』と『ペインレスサムライ』というクラス専用カード以外で防ぐことの出来ない決定打を持つ
  • ドロー枚数を確保しやすく、コンボパーツへのアクセスに優れる
  • キーカード欠損時も、10ターン目の『《世界》・ゼルガネイア』と『破壊を齎すもの・ヴィズヤ』のコンボは健在
短所
  • ゲームを通して攻めを放棄する構成のため、相手の体力にプレッシャーをかけづらく、結果として強力な動きを許してしまいやすい
  • 上述のダメージカットカード2種類は主要デッキでの採用が標準のため、リーサルを阻害される可能性は依然として存在する

随一の決定力によって、初速の遅いデッキ全般に睨みをきかせたのがコントロールネメシスです。最速後攻8ターン目に、問答無用で相手の体力を奪い去るさまは運命の神々(FOH)環境の秘術ウィッチを彷彿とさせます。

ただ、このデッキが台頭した背景にはおそらく「リーサルの手堅さ」だけでなく、「環境との噛み合い」があると考えられます。鍵となるのは『惨禍の円環』『パペットボックス』の2枚です。今環境を席巻した守護ビショップ、グレモリーネクロマンサーはそれぞれ『ホーリーエンチャンター』や『闇穿つ煌き・サリッサ』、『モーターグレイブディガー』や『ネクロインパルス』など場の広さがパフォーマンスに直結するカードを多数採用しています。そのため、『惨禍の円環』『パペットボックス』はカード自身の効果に加えて、「相手の場を埋める」という点で価値を持ちやすく、両マッチアップにおいて活躍の場が多かったと予想されます。

しかしながら、無策の相手への決定力が高い反面、ダメージカット1枚で容易く時間を捻出されてしまうことも事実です。安全にEPを『ディメンションドミネーター』に割くことができる試合ばかりでもないでしょう。そうしたゲームでは手札と場の状況を冷静に見つめながら、リソースの温存と盤面の対処に的確な優先順位付けが求められてくるため、プレイヤーの力量が問われるシーンも多く目にします。

アグロエルフ

「Storm Over Rivayle / レヴィールの旋風」で追加された『従順な駿馬』や『魔導装甲車』などのトークンアミュレットが持つ新能力「操縦」効果(通称:乗り物ギミック)を駆使して、サイズアップさせた疾走フォロワーで素早く相手の体力を奪うことを主眼に置いたアグロデッキです。

長所
  • 『サボテンカウボーイ』を筆頭に、トークンアミュレットを低コストで生成できるクラスカードを擁し、効率よく疾走フォロワーの強化が可能
  • 『《吊るされた男》・ローフラッド』がカードの効果では破壊されないため、多くのデッキで採用されていた『《世界》・ゼルガネイア』に耐性がある
  • 守りの堅い相手に対して、『真偽の逆転』による特殊勝利プランへの切り替えを狙うことができる
短所
  • アグロプランは終盤の詰めを疾走フォロワーに頼ることが多く、守護フォロワーの影響を受けやすい
  • ドローソースが心許なく、全体除去などで一度攻勢を崩されると立て直しが難しい

水面下で勢力を広げ、今回のオンライン2次予選で猛威を振るったと思われるのがアグロエルフですが、その最大の特徴は何といってもプランの緩急にあります。序盤の場が弱い相手には小型フォロワー群で急襲を仕掛け、押し切ることが難しいマッチアップでは『真偽の逆転』から特殊勝利を目指す。このように攻撃一辺倒ではない性格を有し、またアグロプランでの攻め切りを目指すにあたっても低コストカードの組み合わせ方は多岐にわたるため、特に判断力に覚えのあるプレイヤーが好んで使用していた印象があります。

アグロプランにより、主に序盤の隙が大きいネクロマンサーを仮想的に据えやすいという点が、ここにきてシェアを大きく伸ばした理由ですが、守護ビショップやコントロールネメシスなど他のデッキタイプも含め、ドローソースが充実している今環境に『真偽の逆転』が突き刺さったという見方も同時にすることができます。今回の2次予選でもロキサスコンボエルフや異形エルフなど、アグロタイプではないエルフデッキが活躍を見せましたが、いずれも『《吊るされた男》・ローフラッド』を起用していました。

こうして一見すると非常に柔軟なデッキに思えますが、当然ただ攻め手が途切れたら『真偽の逆転』に切り替えるという動きでは、特殊勝利にこぎつけることは容易ではありません。相手体力へのダメージ配分やEPの温存など、早期にプランを決断して必要なリソース(自身のリーダーの体力や相手のプレイカード誘導も含む)確保に回る必要があるという意味では、玄人向けの側面も持ち合わせた一癖あるデッキだといえるでしょう。

カード能力調整とプレーオフの展望

さて、ここまで2次予選での活躍が目覚ましかったデッキをいくつかご紹介しましたが、プレーオフトーナメントではまた異なる戦いが繰り広げられることとなりそうです。皆さんご存じの通り、10月28日に複数のカードに能力調整が施されたためです。来るプレーオフに向けて、注視していきたい今回の能力調整の影響を少しピックアップしてみましょう。

『《世界》・ゼルガネイア』

ニュートラルとして多くのデッキを下支えしてきたこのカードですが、持っている効果そのものには変更がありませんでした。ファンファーレ能力ももとより単体で完結しており、直接召喚以外で他カードとの組み合わせを前提とする運用は少ないため、コストの上昇も致命的にはなりづらく、今後も一定の採用が見られそうです。

ただし、最速でプレイできるターンが1つ後ろにずれ込むため、これまで『《世界》・ゼルガネイア』を敬遠して姿をひそめていたアグロデッキ群が頭角を現す可能性が出てきています。『君臨する猛虎』による20点コンボを失ったロイヤルがなお、アグロデッキに対する抑えとしての役割を持つのかという点も含め、見かけの変更以上に環境に及ぼす影響は大きいかもしれません。

『トリニティモンスターズ』

2次予選フィーチャーマッチで最も目にしたフォロワーといっても過言ではないでしょう。調整内容はサイズダウンとダメージ量低下の2点。いずれも数値は1ずつの低下ですが、この調整によって20点分のダメージを捻出するカードの要求枚数が変わっています。

まずは『冥界への霊道』と『フェイタルオーダー』のコンボが崩れています。RAGEのようなデッキ非公開制の競技シーンでは奇襲性能が非常に高いコンボでしたが、今後は2枚で20点を詰め切ることはできなくなります。

また、『死期を視るもの・グレモリー』の効果起動以降、必要な『トリニティモンスターズ』『ネクロインパルス』の合計枚数についても変化が生じています。以前は一方を2枚、もう一方を1枚の計3枚で20点を捻出することができましたが、能力調整以降は4枚のカードが要求されることとなります。3枚であれば、7ターン目に墓場を増やしてから手札の『死期を視るもの・グレモリー』をプレイする流れでも8ターン目に勝利できる見込みは比較的高かったのですが、4枚要求されるようになれば、コストの兼ね合いで同様のプランはほぼ成り立たなくなります。即ち、7ターン目開始時までに『死期を視るもの・グレモリー』の直接召喚条件を満たせない場合、勝利ターンが9以降にずれ込む可能性が高い調整となっており、こちらも見た目以上に影響が大きそうです。

ここでは、2つのカードについてピックアップしてプレーオフ環境への影響を議論しましたが、もちろん他のカードの能力調整も軽視できるものではありません。

2次予選で活躍を見せたアグロエルフに更なる追い風をもたらす『ギガントパスチャー』や、大幅な強化を受けた『ウールヴヘジン・アラガヴィ』など、様々なデッキが再び競技シーンで検討されていくことでしょう。

おそらくは非常に混然とした環境で行われるプレーオフトーナメント。過酷な条件を戦い抜き、見事ファイナリストの座に登りつめるのは一体どのプレイヤーになるのか。是非11月3日(火・祝)、皆さんご自身の目で見届けてください。

【文:まる】

オンライン予選大会 プレーオフ

2020年11月3日(火・祝) 14時〜

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