【オンライン予選大会 プレーオフに向けて】RAGE Shadowverse 2021 Spring
初めまして。Shadowverseの公式大会やプロリーグで解説をしている、株式会社ODYSSEY所属、海老原悠です。
今回、RAGE公式で初めて筆を取らせていただく運びとなりました。
今年初となるRAGE Shadowverse 2021 Springのオンライン予選大会で、2次予選を勝ち抜きプレーオフ進出を決めた選手達のデッキを見ながら、デッキ考察や注目選手の紹介をしていきます。
デッキ分布
クラス使用率(選手31名)
1位 エルフ 27名 43.5%
2位 ネクロマンサー 18名 29.0%
3位 ドラゴン 9名 14.5%
4位 ビショップ 6名 9.7%
5位 ロイヤル 2名 3.2%
デッキタイプ別使用数
1位 アクセラレートエルフ 20名
2位 グレモリーネクロマンサー 18名
3位 ロキサスエルフ、疾走ランプドラゴン 6名
4位 清浄ビショップ 3名
5位 進化ロイヤル、守護ビショップ 2名
6位 アグロエルフ、庭園ドラゴン、疾走アグロドラゴン、ディスカードドラゴン、連携ビショップ 1名
「Eternal Awakening / 十天覚醒」環境初期のメタゲームでは、まずアグロデッキの台頭が目立ちました。その流行を見てプレイヤー達のメタのターゲットは対アグロに合わせた格好になります。様々なメタが施され、目まぐるしいメタゲームの結果、完成を迎えたデッキがアクセラレートエルフとグレモリーネクロマンサーであり、今回の2次予選ではトップシェアに君臨しました。デッキの流行が分かったところで、早速プレーオフ進出者の2次予選で使用したデッキを取りあげ、そのデッキの特徴を見ていきましょう。
デッキ紹介
アクセラレートエルフ
※あぐのむ選手のデッキリスト
キーワード能力であるアクセラレートを駆使して、『フォレストレンジャー・ウェルダー』や『妖精の開花』を使った疾走で相手リーダーの体力を詰めきるデッキ。
メリット
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- ドローソースが豊富
- ゲームプランの柔軟性
- 除去能力が高い
デメリット
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- コストカーブ通りにしか動けない
- 回復量が少ない
環境初期に流行ったアグロデッキに待ったをかけたのが、高水準な盤面除去力を持っているアクセラレートエルフだ。大会で勝ち進むデッキ選択の一つとして「安定感の高いデッキ」というのがあるが、このデッキはそこに当てはまるでしょう。
なぜならば1コストのカードの組み合わせが初動となり、「結晶1」でプレイする『ゼノ・サジタリウス』や『導きの巫女・コッコロ』等といったリソースカードが豊富に採用されているからだ。さらに特徴としてあがるのはオールレンジデッキと呼ばれている、ゲームプランの柔軟性。
序盤からアクセラレートを連打することで『フォレストレンジャー・ウェルダー』を直接召喚して攻めるアグロ戦術。『マドロスエルフ』を本体の4コストでプレイして作り出す強力な盤面形成。『ヴァーミンハンター』や『森を彩る者・エルフクイーン』を使って相手の盤面を除去し、リソース勝負の長期戦に持ち込むことも可能だ。使用するプレイヤーの大局観で変わる部分はあるが、多様な戦術のおかげで極端に有利不利もなく各対面満遍なく戦うことができる器用なデッキになっている。一方でコストが下がったりPPブーストすることがないので、一気に盤面形成してくるロキサスエルフであったり、リーダーの体力を回復できるのが『永久なる輝き・エリン』と『導きの巫女・コッコロ』のユニオンバーストの微力な回復しかないため疾走ランプドラゴンのような攻撃力の高いデッキを苦手としている。
グレモリーネクロマンサー
※DarknessMare選手のデッキリスト
『死期を視るもの・グレモリー』のリーダー付与効果を使って、『トリニティモンスターズ』による強力な盤面形成や『ネクロインパルス』の疾走ダメージで勝利を狙うコンボデッキ。
メリット
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- 『死期を視るもの・グレモリー』の効果起動からの超展開
- 『天覇風神・フェイラン』直接召喚からの盤面形成力
デメリット
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- 序盤の盤面が貧弱
- 複数の相手フォロワーを処理しづらい
- 直接召喚するフォロワーを利用されて盤面が狭くなりがち
『アンデットパレード』の登場で連携と墓場のカウントが稼せぎやすくなり、『天覇風神・フェイラン』や『死期を視るもの・グレモリー』の直接召喚を達成しやすくなっている。
新入りのおかげもあり前期に続いて今期も大流行している非常にパワーの高いデッキの一つだ。5~7ターン目は『天覇風神・フェイラン』+『《恋人》・ミルティオ』や『王墓の骸』エンハンスで盤面形成。7ターン目以降は『死期を視るもの・グレモリー』の効果を起動させ『トリニティモンスターズ』や『ネクロインパルス』でPPを回復して、さらに追加で『《世界》・ゼルガネイア』で体力回復を決める。という感じで一度マウントが取れれば、このデッキに抵抗するのは難しい。
だが、序盤コンボのお膳立てを必要とするデッキなので、盤面が貧弱で攻め込まれやすい。『《恋人》・ミルティオ』は自身のデッキ回転率を上昇させるが、リアニメイトするフォロワーがランダムなので盤面処理能力が低く、そこに合わせて相手に強力なフォロワー展開されると処理が間に合わず『死期を視るもの・グレモリー』の顔を拝む前に負けてしまう。圧倒的な決定力のあるコンボデッキだが、その反面序中盤の脆さが目立つデッキである。
ロキサスエルフ
※フォレストG×G選手のデッキリスト
『開拓のロデオガイ・ロキサス』から生み出されるアミュレットを展開して、『優美な猫姉妹・シャム&シャマ』や『フォレストレンジャー・ウェルダー』を強化することで相手リーダーの体力を一気に削るコンボデッキ。
メリット
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- 『開拓のロデオガイ・ロキサス』を使った圧倒的な盤面形成力
- 『ヴァーミンハンター』の効果を最大限に活かせる
デメリット
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- コンボでリソースを使い切ってしまう
- コンボと除去の両立が難しい
コンボを支えてくれた自然ギミックがローテーションから姿を消したことで環境初期は流行っていなかったが、環境が進み『開拓のロデオガイ・ロキサス』を『従順な駿馬』等の乗り物ギミックに乗せることでコンボを決めるデッキとして復活を遂げた。
「5ロキ」この言葉に悩まされているプレイヤーも多いのではないだろうか?
このデッキの強み『開拓のロデオガイ・ロキサス』を使った展開で、序盤に『ワイルドリザード』等で乗り物アミュレットを設置して準備、5.6ターン目に『優美な猫姉妹・シャム&シャマ』等を絡めながら強力なステータスで走らせる。ロキサスコンボのフルムーブが成立してしまえば返すのは至難の業。例え返せたとしても残り僅かになっている体力に『小槌の勇士・スクナ』が追い打ちをかける。
このデッキのもう一つの強み『ヴァーミンハンター』は乗り物アミュレット相性が良い。
中盤の盤面除去としても優秀なのはもちろん、7ターン目には『開拓のロデオガイ・ロキサス』と組み合わせると、盤面形成と盤面除去の両方をを叶えてくれる。ロキサスコンボが成立してしまえば強力ではあるものの、攻めれる回数がシビアなデッキで一度の攻め手で相手リーダーの体力を削れていないと、こちらの後続が持たず相手リーダーの体力が削りきれなくなる。自然ギミックをロキサスコンボに絡めていない影響でプレイ回数が思ったように伸びず、『優美な猫姉妹・シャム&シャマ』から加えられるトークンカードが手に入りづらい。
この現状は思ったよりも深刻で、『ヴァーミンハンター』の絡まないシチュエーションは『開拓のロデオガイ・ロキサス』を無傷で残すことは難しくなっており、より強力な盤面形成をするなら相手の盤面と相談して攻めるタイミングを伺わなければならない。
疾走ランプドラゴン
※ふぇぐ選手のデッキリスト
PPブーストから『ダークジェイルドラゴン』や『烈覇のアルチザン・レジー』による疾走打点と『ドラゴンイクシード・ギルヴァ』や『天穹の銃槍騎・ラスティナ』のバーンダメージで相手リーダーの体力を削る現環境で最もアグレッシブなデッキ。
メリット
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- PPブースト後の猛攻
- 小粒フォロワーの横並べに対して強い
デメリット
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- 動きのバリエーションが少ない
- リソース不足
乗り物ギミックや『竜の育成』といったバフカードを使って高打点を叩き出すデッキで、バフカードとシナジーのあるフォロワーを多く採用しているデッキ構成。
『竜の託宣』、『ドラゴニックレイジ』、『烈覇のアルチザン・レジー』で序盤はPPブーストすることで相手を置き去りにして、そのまま『天穹の銃槍騎・ラスティナ』や『ダークジェイルドラゴン』等に繋げ猛攻を仕掛けて削り切る。相手の横並べの展開に対応できるカード『ゲオルギウス』や『ドラゴンイクシード・ギルヴァ』が多投されているのも魅力の一つだ。序盤の動きがPPブーストをすることがメインで、後攻時はPPブーストをしているとテンポロスを取り返すのは難しく、そこに付け込まれて押し切られてしまう展開も少なくない。さらにPPブーストの動きや疾走打点の連打は手札の消耗が激しく息切れも多い。リソースを回復しようと思うと覚醒時に『ドラゴニックコール』もしくは『未来への飛翔』からチョイスできる『グランの覚悟』をプレイするのに頼ることになる。中盤以降に一度手を止めて準備するターンを作らないといけないこともあり、攻め続けるのが難しいところが欠点だろう。
プレーオフ注目選手紹介
ふぇぐ
- Shadowverseの歴史を語るならこの男。Shadowverse World Grand Prix 2018優勝。王者ふぇぐ。Shadowverseのプロリーグにおいて発足時から活動し、常に最前線でプレイ。攻めるプレイスタイルを得意とし、今回の持ち込みに疾走ランプドラゴンがあったのも頷けます。あの「神引き」を世界の舞台でもう一度見たい!と期待してる人も多いはずです。
フォレスト/G×G
- プロリーグの舞台では2Pickerとして活躍しているフォレストだが構築の実力も折り紙付き。何を隠そうフォレストはRAGE Shadowverse 2018 Autumnで準優勝という実績がある。さらに今回は前回大会に続いて2回連続のプレーオフ進出と今一番波に乗っている。フォレストが魅せるどんな状況からでも勝利を手繰り寄せるプレイには注目だ。
あぐのむ
- サッカーJリーグ「横浜F・マリノス」のeスポーツチームに所属しShadowverseのプロ選手として活躍しているあぐのむ。構築に関して安定感の高いデッキを好んでおり、その結果が2大会連続プレーオフ進出というアベレージの高さを物語っている。RAGE vol5以来のファイナリストになれるのか?!
西野
- 孤高のサイレントウルフ。RAGE Shadowverse Summer 2020王者。その他にもJCGの大会で優勝経験もある実力者だ。冷静沈着で安定したプレイと我慢強さが光るプレイヤー。約一年ぶりとなるファイナリストに返り咲くことができるか、RAGE王者の活躍に期待したい。
イシのハラ
- 微笑みの黒帯軍師。RAGE Shadowverse 2020 Springファイナリスト。守るプレイが非常に丁寧で配信卓で見せたコントロールエルフのプレイはとても印象深いものだった。去年の雪辱を果たすべく今年もファイナリストを目指す。
ジョルの
- 堅牢のスクラム。RAGE Shadowverse 2020 Winterファイナリスト。まだ記憶に新しい前回大会のファイナリストである。最近ではmitsuyaやsuuuumといったプレイヤーが、2大会連続でファイナリストになるという偉業を成し遂げている。ジョルのもその歴史に名を刻むことができるか?!
能力調整後の環境で行われるプレーオフ
2次予選後の1月26日に能力調整が入り、複数のカードたちが能力変更された。その中でも環境に大きく影響を与えているのが『アクセルヒーロー・マイザー』だ。従来よりも手軽に『ラピッドファイア』を加えることが出来るようになり、さらにコストが2→1に下がってくれた。その『ラピッドファイア』を連射することでスペルブーストを加速させることが可能になり、スペルウィッチが台頭し始めている。直近のプロリーグでもスペルウィッチに組み込まれていて、このプレーオフの舞台でも『アクセルヒーロー・マイザー』が猛威を振るうことになるだろう。能力調整の影響で2次予選の時とは違う環境になってしまったことが、選手たちにとって吉と出るのか凶と出るのか。そして選手たちがどんなデッキを持ち込むのか、それぞれがたどり着いたBO3のベストアンサーを心待ちにしている。
『アクセルヒーロー・マイザー』を活用した参考デッキ:式神ウィッチ
【文:海老原悠】
オンライン予選大会 プレーオフ
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- 日時:2月11日(木・祝) 15時〜
- 配信プラットフォーム:OPENREC・YouTube・Periscope
大会詳細
https://rage-esports.jp/shadowverse/2021spring
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