2020 Spring

【予選大会Day1レポート】RAGE Shadowverse 2019 Winter

とうとう今年のRAGE予選すべてが終了しました。

年内最後の予選大会となった今大会ですが、新カードパックの追加から10日後の開催ということで、多くのプレイヤーが時間との戦いを余儀なくされたかと思います。

奇しくも1年前、RAGE Shadowverse 2018 Winterも新カードパック「十禍絶傑」の追加直後での開催だったため、当時大会に挑戦したプレイヤーたちは当日までの時間の使い方など、何かと実戦的な感覚を持って臨むことができたのではないでしょうか。

さて、今回もRAGE Shaowverse 2019 Autumnに引き続き、2回の大会レポートに分けて、予選大会で活躍を見せたデッキを概観していきたいと思います!

まだ環境も始まったばかりということで、多少なりとも今後のデッキ選択等の助けになれば幸いです。

Day1のクラス・デッキ分布

Day1クラス分布

Day1フィーチャーマッチのクラス分布
Day1フィーチャーマッチのデッキ分布

Day1のクラス分布や、フィーチャーマッチにおけるデッキ選択はこのようになっています。

やはり最大の特徴は何といってもビショップの大流行でしょう。
9割に迫るプレイヤーがビショップを持ち込んでおり、自然ビショップとエイラビショップが混在していたことを加味しても、相当数のミラーマッチが行われたことがうかがえます。

フィーチャーマッチに登場したデッキを見ると、やはり最大勢力は自然ビショップですが、エルフはリノセウス・自然・機械と3タイプ存在したことも特徴と言えるでしょう。

これほどの短期開催でありながら多彩なデッキタイプを抱えたリーダーということで、エルフ相手の手札交換は少し神経を使う場面も多かったのではないでしょうか。

それでは今回も、主要デッキの特徴を整理しつつ、大会環境における立ち位置を振り返ってみたいと思います。

自然ビショップ

自然ビショップ

長所
  • 相手のデッキタイプに合わせて柔軟なゲームメイクが可能
  • 個々のカードパワーが高く、多少の事故やミスはカバーしやすい
短所
  • 《黄金都市》を場に出す場合使える盤面が狭く、横展開を連続された時に対処が限られる
  • ミラーマッチでは、疾走カードを盤面処理に回す展開が頻発するためゲームが長期化しやすく、ライブラリアウト(デッキの枚数が0になって敗北すること)への警戒が必要

長所として挙げたように、豊富な疾走カードを活かして早期にライフプッシュをかける展開から、《ミュースプリンセス・ミルフィ》のエンハンスでリソースを保持しながら《荒野の休息》や《ジャスティス・マナ》の回復で相手の攻め手をいなす息の長い展開まで、幅広いレンジで戦うことができる対応力が大きな魅力です。

横並びへの対応力という短所も《聖弓の使い手・クルト》の存在により、そもそも相手が盤面にオールインしにくいという背景があるためほとんど死角がなく、大多数のプレイヤーが持ち込みを選択したのも納得のデッキと言えるでしょう。

裏を返せば大会の最大勢力になることは予想に難くなく、ある程度自然ビショップに対抗しうること、その他のデッキにより優位に戦えることのどちらを優先するのかが今シーズンのBO3におけるデッキ選択のスタート地点だったかもしれません。

自然ネクロマンサー

自然ネクロマンサー

盤面制圧に寄せた能力を持っており、これらのカードを利用して相手の攻勢を捌きながらラストワードの回数を稼ぎ、《トート》のファンファーレ発動を目指すというのがメインの勝ち筋となります。

長所
  • 除去力が高く、盤面展開を基盤とする、アグロ〜ミッドレンジタイプのデッキからは体力を守りやすい
  • 《トート》のファンファーレ発動後は相手の盤面にあまり依存せずに体力を削ることができるため、ロングゲームを仕掛けてくる相手に対して有利
短所
  • 「盤面処理」と「ラストワードを持つカードの破壊された枚数増加」の両方において《ネクログループ・ルベル》の貢献度が非常に高い分、引けない場合のパフォーマンス低下が著しい
  • 《トート》のファンファーレ発動まで時間を要し、それまでのライフプッシュは概ね盤面から行うため、除去に優れ、10ターン目までにバーストダメージ(1度に出る大きなダメージ)を出せるデッキには不利がつく
  • 消滅などでラストワードを無力化されると、《トート》のファンファーレ発動や《冥守の頂点・アイシャ》の直接召喚が遅れるなど複数の影響を受けてしまう

長所のひとつとして除去力を挙げていますが、スペルやアミュレットではなくフォロワーによる除去というのがポイントとなります。
ただ相手の盤面を除去するに留まらず、自分の盤面形成を同時に進められるケースがしばしばあるため、対処を迫って相手のリソースを吐き出させるほか、相手がさばききれなかったフォロワーで体力を削っていくことでフィニッシュターンを早めにいくなど、盤面を起点にゲームプランの微調整が可能です。
特に中盤で相手の疾走フォロワーを盤面処理に使わせることができれば、自然ビショップをロングゲームに引きずり込んで《トート》による削りを見込めるため、Day1で自然ビショップに次ぐ勢力となったのも、比較的自然ビショップに対抗しやすい点を評価された結果と見ることができるかもしれません。

一方で、今環境で言えば、盤面のフォロワーを除去しながら7~8ターン目をフィニッシュターンに設定してくるリノセウスエルフに対しては体力を削る速度が追いつかず、後れを取ってしまうことが多いデッキでもあります。

したがって、BO3における自然ネクロマンサーの採否は「対自然ビショップ戦を制するチャンスの増加」と「対リノセウスエルフ戦を落としやすくなるリスク」の天秤がプレイヤー毎にどう傾いたかを示しているともとれるでしょう。

リノセウスエルフ

リノセウスエルフ

《豪風のリノセウス》を6~8回プレイすることで、1ターンで相手の体力を削りきることを目指すコンセプトデッキです。
プレリリース期間から注目されていたその強さを支えているのは、再録となった《対空射撃》で、勝つために必須のバウンス(対象を手札に戻す能力)効果と、勝利条件達成まで自身の体力を守るための除去効果を併せ持つ攻防一体のカードと言えます。

長所
  • 《豪風のリノセウス》のプレイ数を稼ぐためのパーツが低コストで構成されているため、ドロー次第で早期の勝利条件達成が可能で、デッキの最大パフォーマンスはマッチアップの相性差を容易に覆しうる
  • 平均的なフィニッシュターンが環境の中でも安定して早く、ロングゲームを前提とするデッキに対して有利
短所
  • 横展開への回答がほぼ《アリアの旋風》に限定されるため、横展開を連続されると体力の維持が困難
  • 自発的な盤面形成はほとんど見込めないため、疾走フォロワーを体力に通してしまいやすい
  • 守護やダメージカット系の効果で時間を稼がれると、その1ターンで削りきられてしまうリスクがある

リノセウスエルフは上記の特徴を持ち、今大会における主要デッキの中でも、とりわけ早いフィニッシュターンで環境を規定していたと言えるでしょう。

ロングゲームを戦おうとするデッキに大幅な有利を付けながら、不利マッチにおいてもドロー如何でワンチャンス以上を見込みやすい点が評価されたのか、今大会でも非常に多くのプレイヤーが採用していました。

最大勢力である自然ビショップからは先に削りきられてしまうことが多いため、「対自然ビショップにおける不利の度合い」と「自然ビショップ以外のデッキに対する優位性」をそれぞれどの程度と見積もるかによって採用が分かれた印象です。
中でも、自然ビショップ以外の大会主要デッキとして自然ネクロマンサーや自然エルフを想定したプレイヤーは選択しやすく、自然ロイヤルやエイラビショップなどを想定したプレイヤーは持ち込みに消極的であったことが予想されます。

自然ロイヤル

自然ロイヤル

《王たる光・ベイリオン》を起点として、疾走フォロワーや潜伏フォロワーを《王の一閃》で強化して体力を詰めていくミッドレンジデッキです。
《王の一閃》の使い方次第で、盤面制圧に注力したり、終盤のバーストダメージを狙ったりと柔軟なゲームメイクを狙うことが出来ます。

長所
  • 《王たる光・ベイリオン》や《躍動する獣戦士》などコストパフォーマンスに優れたフォロワーが多く、中盤の盤面形成が得意
  • 自然カードの効果発動条件が《ナテラの大樹》の有無なため、早い段階で各カードの能力を十全に引き出しやすい
短所
  • 《王たる光・ベイリオン》へのアクセスが遅れたターン分だけ《王の一閃》を損する形となり、間接的にアドバンテージを失ってしまう
  • 自然カードの効果発動条件が《ナテラの大樹》の有無なため、2枚目以降の《ナテラの大樹》が1コスト1ドロー以上の価値を持ちにくい
  • 《森の姫・ミストリナ》など盤面のフォロワー数を参照するカードがケアされやすく、パフォーマンスが安定しない

自然ロイヤルの特徴は上記のようなものです。

自然ビショップ・自然ネクロマンサーとの大きな違いは《ナテラの大樹》の最も効果的なプレイ枚数が基本的には1である点で、自然ギミックを活かすうえで要求コストが小さい反面、《ナテラの大樹》を複数枚プレイするメリットが薄く、《ナテラの大樹》を生成するカードを持て余しやすいなど、一長一短ある性格となっています。

その性質上、比較的自然タイプ以外のカードを搭載する余裕があり、今大会では《簒奪の絶傑・オクトリス》で自然ネクロマンサーのラストワードを逆手に取るなど、メタデッキ(多数派のデッキの弱点を突くことに重きを置いたデッキ)として一定の活躍を見せていたようです。

自然エルフ

自然エルフ

《大いなる回帰》や《ナチュラル・マナ》を活用してカードのプレイ数を稼ぐことで、《アクティブエルフ・メイ》などプレイ数を参照するカードの強みを発揮し、継続的な盤面制圧によるロングゲームでの勝利を基本プランとするデッキです。

Day1のフィーチャーマッチでこそ1度しかお目にかかりませんでしたが、Day2では複数回に渡り登場したということで、こちらで紹介します。

こちらも自然ロイヤル同様、クラス固有の自然カードには、《ナテラの大樹》の複数回プレイを前提とするものはありませんが、自然ロイヤルよりもロングゲームを戦うため《母なる君》を採用しやすいこと、プレイ数を参照するカードの活用において1コストの《ナテラの大樹》が有効であることなどから、後半戦でも《ナテラの大樹》生成カードが腐りにくいという特徴があります。

長所
  • 各コスト帯にコスト以上のパフォーマンスを発揮しうるカードがあるため、コストカーブに沿って動くだけで、優位に立てるチャンスがある
  • プレイ数を参照するため、ゲームが進むほど1ターンあたりの除去性能が加速度的に向上し、ゲーム終盤は高確率で盤面の優位を取ることができる
短所
  • 一部の疾走フォロワーを除き、体力を削る手段が盤面に依存しているため、盤面を十分に取れないと勝ち筋の細さに直結する
  • フィニッシュターンが遅くなりやすいので、バーストダメージや経過時間に応じたダメージソースを持っているデッキに対して不利

自然エルフはこのような特徴を持っていますが、環境における立ち位置は少し複雑です。

相手の盤面処理と自分の盤面形成を同時に行うことで相手の疾走フォロワーなどの打点カードを除去に使わせ、ロングゲームに引きずり込むという点は自然ネクロマンサーと共通しており、やはり自然エルフも自然ビショップに対抗しやすいデッキの一つと言えます。

ただ一方で、自然ネクロマンサーよりもフィニッシュターンが遅くなりやすいデッキでもあり、自然ネクロマンサーに対して不利が付きやすいため、「対自然ビショップ性能」だけでは、BO3のデッキとして選択するには少し理由が弱いです。

そこで、このデッキが今大会で一定のシェアに達したもう一つ理由として推測されるのは「対リノセウスエルフ性能」です。
自然エルフの短所としてフィニッシュターンが遅くなりやすいことを挙げていますが、リノセウスエルフの多面除去である《アリアの旋風》は自然エルフの横展開の要となる《フェアリー》に効果を発揮しないため、対リノセウスエルフにおいてのみ、早期決着を見込むことができます。
この一点だけでどれほどリノセウスエルフに有利を取れると言っていいのかはまだプレイヤーによって意見が分かれるところでもありますが、対自然ビショップ戦での勝利を意識しつつ、セカンドデッキに当たる仮想敵として自然ネクロマンサーよりもリノセウスエルフを重く見たプレイヤーにとっては非常に魅力的な選択肢だったかもしれません。

 

Day1を戦った主要デッキを概観してきましたが、いかがでしたでしょうか。

個人的には、最大勢力である自然ビショップへの意識の向け方と、そこに次ぐ第二勢力にどのデッキを想定するかで各々のデッキ選択が綺麗に分かれた形になったのではないかと考えています。

こうしたデッキ選択がDay2でどのように勢力図を変えたのか(あるいは変わらなかったのか)、そして各デッキにおいても採用カードなどで工夫が見られた点などについては、次のレポートでお話したいと思います。

【文:まる】

※2019年10月28日(月)20:00に一部修正いたしました。

すべての記事を見る