2019 Winter

【予選大会Day2レポート】RAGE Shadowverse 2019 Winter

RAGE Shadowverse 2019 Winter 予選大会レポート、今回はDay2を中心にお届けします。

Day1はビショップを筆頭に、エルフ・ネクロマンサーを加えた3クラスが中心となる環境でした。
Day2ではシード選手も加わるなど、環境に変化が起こる可能性もありましたが、実際はいかに。

クラスごとのDay2進出率と、シード選手を含めたDay2のクラス分布を見てみましょう。

Day2のクラス・デッキ分布

クラス別Day2進出率

Day2クラス分布

クラス別のDay2進出率上位3つには、Day1の主要クラスがそのままランクインしています。

最も高い進出率を誇っているのはエルフですが、Day1時点でずば抜けて数の多かったビショップはミラーマッチでその数を減らしたことが予想されます。
したがって、そのような中で2番手としてDay2への多数進出を決めたビショップというクラスが如何に他クラスで止めがたかったのかを物語る結果だと言えるでしょう。

また、上位3クラスに次ぐDay1突破率を見せたのはネメシスでした。おそらくはアーティファクトネメシスではないかと思われます。
使用率こそ極めて低いクラスでしたが、リノセウスエルフのスピードにはついていきづらい反面、自然ネクロマンサーや自然エルフに対しては持ち前の盤面制圧力を発揮しつつ、先にフィニッシュを狙いにいける展開が多かったのではないでしょうか。

とはいえ、Day2に向けてDay1の主要クラスがますます勢力を増した形であることには相違なく、Day2がDay1環境を踏襲したものであるという点は、前回2019 Autumnの予選大会と同様だったと見ることができそうです。

続いて、フィーチャーマッチに登場したクラスとデッキタイプの集計も見てみましょう。
比較用に、Day1レポートに掲載した「Day1フィーチャーマッチのデッキ分布」を再掲します。

Day2フィーチャーマッチのクラス分布

Day2フィーチャーマッチのデッキ分布

Day1フィーチャーマッチのデッキ分布

 

フィーチャーマッチに登場したクラスは使用率上位3クラスのみということで、押しも押されぬその人気ぶりがうかがえます。

デッキの中身に注目してみると、Day1に比べてリノセウスエルフ・自然エルフの登場回数が増え、自然ネクロマンサーが数を減らしていることが分かります。(※2-0の試合など、フィーチャーマッチ終了時にタイプが明らかでなかったデッキは集計対象外としています)

概ねDay1突破率に沿った変化ととらえることができるため、Day2でシード選手が加わったからといって大きな変化は発生せず、Day1から地続きの環境だったと言うことができそうです。

さて、こうして2日間にわたる大会の輪郭が見えてきましたが、ここまで見てきた主要デッキのそれぞれにおいて、今環境は特に採用カード面で個人差が大きかったように思います。
既に予選大会が終わってから時間がたちつつありますが、依然としてどのようなカード採用が望ましいのか、共通見解がまとまっているデッキは少ないです。

各カードの採用あるいは不採用の理由について議論が尽きないというのは、それだけ元となるデッキの懐が広く、採用カードに合わせてゲームメイクの在り方が変化するからでもあります。
したがって、採用カードの種類や枚数のばらつきを比較することで、各プレイヤーの意識していたマッチアップなどがある程度浮かび上がってきます。

ということで今回のレポートでは、複数のファイナリストが選択していた自然ビショップ・リノセウスエルフ・自然ネクロマンサーの3デッキについて、各プレイヤーのデッキリストを比較しながら、主だった相違点と、そのリストの差が何を意味するのかについて見ていきたいと思います。

個人の主観を交えた内容となるため、実際のプレイヤーの意図から外れる可能性もありますが、お付き合いいただければ幸いです。

自然ビショップ

今大会のファイナリスト、かけうどん選手の自然ビショップ

自然ビショップ

各ファイナリストの自然ビショップにおける採用カード・枚数比較(敬称略)

自然ビショップ ヨシヒコ Tatsuno かけうどん magnet DiCE|どんと koharu かきく|EvK さわちゃん
楽園の聖獣 0 1 0 0 0 0 0 0
デスティニー
ウィングナイト
3 3 3 3 3 3 2 3
ジャスティス・マナ 3 3 3 3 3 3 3 3
黄金の鐘 3 3 3 3 3 3 3 0
ムニャール登場 3 3 3 3 3 3 3 3
荒野の案内人 3 0 0 0 0 3 0 3
エンジェルラット 3 3 3 2 3 3 3 3
フェザーフォルク
パニッシャー
3 2 3 3 3 3 3 3
漆黒の法典 0 0 1 0 0 2 0 0
黄金都市 1 1 1 1 1 1 1 1
ワンダーコック 0 2 2 2 1 0 2 3
飢餓の輝き 1 1 1 2 2 2 2 3
聖弓の使い手・
クルト
2 3 3 3 3 0 3 0
ミュースプリンセス・
ミルフィ
3 3 3 3 3 3 3 3
母なる君 3 3 2 2 2 2 3 3
シヴァ 0 0 0 0 1 0 0 0
エクセスプリースト 3 3 3 3 3 3 3 3
報復の白き刃・
アニエス
3 3 3 3 3 3 3 3
聖波動の
スフィンクス
0 0 0 1 0 0 0 0

 

今大会のファイナリスト全員が使用した自然ビショップですが、ご覧のように、枚数まで全員共通のカードは7種類19枚に留まり、構築内容の個人差が非常に大きいデッキタイプでもあります。

予選大会から時間がたった今では《デスティニーウィングナイト》不採用などの検討も進み始めていますが、ここでは特にファイナリスト以外でも個人差が顕著に表れたと思われる《楽園の聖獣》・《荒野の案内人》・《シヴァ》について触れていきます。

《楽園の聖獣》

ファイナリストではレバンガ☆SAPPOROに所属するTatsuno選手が唯一採用していました。

このカードの主な運用目的はエンハンスで《デスティニーウィングナイト》を場に出し、強力な盤面形成と後半戦に向けたデッキ圧縮を同時に行うことです。

4ターン目にプレイできた時の恩恵は非常に大きく、ゲーム後半に本領を発揮するタイプのデッキを早期に追いつめられるポテンシャルを持っています。
したがって採用意図としては「早期決着型のゲームプラン強化」あたりが大きいように感じられます。

もちろん強く使えるタイミングが限られるというリスクも併せ持つカードですが、自然ネクロマンサー・自然エルフといった自然ビショップをある程度意識したデッキの得意とする土俵(ロングゲーム)に上がらずに済む可能性が増すというところがこのカードを採用するポイントの一つかもしれません。

《荒野の案内人》

koharu選手・さわちゃん選手・ヨシヒコ選手のデッキで3枚採用が見られます。

《黄金都市》で2ターン目の行動を最低限保証できるため、不採用とするプレイヤーも多いこのカードですが、1ゲームあたりで場に出せる《ナテラの大樹》の期待値を底上げし、かつ2ターン目の行動を埋めることで、黄金都市を3ターン目以降に出す選択を取りやすくする役割を持ちます。

自然ビショップはゲーム後半になれば、様々な除去手段を持つことができますが、序盤から中盤にかけては相手の横展開処理を《聖弓の使い手・クルト》に依存しやすいため、特に後攻2ターン目に《黄金都市》を直接召喚する行動には一定のリスクが付きまといがちです。

《荒野の案内人》を採用していたファイナリスト3名がいずれも《聖弓の使い手・クルト》の枚数を減らしているのも、序盤に相手の横展開に対処できなくなってしまうリスクが抑えられたことの表れかもしれません。

《シヴァ》

DiCE|どんと選手が採用していたカードです。

基本的な採用目的はファンファーレによるリーダー付与効果を複数回起動して、ロングゲームでのアドバンテージを稼ぐことにあります。

最大で12点ダメージを見込めるため、ミラーマッチや対自然ネクロマンサー・自然エルフ戦で疾走カードを除去に使う選択肢を取りやすくなり、ゲーム後半のプレイの幅を広げてくれるカードと言えるでしょう。
最大6点の回復もロングゲーム向きの性能であり、同じく自然ネクロマンサー・自然エルフへの効果が見込まれる《楽園の聖獣》と比較すると、「相手の土俵での戦いに強くするのか、そもそも土俵に乗らずに済むようにするのか」という相違点を見て取ることができます。

リノセウスエルフ

今大会のファイナリスト、DiCE|どんと選手のリノセウスエルフ

リノセウスエルフ

各ファイナリストのリノセウスエルフにおける採用カード・枚数比較(敬称略)

リノセウスエルフ ヨシヒコ Tatsuno かけうどん DiCE|どんと
豪風のリノセウス 3 3 3 3
フェアリーサークル 0 0 1 0
自然の導き 3 3 3 3
対空射撃 3 3 3 3
ソードエンジェル・
エフェメラ
3 3 3 3
フロートボード
マーセナリー
0 1 0 1
機械樹の番人 3 3 3 3
森荒らしの報い 3 3 3 3
強者の威風 3 3 3 3
アリアの旋風 3 3 3 3
ざわめく森 3 3 3 3
覇食帝の調理 3 3 3 3
森の女王・リザ 3 3 3 3
愛の奇跡 3 3 2 3
エンジェルシュート 3 3 3 3
唯我の一刀 1 1 1 0

 

 

自然ビショップとは対照的に、リノセウスエルフはファイナリスト間でもデッキリストの共通点が多くなっています。
そこで、ここでは採用枚数に差がある《フロートボードマーセナリー》・《愛の奇跡》・《唯我の一刀》について掘り下げてみたいと思います。

《フロートボードマーセナリー》

DiCE|どんと選手が採用していたカードです。
DiCE|どんと選手・Tatsuno選手が採用、ヨシヒコ選手・かけうどん選手が不採用という形で分かれているカードです。

1枚採用とすることで《機械樹の番人》を確定サーチすることができるため、バウンスカードへのアクセスを上げ、自らの勝ち筋を太くすることに貢献します。
その一方で、2/2サイズの多い今環境において1/2サイズがテンポロスを招きやすいことから、プレイのタイミング如何では相手に押し切られる負け筋をも太くしてしまうリスクを抱えているとも言えます。

このカードを不採用としたヨシヒコ選手・かけうどん選手はそれぞれ代わりに、《愛の奇跡》や《唯我の一刀》などの除去カードか、余ったコストで次のターンの除去をサポートできる《フェアリーサークル》に枠を割いています。
こうしたことから、《フロートボードマーセナリー》の採否は「フィニッシュを遅れさせないこと」と「自分の体力を守ること」とのバランス感覚で分かれているといえそうです。

自然ビショップの攻勢に対し、「相手が攻撃に使える時間を1ターンでも少なくすること」と「除去面で後れを取らないこと」のどちらを有効とみなすかの違いと読み替えてもいいかもしれません。

《愛の奇跡》

DiCE|どんと選手・ヨシヒコ選手が3枚、Tatsuno選手・かけうどん選手が2枚採用としています。

チョイス先の両カードがともに体力維持に貢献するため、こちらも3枚の採用は、やはりライフプッシュの苛烈な自然ビショップを意識している可能性が高いです。
ただし、《豪風のリノセウス》の回転速度が問われるこのデッキにおいて3コストは決して軽い数字ではなく、気軽にプレイできないシーンもしばしば目にします。

2枚採用とする構築は、こうした「コスト管理の柔軟性」を体力維持よりも重視し、《豪風のリノセウス》の早期5プレイ達成を目指すプレイ指針と相性がいいと言えるのではないでしょうか。

《唯我の一刀》

こちらはDiCE|どんと選手以外のプレイヤーが1枚採用としています。

コストが3に落ちた時の性能は魅力的ですが、《豪風のリノセウス》に進化を切るタイミングがコストを使い切ったタイミングになりやすいことから、《豪風のリノセウス》の横に《森の女王・リザ》や《機械樹の番人》が既にいることも多く、なかなかコストが落ちないという理由で、同じ確定除去でも4コスト固定で1ドローを得られる《エンジェルシュート》の後塵を拝することが多いです。

リノセウスエルフは大型守護の設置などカード単位での対策方法が分かりやすいため、相手の対策を突破する手段を厚く取るべきかという判断で枠を割くかどうかの判断が揺れ動く1枚だと言えそうです。

自然ネクロマンサー

今大会のファイナリスト、magnet選手の自然ネクロマンサー

自然ネクロマンサー

各ファイナリストの自然ネクロマンサーにおける採用カード・枚数比較(敬称略)

自然ネクロマンサー magnet koharu かきく|EvK
コープスドッグ 3 3 3
リヴァイア・マナ 3 3 3
荒野の案内人 3 3 3
荒野の休息 3 3 3
死の夢の少女 1 2 0
魔挙法・ソーラ 3 3 3
シープスピリット 3 3 3
トート 3 3 3
悪意の憑依 3 3 3
ワンダーコック 0 3 0
冥府の継承者・カムラ 1 1 3
不可侵の死霊・ヘリオ 3 0 3
冥府の頂点・アイシャ 2 2 2
永遠の花嫁・セレス 0 3 0
冥界の番犬・ケルベロス 3 0 3
ネクログループ・ルベル 3 3 3
母なる君 1 2 1
イグジストソード・ギルド 2 0 1

 

自然ネクロマンサーの構築はファイナリストの中でも、5コスト帯の《冥界の番犬・ケルベロス》と《永遠の花嫁・セレス》のどちらを採用するかで基盤が異なると捉えられます。
そこで、自然ネクロマンサーについてはケルベロス型とセレス型という具合に区別して、各タイプに固有の採用カードを比較する形を中心として見ていきたいと思います。

《冥界の番犬・ケルベロス》 / 《永遠の花嫁・セレス》

こちらはDiCE|どんと選手以外のプレイヤーが1枚採用としています。

かきく|EvK選手・magnet選手がケルベロス型、koharu選手がセレス型の構築となります。

この分類の大元となるカードですが、《冥界の番犬・ケルベロス》は盤面形成の即効性が高く、盤面からのライフプッシュを狙いやすくする役割を持ちます。
ラストワードを持つカードも2枚以上場に出せるため《トート》のファンファーレ起動を早める意味合いも強く、《トート》起動の前後双方のゲーム時間を短くするカードです。

対リノセウスエルフ戦など使える時間の限られたマッチアップに比較的対応しやすいほか、理想的なムーブを達成できた際に相性差に依らない早期決着を目指せるというメリットも存在します。

これに対して、《永遠の花嫁・セレス》は交戦時に相手フォロワーにダメージを与える効果とターン終了時にリーダーを回復する効果で相手に処理の負担を強いて、ゲームを引き延ばす役割を持ちます。
自発的に攻め込むには向きませんが、小型フォロワーの突進ないし疾走が除去手段として用いられやすい今環境では、相手の除去カードの一定量を無力化できるため、相手の行動を大きく制限できる可能性は高く、稼いだ時間で《トート》のファンファーレ起動を狙いにいくゲームメイクが可能となります。

状況は限られますが、《永遠の誓い》でコストを落とした《ネクログループ・ルベル》に十分な《ナテラの大樹》を供給できれば、ケルベロス型に劣らないペースで《トート》の条件達成を目指せるケースもあります。
継続したライフプッシュにやや難のある自然ビショップを相手取るための枠として採用されることが多いでしょうか。

《イグジストソード・ギルト》 / 《ワンダーコック》

ドローソースとなるカードですが、ケルベロス型では《イグジストソード・ギルト》、セレス型では《ワンダーコック》の採用となっていました。

《イグジストソード・ギルト》はラストワードを持つフォロワーを能動的に破壊できることから、《トート》の効果起動後のライフプッシュを早める役割を持ちます。
セレス型よりも短いゲーム時間を想定しているからこその採用ということができるでしょう。

対してセレス型は初めからロングゲームを前提としている点、《永遠の誓い》により《ネクログループ・ルベル》と《コープスドッグ》の《ナテラの大樹》とのシナジーを強力に使いやすいため、自然カードへのアクセスを上げたい点から、《ワンダーコック》がより適しているという判断になるのではないかと思われます。

《死の夢の少女》

こちらはケルベロス型・セレス型双方で採用が見られたものの、おそらく期待される役割が一部異なっていたカードです。

まず共通する採用目的ですが、対リノセウスエルフのダメージソースということが考えられます。
4ターン目までに《深淵の夢》をプレイできれば、相手のリーサルを警戒しなくてはならない7ターン目までに、進化権込みで最大10点のダメージを見込めるため、短期決戦に大きく貢献してくれます。

一方、おそらくケルベロス型に固有の採用目的としては《イグジストソード・ギルト》のアクセラレートの対象として《ゴースト》を供給することが挙げられます。
ケルベロス型の構築は盤面からのダメージプッシュがプランとして組み込まれているため《イグジストソード・ギルト》で自盤面を弱体化する動きがやや噛み合いませんが、もともと場残りしない《ゴースト》を対象とすることでテンポロスを回避しながらドローを見ることが出来ます。
《トート》のファンファーレ起動前にリソースの補充を図りたい時に期待される役割だと言えそうです。

これに対して、セレス型での採用目的はラストワードを持つネクロマンサーカードの増加という色合いが濃いと思われます。
ケルベロス型と比較して、どうしても《トート》の起動が遅くなりがちなセレス型の弱みをカバーする役割を担う形となります。《永遠の誓い》との噛み合いがいいことも採用を後押ししているのではないでしょうか。

 

 

ここまでファイナリストのデッキ比較を通して、各デッキの持つゲームプランと採用カードの関係性を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

ご覧いただいたとおり、今環境は特にゲーム時間をコントロールする意識の垣間見える採用カードが目立った印象がありました。
1ターン単位での攻防ではなく、ゲーム全体をとおした計画性が求められる環境だと言えるのかもしれません。

来月、11月23日(土)にはGRAND FINALSが開催され、年間のべ24,000名のRAGE参加者からShadowverse World Grand Prix 2019に挑戦する8名が出揃うこととなります。

2019年最後のRAGE王者が決まり、Shadowverse World Grand Prix 2019の日本人出場者最後の2席が埋まるその瞬間を見届けに、幕張メッセに足を運んでみてはいかがでしょうか。

【文:まる】

※2019年10月28日(月)20:30に一部修正いたしました。

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