解説の”まるさん”執筆レポート「Renascent Chronicles / リナセント・クロニクル」環境まとめ【RAGE Shadowverse 2021 Autumn エントリー7月11日(日)まで】
いよいよ5周年というひとつの節目を迎えたShadowverse。
かつてのストーリーキャラクターたちが戦いを彩る新カードパック、
「Renascent Chronicles / リナセント・クロニクル」
はカード能力調整を受け、更なる環境の展開を見せています。
能力調整からオンライン一次予選までは10日ほどの短期決戦。
どのようなデッキが活躍を見せるのか、まだまだ未知数の部分が大きいと言えます。
今回のレポートでは能力調整の直接・間接的な影響を推し測りつつ、直近のオンライン一次予選での登場が期待されるデッキ群を簡単に紹介していきます。それでは早速見ていきましょう。
能力調整の直接的な影響
7/7(水)のカード能力調整対象となったカードは
《英雄の覚悟》
《栄華の加護神・ヤテラントゥ》
《パニッシュメントスナイパー》の3枚。
いずれもTier1の呼び声高かったラティカエルフ、アミュレットビショップの中核をなすパーツだっただけに、能力調整の影響は大きいと言えます。まずは両デッキタイプにおける変化を改めて整理してみましょう。
ラティカエルフ
豊富なプレイ回数補助カードを使いこなし、《万緑の回帰・ラティカ》や《生命の宴》のバーストダメージを引き出して勝利を目指していたラティカエルフ。
《英雄の覚悟》の能力調整によって発生した主な変更点は次の2つです。
① プレイ回数補助性能の低下に伴う勝利ターンのずれ込み
ラティカエルフにとって、プレイ回数をかさ増しできるカード群はおしなべてコンボパーツです。
もとよりコンボ主体のデッキとしては決してドローソースが豊富な部類ではなかったラティカエルフがそれでも隆盛を誇った理由の1つに、このコンボパーツの受けの広さがありました。
今回の能力調整は《英雄の覚悟》からコンボパーツとしての性能を削ぎ落とし、主な役割をコンボのゴールに絞るものです。
コンボの手段であり、目的でもあった《英雄の覚悟》を「目的」側に固定したと言い換えてもいいでしょう。
ドローソースに比較的乏しかったラティカエルフでは、コンボパーツの減少はそのまま勝利ターンのずれ込みに繋がります。
当初6〜7ターンでの勝利を目指していたのが、7〜8ターン目の水準に落ち着く可能性は低くないでしょう。
もちろん、これまで採用例が少なかった他のプレイ回数補助カードを追加投入し、引き続き早いリーサルを目指す動きも考えられます。
今後ラティカエルフ使用の際には、ピークターンの定め方に個性が出るかもしれません。
② 守護付与能力の削除による、アグロ耐性の低下
ではコンボの「目的」、ゴールとしての《英雄の覚悟》の性能はというと、ここにも調整が入りました。
8プレイ達成後の守護付与能力調整が削除されたことで、相手の盤面を放置するリスクがいや増しています。
《万緑の回帰・ラティカ》や《生命の宴》がなくとも守護と疾走の併用で攻守の逆転を図ることができた以前に比べると、フォロワーの攻撃を盤面処理に振り分けなければ返す刀でリーサルを取られてしまうかもしれないというプレッシャーが付きまとうことになりました。
特に疾走フォロワーの滑り込みを防げないため、アグロデッキやミラーマッチでは強気の仕掛けが些かやりづらくなったと言えます。
とはいえ盤面のサイズアップやドロー性能は据え置きのため、いわゆる逆リーサル(自分が攻め込んだ直後の相手のターンにリーサルを決められてしまうこと)をケアできている状況下では以前と遜色ないパフォーマンスを発揮してくれる1枚でもあり、引き続き採用されることもありえるでしょう。
総じて《英雄の覚悟》の汎用性自体は大きく損なわれつつも、疾走フォロワーの手薄なデッキに対しては依然強力、かつ代替するコンポパーツ検討の余地もある。というのがラティカエルフの現況と考えられます。RAGEで登場しても不思議ではありません。
アミュレットビショップ
カウントダウン値の小さいアミュレット・結晶カードを多用することでアミュレット破壊数を参照する《栄華の加護神・ヤテラントゥ》《パニッシュメントスナイパー》のダメージを引き出して環境を席巻していたのがアミュレットビショップです。
能力調整によって上記フィニッシャー2枚がともに牙を抜かれ、これまで通りの勝利パターンはほとんど通用しなくなったと見られます。
いずれもコスト対ダメージのパフォーマンスが直接低下したのはもちろんですが、《パニッシュメントスナイパー》のコストアップはゲーム中盤にプレイできるアミュレットの枚数を圧迫します。
中盤を《パニッシュメントスナイパー》で乗り切りながら7ターン目にはアミュレット破壊数が7、といった展開には覚えがあるプレイヤーも多いのではないでしょうか。
これは、中盤の《パニッシュメントスナイパー》が能力調整以降アミュレット破壊数7の達成を阻害しうることを示唆しています。
《栄華の加護神・ヤテラントゥ》もこの7という数字を境にパフォーマンスを大きく変える性能となったため、今後アミュレットビショップを使用するには2つの武器を併用することの難しさとも向き合っていく必要がありそうです。
ラティカエルフに比べると今後の続投には課題が山積しているアミュレットビショップ。再度実戦レベルまで磨き上げてくるプレイヤーがいるのかどうか、いち解説者として楽しみにしています。
これからの台頭が注目されるデッキ達
上述の2デッキが程度の差こそあれ環境からフェードアウトするとなれば、当然現れるのは新しいデッキ達です。
「消滅に弱い」「バーストダメージを防げない」など、様々な理由でこれまで表舞台に姿を現さなかった40枚が現在進行形で続々と登場しています。
ラティカエルフ・アミュレットビショップ減少に伴い台頭の兆しを見せているデッキを特徴ごとに見ておきましょう。
勝利ターンの問題でこれまで使用率が低かったデッキ
平均的な勝利ターンが遅い、いわゆる「コントロール」に類するデッキ群は、能力調整まで分かりやすく冬の時代にいたと言えます。
コントロールデッキの基本戦略はまめな回復と盤面処理で相手の息切れまで攻勢を凌ぎ、ゲーム後半に盤面を起点とした反撃を行うものです。
早々に20点クラスのバーストダメージを準備してくるラティカエルフも、ゲーム後半に盤面の逆転を許さず、回復量を上回る大ダメージを連発してくるアミュレットビショップも相性は最悪と言っていいものでした。
こうした2デッキの圧力が弱まったことで、コントロール色のあるデッキが自身の勝利ターンまでゲームを繋げられる可能性が大きく向上しています。
実際のデッキについてもう少し詳しく見てみましょう。
ラストワードネクロマンサー
《死期を視るもの・グレモリー》《ナイトメアイーター》のローテーション落ちを受け、一度下火になったかに思われたラストワードネクロマンサーですが、ゲーム中盤以降の盤面での主導権争いには一日の長があります。
課題だったアミュレットビショップの豊富な消滅が脅威度を落としたことで、《人外魔境・クリストフ》による盤面形成が活きるようになりました。
フォロワーによる白兵戦が多いことからミッドレンジデッキのイメージが強いですが、《人外魔境・クリストフ》の守護盤面はもちろん、《オミナスタイラント》による全体除去や《セレスト・マグナ》による相手の行動制限などコントロール色も持ちあわせており、長いスパンのゲームでその真価を発揮します。
能力調整前の使用率が低かったこともあり、採用するラストワード持ちフォロワーの選定やフィニッシャーの枚数調整等、試行錯誤の余地が多く残されていることを、調整期間の短い今回のRAGEにおいて吉と見るか凶と見るかはプレイヤー次第といったところでしょうか。
調整がまとまりきらないリスクと、構築・プレイの開拓で他プレイヤーと差をつけられるチャンスの両方を秘めているデッキだと言えそうです。
機械ネメシス
様々な機械カード実装を受けて蘇ったデッキタイプが機械ネメシスです。
フィニッシャーはご存知ド派手な効果の《極致の創造主・ベルフォメット》。
ただし9コストという都合上、能力調整前はエルフ・ビショップ相手に勝利ターンにたどり着くことが容易ではありませんでした。ましてアミュレットビショップとのマッチアップでは、苦労して築き上げたいわゆる「ベルフォメット盤面」も《栄華の加護神・ヤテラントゥ》1枚で平らげられることが当たり前。率先して使用するプレイヤーが少なかったのにも頷けます。
アミュレットビショップにあしらわれる恐れが減った今、《極致の創造主・ベルフォメット》の盤面形成力は対コントロールデッキでさえ決定打になりえるレベルです。
また、新しく追加されたネメシスクラスの機械カードはいずれも盤面処理に長けた性能を持ち、アグロ~ミッドレンジのスピード感溢れる攻撃にも、どっしりと構えることができます。
《極致の創造主・ベルフォメット》以外のフィニッシャーとして《粛清の器・メイシア》や《アブソリュート・トレランス》の差配をどうするか、機械カード以外でゲームを9PPまで繋ぐためのカード群をどう固めるかなど、こちらも元の使用率の低さから調整のし甲斐があるデッキと目されています。
RAGEでも手札はおろか、デッキの中身そのものが読みづらいデッキタイプとなるかもしれません。
能力調整前から使用されてきたデッキ
元々一定の評価を得つつも、ラティカエルフ・アミュレットビショップに圧されて環境の最前線までは出てきていなかったデッキも存在します。
7ターン目までの決着をある程度見込めるものが多く、「アグロ」や「ミッドレンジ」と定義されることが多いでしょうか。
デッキの使用率分布そのものが大きく変化した環境において同様のパフォーマンスを発揮できるかどうかはこれから試されることとなりますが、一定の構築・プレイ基盤がある点は追い風となるでしょう。ここでは2つのデッキタイプをチェックしていきます。
機械進化ウィッチ
《清澄の蒼・テトラ》を筆頭に進化軸・機械軸のカードを多く得たウィッチクラス。
より正確には新しい機械カードの多くが進化軸との相性がよかった形ですが、やはりというべきか、能力調整以前から一定の使用数が見て取れました。
先に見たラストワードネクロマンサーをミッドレンジの血統とするならこちらはコントロールの血統。
進化軸というといかにもコントロールのイメージがありますが、《ラピッドファイア》や《ソニック・フォー》等の軽量打点を豊富に抱え、早期の自動進化による盤面制圧も得意とする性質上、進化軸を代表するフィニッシャー《虚無ノ哭風・グリームニル》も1枚プレイできれば十分というケースが散見されます。
2枚同時プレイ可能な8PPを待たない勝利パターンがあるというのは能力調整前環境では大きな意味を持ちましたが、コントロールデッキの増加や盤面でのフォロワーの駆け引き増加が見込まれる能力調整後環境では、異なるプレイを要求される場面も増えていくことでしょう。
《ピースキーパー・ヴィンセント》の全体3点除去で相手の盤面を一掃しながら《虚無ノ哭風・グリームニル》の10点を通すために0コストの《ラピッドファイア》を温存したり、旧来の進化軸デッキのように《堕落の決意》でコントロールデッキの大型フォロワーを捌きつつ《虚無ノ哭風・グリームニル》2枚でリーサルを取るなど、マッチアップに応じた適切なプラン設計はプレイヤーの腕の見せどころとなりそうです。
連携ロイヤル
ゲーム序盤から積極的なフォロワー展開を狙ってダメージを積み重ね、疾走フォロワーを最後のひと押しとする。こうしたミッドレンジの教科書どおりの戦法とはえてして対策されやすく、物足りなさを覚えることも少なくありませんが、ロイヤルが新たに手にした《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン 》《月光の執行者・リオード》はいずれも極めて高い単体性能がゆえに「分かっていても対策が難しい」カードです。
序盤の守りが薄いラティカエルフ・アミュレットビショップに対しては6〜7ターンでの決着を見込みやすかったこともあり、能力調整以前から見かけることの多かったデッキと言えるでしょう。
能力調整以降はネクロマンサー等も名乗りを上げ、序盤のフォロワー展開がロイヤルの専売特許ではなくなります。
また、ラティカエルフやアミュレットビショップよりも守りに長けたコントロールデッキの増加も見込まれており、能力調整前の環境的優位はある程度薄まると思われるため、序盤のフェイス or トレード、終盤の守護・回復ケア等実戦での分岐は増える一方です。
改めてプレイの再構築・洗練が必要と考えられます。
なお、ロイヤルは構築をより潜伏や乗り物アミュレットに寄せたアグロタイプや、ロイヤルフォロワーを《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン》1枚に限定して《劇的な撤退》とのコンボで三たび叩き込むOTKタイプなど、性質の異なるデッキタイプが共存するクラスでもあります。
RAGEでマッチングした際には、まずは慎重に相手のデッキタイプを見極める必要があるでしょう。
クラスの制約で優先度を落としていたデッキ
BO3フォーマットでは同じクラスのデッキを採用することはできません。
必然的に、ラティカエルフやアミュレットビショップの勢いに追いやられて採用を見送られていた同クラスのデッキというものも存在します。
ここではアクセラレートエルフ・清浄の領域ビショップについて簡単に見ておきましょう。
アクセラレートエルフ
プレイ回数が12に至らずとも、《万緑の回帰・ラティカ》が1コスト相当で2回攻撃できる性質に着目し、《妖精の開花》とのコンボで手軽に14点のバーストダメージを出せることに焦点を当てたのがアクセラレートエルフです。
これまでは《万緑の回帰・ラティカ》のみで16点を出せるラティカエルフの後塵を拝する格好でしたが、能力調整で安定性が低下した今、より確実にバーストダメージを出せるアクセラレートエルフにも注目が集まりつつあります。
従来のラティカエルフと比較して《ヴァーミンハンター》を無理なく採用できる点が大きな特徴で、フォロワー展開型のデッキが増加している傾向下にあって、その役割も大きいと言えます。
カードプールのアクセラレート持ちカードも広がりを見せていて、重視したいマッチアップに応じて採用に幅が出るのではないでしょうか。構築面での研究余地が多く残されているデッキと考えられます。
清浄の領域ビショップ
前述の「勝利ターンに課題があった」コントロールデッキの代表格ともいえる清浄の領域ビショップ。
このデッキも例に漏れず、ラティカエルフのスピード、アミュレットビショップの大火力を前に環境から撤退を余儀なくされていたものです。
アミュレットビショップの影に隠れていたものの、新たな回復カードも手にしており、対アグロ・ミッドレンジ性能はやはり指折りと言って差し支えないでしょう。
対コントロールデッキであっても、選択できない守護という独自の強みは例えば《粛清の器・メイシア》など、コントロールならではの強力なフィニッシャーの行く手を阻むことができます。
構築内容には以前からあまり大きな変化がないこと、長らくローテーション環境に居続けたためプレイに関する経験の蓄積があることから、BO3の一方のデッキに注力したいプレイヤーにとっては、短い時間で高い性能を引き出しやすいデッキとして、頼もしい存在になるかもしれません。
エントリー締切迫る
ここまでご紹介したデッキはあくまで一例にすぎません。
環境はまさに激動の真っ只中にあり、今回は触れていない機械ネクロマンサーや各種ヴァンパイア・ドラゴンデッキなど、可能性を追い始めればきりがありません。
プレイヤーにとっては短期間で検討しなくてはならないことが膨大で、大変な10日ほどになると思われますが、取捨選択はカードゲーマーの得意とするところ。
構築・プレイを選び、磨き抜いたデッキを携え、是非優勝の座に挑んでください。
予選大会のエントリー締切は 2021年 7月 11日(日)23:59 です。
既にご登録いただいている方も、今一度登録情報にお間違いないかご確認ください。
まずは来たる7月17, 18日、5周年に相応しい熱いバトルを皆さんと楽しめることを心待ちにしています。
【文:まる】
RAGE Shadowverse 2021 Autumn
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※エントリー締切:7月11日(日)23時59分
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