2024 Summer

【エントリー締切直前】RAGE Shadowverse 2021 Spring

今年も早速、RAGEの時期が迫ってきました。昨年のRAGEはやはりオンライン予選が一つの特徴だったと言えますが、その結果初エントリーのプレイヤーが大きく増え、初参加にしてファイナリストまで昇り詰めるようなサクセスストーリーも散見されました。昨年末より開始となった「十天覚醒」 環境の予選大会ですが、こちらもオンライン開催です。二の足を踏んでいるかたは、是非思い切ってエントリーしてみてください。1月11日(月・祝)23時59分のエントリー締切までは残すところあとわずか。皆様のエントリーをお待ちしています。

とはいえ、エントリーするにしても「デッキが多すぎて、どれで戦えばいいのか分からない」「そもそも競技として取り組んだことがないからどうしたらいいのか……」といった悩みを抱えているかたは少なくないのではないでしょうか。新環境開始から約2週間の時間があったものの、年末年始という時節柄、公認大会も多くはありません。競技シーンにおける各デッキの使用率や勝率など、分かりやすい尺度がない状態でデッキを決めていくというのは大変な作業です。
そこで今回のレポートでは、環境の全体像を掴むべく、いつもよりコンパクトな構成でお届けします。今環境で特に目にしやすいデッキタイプをカテゴリごとに整理しつつ、それぞれの特徴や意識したいことなどをピックアップしていきたいと思います。早速見ていきましょう。

アグロデッキ

速攻がモットーのアグロデッキ。真っ先に試合の主導権に手を伸ばせるため、お互いに勝ち筋の実現を目指しあうゲームでは滅法強いのが特徴でしょう。ただし早いゲーム展開を見込んだ構築の代償としてカード1枚1枚のパワーはそこまで高くないため、ロングゲームに引きずり込まれないよう、守護・回復カードの突破方法を常に念頭に置いたプレイが要求されます。

アグロネクロマンサー


プロリーグ第19節、AXIZが登録したアグロネクロマンサー

  • リーサル目標
    5 ~ 7ターン
  • 基本プラン
    序盤の盤面からのダメージ + 中盤以降の疾走・バーンダメージ
  • 課題
    リソースの不足。消滅能力

今環境で一定の使用率を保っているデッキは、おおよそアグロネクロマンサーだけと言っていいでしょう。他クラスに比べて「場持ちのいい1コストフォロワー群」「ダメージ性能の高い3コストフォロワー群」という2点でアグロへの適性が高くなっています。前期から続投されている《ネクロインパルス》のコストパフォーマンスの高さも相まって、今環境でもそのスピードは衰えを見せません。

アグロデッキの宿命として、中盤以降盤面を相手に巻き返されやすいため、疾走やバーンなど盤面に左右されないダメージソースを丁寧に使っていく意識が大切です。相手の動きに注意しながら、手札や進化権をオールインすべきタイミングを見逃さないようにしましょう。

ミッドレンジデッキ

アグロデッキほど素早くゲームを畳む作りではないものの、代わりに手札補充の手段や強力なフィニッシャーを携え、柔軟なゲームメイクを得意とするのがミッドレンジデッキです。最近では特定のキーワード能力を基盤とする、手軽なコンボを豊富に搭載したデッキも多く、手札の組み合わせをそこまで明確に重視せずとも、比較的強力な動きを実現しやすくなっています。

アクセラレートエルフ


プロリーグ第19節、横浜F・マリノスが登録したアクセラレートエルフ

  • リーサル目標
    6 ~ 9ターン
  • 基本プラン
    ① 序盤のフォロワーによるダメージ + 《フォレストレンジャー・ウェルダー》のエンハンスによる疾走ダメージ
    ② 《妖精の開花》を用いたバーストダメージ
  • 課題
    瞬間打点の低さ。守護・回復カードの少なさ

キーワード能力「アクセラレート」を軸に盤面を作ってダメージを積み重ねていくデッキです。新カード《フォレストレンジャー・ウェルダー》が1ターン目からの攻勢と、エンハンスによるフィニッシャーの二役を担うため、ゲーム序盤である程度方針を見極めることが大切です。このデッキのアクセラレート能力は基本的に1コストで構成されているためアクション数が多く、そもそも「元のコストでプレイするか、アクセラレートするか」という2択が常に付きまといます。したがって判断の分岐点はかなりの数に上り、慣れるまでプレイが難しい反面、非常に動きの幅が広いデッキでもあり、腕に自信のあるプレイヤーから注目を浴びているデッキタイプと言えます。

プレイにおける注意点も多岐にわたりますが、異なるスピードを得意とするデッキとのマッチアップで共通して意識したいのは主に2点。
1つに、守護や回復を担うカードの枚数が限られているため、対アグロデッキでは切りどころに細心の注意を払わなければならないこと。2つに、疾走カードによるバーストダメージも一撃で相手の体力を奪い去れるものではないため、対コントロールデッキでは意識的に盤面での優位を取って体力を詰められる時間を設けること。

アクセラレートエルフをこれまで触っていなかったかたは、まずは上記のように意識するポイントを絞って練習してみるといいかもしれません。

疾走ランプドラゴン


プロリーグ第19節、GXGが登録した疾走ランプドラゴン

  • リーサル目標
    6 ~ 8ターン
  • 基本プラン
    ① PPブースト後、疾走・バーン能力持ちフォロワーの連打
    ② 序盤のフォロワーによるダメージ + 中盤の疾走ダメージ
  • 課題
    PPブースト失敗時のパフォーマンス低下。回復カードの少なさ

今、非常に攻撃的なデッキとして注目を集めているのが疾走ランプドラゴンです。フェイスドラゴン・ライドドラゴンなど他にも呼称は様々ですが、デッキのほとんどを疾走・バーン・バフのいずれかのカードで構成していることが特徴でしょうか。アグロデッキもかくやという攻撃性ですが、多くの試合で ① PPブースト ② 劣勢盤面のリセット ③ 攻撃開始 という手順を踏みやすいため、「あえてカテゴライズするならミッドレンジ」という扱いをしています。

カード1枚1枚が稼ぎだすダメージ量は決して軽いものではなく、ブーストしたPPから繰り出す攻勢は相手にそうやすやすとは回復する余裕を与えません。優秀なドローソースのおかげで継戦能力も低くないため、いいことづくめのデッキに見えますが、その攻撃性の割には重心が中・高コスト側にあるデッキ構成となっている点には注意が必要です。思うようにPPブーストできないゲームの乗り切り方には、プレイヤーの力量が問われます。

高コストのドラゴンフォロワーの採用例は主に、《古今独歩の大拳豪・ガンダゴウザ》・《ドラゴンイクシード・ギルヴァ》またはその両方という3パターン存在し、それぞれ得意とするゲーム展開も異なります。RAGE予選はデッキ非公開制のため、疾走ランプドラゴンを使用するプレイヤーはもちろんのこと、そうでないかたも一度各採用カードの違いについて、自分なりに整理しておいたほうがいいかもしれません。

グレモリーネクロマンサー


プロリーグ第19節、レバンガ☆SAPPOROが登録したグレモリーネクロマンサー

  • リーサル目標
    7~ 9ターン
  • 基本プラン
    ① 《死期を視るもの・グレモリー》直接召喚以降のパワー勝負
    ② 中盤の盤面制圧を起点とするダメージレース
  • 課題
    『《恋人》・ミルティオ』の有無による中盤の出力差

葬送ネクロマンサーの系譜を継いだ中盤の盤面形成力と、《死期を視るもの・グレモリー》によるゲーム後半のコストの踏み倒し。この2つの武器を使いこなして勝利を目指すのがグレモリーネクロマンサーです。《百鬼夜行》や『《恋人》・ミルティオ』との好相性が際立つ《ゴブリンクイーン》は単体でも非常に強力なカードで、この1枚で中盤の難易度が大きく変わるゲームもしばしばあります。盤面に積極的なアプローチを仕掛けられる性質上、《死期を視るもの・グレモリー》の早期直接召喚を無理に狙う必要は必ずしもなく、目の前の盤面と数ターン先の盤面・バーストダメージのどちらを優先すべきか、戦況や相手デッキに応じた見極めはこのデッキの醍醐味の一つと言えるでしょう。

構築の幅も非常に広く、《酒呑童子》や『《世界》・ゼルガネイア』など前期からの人気カードを筆頭に様々な候補が検討されています。《死期を視るもの・グレモリー》を外して中盤の厚みに特化した、いわゆる連携ネクロマンサーのようなデッキタイプも派生として存在するので、予選開幕までにオリジナルのデッキを組み上げる懐はかなり広いと言えそうです。

狂乱ヴァンパイア


プロリーグ第19節、NTT-WESTリバレントが登録した狂乱ヴァンパイア

  • リーサル目標
    6 ~ 9ターン
  • 基本プラン
    ① 《神狼・シス》や《永久凍土のベヒーモス》によるバーストダメージ
    ② 《煉獄のダークナイト》直接召喚を起点とする中盤の盤面勝利
  • 課題
    リソースの不安定さ。自傷による体力水準の低さ

自分のターン中に自分のリーダーがダメージを受けた回数が7回以上の「狂乱」状態で、性能が跳ね上がるカードをふんだんに採用しているのが狂乱ヴァンパイアです。ひとたび狂乱状態に入ってしまえば、同コスト帯の他カードよりも一回り以上高いパフォーマンスを発揮してくれるカードが揃い踏みとなっており、手札の狂乱系カードを適宜プレイしていくだけでも一定の優位を取りやすいことが特徴となっています。一度自傷効果で落ちた体力を回復する手段も豊富で、頻繁な体力回復で相手のリーサルプランを打ち崩しやすいのも一つの魅力です。

構築の系統は大きく2種類に分かれます。1つは「狂乱」状態に入るスピードを最優先した「低コスト自傷カード連打型」。狂乱に入る前と後で大きくデッキパワーが変わるからこそ、多少のリスクを負ってでもスピーディに自傷していこうという思想のデッキ構成です。もう一つは回復カードの増量で体力にマージンを持たせた「コントロール型」。こちらは前者に比べて自傷スピードこそ劣りますが、回復カードのバリエーションが多く、場面に合った回復カードを使いこなすことで、自傷というデメリットをカバーすることに長けています。それぞれに一長一短があるため、自分が打倒したいデッキを明確に思い描きながらデッキをチューニングしていくといいでしょう。

コントロールデッキ

コントロールデッキは相手の勝ち筋を阻むカードの起用に注力し、長いゲームの中でじりじりと形勢を逆転していくことを得意とします。多くの場合、単体で強力なフィニッシャーを軸にすることで、ドローソースやメタカードを搭載するスペースを作っています。非常に防御的なデッキが多い反面、いずれも1ターンに何でもできるわけではないので、盤面の一斉展開やバーストダメージなど、相手からもたらされる急激な変化には予め警戒が必要となります。

キャルウィッチ


プロリーグ第19節、横浜F・マリノスが登録したキャルウィッチ

  • リーサル目標
    8 ~ 10ターン
  • 基本プラン
    ① 体力最大値低下効果 + 各種バーンダメージ
    ② 《楽隠居の元国王・フォリア》による盤面・体力の逆転
  • 課題
    能動的な盤面形成は苦手。瞬時に大きく回復できるわけではない

以前から存在した、《剥落の暴圧》+《猫耳の魔法使い・キャル》の組み合わせによって素早く相手の体力を最大値ごと奪い去ってしまうデッキが今環境では新たな装いとなって、現れ始めています。前述の勝ち筋自体は残しつつも、「十天覚醒 / Eternal Awakening」で実装された除去や回復に長けた新カード群を駆使して、10ターン目を目標地点に戦っていくプランを携えているのが現環境のキャルウィッチです。

構造上、自分から攻勢に出ることは難しいほか、1ターンでの大幅回復もハードルが高いため、バーストダメージに長けているデッキを苦手としています。《楽隠居の元国王・フォリア》は上記2点の欠点をカバーできるポテンシャルを秘めているので、苦手なマッチアップでは、このカードを強く使えるように盤面のお膳立てをすることもプレイのコツになってくるかもしれません。

ラービショップ


プロリーグ第19節、NTT-WESTリバレントが登録したラービショップ

  • リーサル目標
    10ターン目以降
  • 基本プラン
    ① 《光輝の顕現・ラー》と『《世界》・ゼルガネイア』による継続ダメージ
    ② 相手の手札切れ後の盤面制圧
  • 課題
    バーストダメージに弱い。相手の回復やダメージカットでプランが崩れやすい

今のところ、最も堅牢と言えるデッキがラービショップです。デッキリストは見渡す限りの除去・回復カードで構成されており、削りは《光輝の顕現・ラー》等のリーダー付与能力による継続ダメージに任せ、ひたすら相手の攻撃を受け止めることに注力します。ビショップ特有の消滅カードの多さがネクロマンサーの多い環境にマッチしており、競技シーンにおける活躍が見込まれやすいデッキとも言えます。

ただし、このデッキもやはり能動的に相手の体力を詰めていくことが難しく、手札が尽きない相手とのマッチアップでは、常に相手のバーストダメージに戦々恐々としながらゲームを進めていくことになりやすいです。そうした展開を嫌う場合、《清浄の領域》を採用することで盤面へのアプローチの幅を広げることができます。相手の攻勢を前に4コストを支払えないゲーム展開では、活躍機会のない枠になってしまうリスクは否めませんが、一つの選択肢として、予め吟味しながら構築を煮詰めていけるといいのではないでしょうか。

コンボデッキ

複数カードの組み合わせで、高い効果を発揮する「コンボ」。その中でもとりわけ強力で、一撃でゲームの行方を決定づけるようなコンボを中心に据えているデッキは、コンボデッキに分類されます。破壊力が抜群な代わりに、達成までに時間を要するもの、多くのカードを要求するものなど隙の大きいデッキタイプが一般的です。コンボ達成をアシストするのか、それとも隙を潰してどっしり構えるのか。プレイだけでなく、構築段階でも難しい思考を求められる系統だと言えるでしょう。

OTKドラゴン


JCG Shadowverse Open 16th Season Vol.1 ローテーション大会優勝者 ヤミヤミ選手のOTKドラゴン

  • リーサル目標
    8 ~ 10ターン
  • 基本プラン
    ① 《神魚・ディズレスタン》と《神託の大天使・ガブリエル》による20点疾走
    ② 《始原の竜・バハムート》などによる盤面勝利
  • 課題
    除去・回復ともに性能はほどほど

OTKドラゴンは1ターンで相手の体力20を詰め切ってしまうデッキです。20点を叩き出せるデッキのため通常の回復は脅威にならない上に、フィニッシャーである《神魚・ディズレスタン》自身が強力な盤面制圧能力を有し、守護フォロワーもものともしません。丁寧に相手の行動を捌きながら、《深海の接近》《神託の大天使・ガブリエル》の2枚を手札にそろえることを目指しましょう。

きわめて決定力の高いデッキであることは間違いありませんが、ドラゴンフォロワーを《神魚・ディズレスタン》一種類に絞るため、PPブーストを担うカードが若干覚束ないのがこのデッキの歯がゆいところです。コンボを成立させるには、基本的には0コストまで落とした《神魚・ディズレスタン》が必要なため、実質12PPを目指すゲームになります。PPブーストで躓いた際のゲームメイクとして、防御に特化してロングゲームを戦うのか、あるいは《始原の竜・バハムート》などを絡めて別の手段でリーサルを取りにいくのか。こうした判断では臨機応変な対応が求められやすいため、練習段階から「もしここでPP最大値が1少なかったら」「《深海の接近》が引けていなかったら」など様々な縛りを仮定すると、1試合からより多くの経験値を得られるかもしれません。

まだまだ環境初期ということもあって、他にも競技シーンに現れうるデッキは尽きませんが、現状特に目にしやすいデッキとしてはひとまず以上となります。予選前の段階ということで、あまり踏み込んだ内容には触れられませんでしたが、デッキ選択に悩んでいるかたや、RAGEへのエントリーを躊躇っているかたの判断材料となれば幸いです。

繰り返しとなりますが、エントリー締切は、1月11日(月・祝)23時59分です。まだエントリーがお済みでないかたはもちろん、既にエントリーいただいているかたも、いま一度登録内容にお間違いないかご確認ください。

また、本稿ではデッキについてつらつらと書いてきましたが、デッキ登録の締切はもう少し先です。是非最後まで自分の相棒を探して、激闘を勝ち上がってください。いち解説として、皆さんの勇姿を目にできる日を心待ちにしています。

【文:まる】

RAGE Shadowverse 2021 Spring

大会概要

https://rage-esports.jp/shadowverse/2021spring

エントリー

※エントリー締切:1月11日(月・祝)23時59分
https://rage-esports.jp/shadowverse/2021spring/entry/howto

日程

賞金

参加賞

すべての記事を見る