2024 Summer

解説の”まるさん”執筆レポート「Dawn of Calamity / 災禍を超えし者」環境まとめ【RAGE Shadowverse 2021 Winter エントリー10月3日(日)まで】

年末の世界大会の足音が聞こえ始めてきた10月。
「Dawn of Calamity / 災禍を超えし者」実装後まだ1週間とたたないタイミングですが、早くも今シーズンの戦いの舞台、RAGEは幕を開けようとしています。エントリー締切を明日に控えた今、環境初動の競技シーンはどのような様相を呈しているのか、2度のJCG Shadowverse Open ローテーション大会でのデッキ使用率ランキングを参考に紐解いていきます。
(※ デッキ使用率は独自に集計しているもので、公式の数値ではございませんのでご承知おきください)

1位:マナリアウィッチ

JCG Shadowverse Open 19th Season Vol.1 9月29日 ローテーション大会 優勝
咆哮のラム選手使用のマナリアウィッチ

直近の2大会ではいずれも出場者の過半数が使用しており、現時点で最もメジャーなデッキと言えるのがマナリアウィッチです。前環境から最前線で戦ってきたデッキですが、DOC環境での主な変化点は次の通りです。

• 《決意の予言者・ルーニィ》《フューチャービジョン》のローテーション落ち
• 《マジカルリス》の採用率変化
• 《マジカルキャット》《氷塊のゴーレム》の採用

まず、《マナリアクイーン・アン》《イグニスロード・グレア》《究明の魔術師・イザベル》というフィニッシャー3大巨頭に変化はありませんでした。今環境でも引き続き膨大な打点をデッキに内在していると言えるでしょう。
一方で《決意の予言者・ルーニィ》《フューチャービジョン》はいずれも初動のドローを支えるカード群で、これらがデッキから消えたことで序盤の安定感がやや損なわれた側面があります。また、いずれも中盤から終盤での打点補助でもあったためダメージソースの幅自体は狭まっており、以前よりダメージカットの影響を受けやすくなっているのも事実です。その中でなおマナリアウィッチが明確な人気を誇っている理由は、大きく2つ考えられます。

① 「ドロー力」の最大値上昇

《決意の予言者・ルーニィ》等に比べて振れ幅があるものの、0コストで2ドローできるポテンシャルを秘めた《マジカルキャット》や、同じく2ドローを可能とする《氷塊のゴーレム》の追加により、デッキ全体のドロー力は底上げされたと言えます。
スペルブーストや土の秘術等、プレイするうえで管理すべきポイントがより複雑になったとはいえ、やはり「残りのデッキ枚数」というこのデッキを語る上で欠かせないキーワードに直結する部分であり、ドロー力の強化はそのままデッキパワーの強化でもあります。追加採用されたカード群がいずれもフォロワーであり、《究明の魔術師・イザベル》との相性がいい点も見逃せません。

② バーストダメージの希少性増加

現在活躍を見せている他のデッキの1つに狂乱ヴァンパイアがあります。今環境の狂乱ヴァンパイアは豊富な回復量を武器にしていますが、多彩な回復に対して有効打となるのは回復量を上回る打点を短時間で叩き込む、いわゆるバーストダメージです。前環境にはコンボエルフやアクセラレートエルフ、撤退コンボロイヤル等バーストダメージに長けた多彩なデッキが存在しました。ところがこれらのデッキはいずれもローテーション落ちによりキーカードを失い、今環境では以前ほどの流行が見られません。
したがって前環境と変わらぬバースト力を携えるマナリアウィッチは狂乱ヴァンパイアとのマッチアップを考慮した際、相対的に希少価値が上がっていると考えられます。

各新カードの採用枚数やスペルの種類等まだまだ構築が収束しないながらも、高いパワーとより明確な役割を手にしたマナリアウィッチ。現時点では、RAGE予選での遭遇率も高いと考えていいでしょう。

2位:撤退コンボロイヤル

JCG Shadowverse Open 19th Season Vol.1 9月29日 ローテーション大会 準優勝
檸檬水選手の撤退コンボロイヤル

先ほど「以前ほどの流行が見られない」としたばかりですが、撤退コンボロイヤルはそれでもなお少なくないプレイヤーにとって、有力な選択肢となっています。直近2大会では出場者の3割強がこのデッキを使用しています。前環境からの変更点は極めてシンプルです。

• 《わがままな呼び出し》のローテーション落ち
• 新カード《天使の加護》の採用

ローテーション落ちしたカードは《わがままな呼び出し》1種類のみですが、《劇的な撤退》と《光耀の標・ミストリナ&ベイリオン》サーチのコンボによりバーストダメージを実現していたこのデッキにとって、サーチカードの減少は片腕をもがれたに等しい影響です。とはいえ、引き続き《アームドバトラー》や《陽だまりの邂逅》が現役なため、頻度こそ落ちますがバーストダメージの捻出は可能となっています。精度が落ちてなおこのデッキが高い評価を受けていることからも、逆説的に狂乱ヴァンパイアの回復力が環境に与えているインパクトをうかがい知ることができます。
《わがままな呼び出し》に代わって採用が増えている《天使の加護》も守護フォロワーの突破や打点補助として独自の役割を持っており、相対する側はよりシビアな防御を要求されるようになっています。

前環境から変更箇所が少ないため簡単な説明となりましたが、裏を返せば前環境で撤退コンボロイヤルを使った / 使われたことで培ってきた経験は、この新環境初期にあって価値あるものとなっています。今回のRAGE予選では、前環境からの経験値がより実戦的に勝敗に結びついてくることも十分に考えられそうです。

3位:狂乱ヴァンパイア

JCG Shadowverse Open 19th Season Vol.2 10月1日 ローテーション大会 3位タイ
Rideru選手の狂乱ヴァンパイア

今環境から一躍最前線に姿を現したのが狂乱ヴァンパイアです。以前から度々コンセプトカードの追加を受けてきましたが、新カードパックでこれでもかと狂乱軸のカードを追加し、満を持して競技シーンに躍り出てきました。こちらも直近2大会では出場者の3割強が採用したデッキです。久しぶりの競技シーン入りにつき、変更点ではなくデッキの特徴を整理していきましょう。

【長所】

• 狂乱状態における各カードのパフォーマンスが非常に高い
• 多彩な回復手段を持ち、継続的なダメージに対抗しやすい
• 10PP以降、《闇喰らいの蝙蝠》によるバーストが可能

【短所】

• 《終幕の吸血鬼・ユリアス》で瞬間的な手札枯渇が起こりやすく、一時的に選択肢の制限がかかる
• 10PP到達までは相手リーダーへのダメージ規模が小さく、盤面を確保できない限り決定力に欠ける

自傷能力(自分のリーダーにダメージを与える能力)を持つカードが大量に採用されており、4から5ターン目に安定して狂乱状態に入ることができるようになったことで、狂乱ヴァンパイアは中盤戦をリードする存在になりました。狂乱状態下ではいずれのカードもコストに見合わない活躍を見せ、特に《ダークエンペラー》に手を焼いたプレイヤーは既に大勢いるのではないでしょうか。中盤戦で十分なリードを作ることができれば、盤面を絡めながらじりじりと相手の体力を詰めていける強力なデッキとなっています。
一方で代表カードの《ダークエンペラー》でさえ、盤面に残ってやっと7点ダメージというほどに、即効性のある大ダメージを持たない特徴があります。細かい削りにしても、《デモンディーヴァ》や《ブラッディネイル》は相手の盤面に依存するため、思い切って空の盤面を渡されてしまうと思うようにダメージを出せない展開がしばしばあります。20点近い体力を蒸発せしめるバーストダメージを叩き出せるデッキに対しては、かなり積極的に攻め込まない限り、火力不足につけこまれて大ダメージの準備に時間を使われてしまうと言えるでしょう。

やや辛口の評価となってしまいましたが、デッキ全体の出力が非常に高いことには疑う余地がなく、コンボ色の薄いデッキ全般に対して柔軟に戦っていけるデッキのため、RAGE予選でのマッチアップも十分に考えられるデッキタイプです。自身が使う場合も、対コンボデッキを見据えて《ダークエンペラー》の枚数を落としてでも攻撃的なカードを増やすのか、あるいは《ダークエンペラー》の先出しが大きな有利を生むミラーマッチを意識して《ラミエル》や《ゼノ・ディアボロス》を採用するのかなど、環境読みの腕も問われるデッキだと言えそうです。

この他、《クロノウィッチ》という新たなフィニッシャーを手に入れたスペルウィッチや、ウィッチ全般に有効な《セレストマグナ》を構えつつローテーション落ちの影響を受けていないラストワードネクロマンサー、《ジェネシスアーティファクト》の登場でより多彩な攻めを実現したアーティファクトネメシスなどが大会での使用率で追随しています。

JCG Shadowverse Open 19th Season Vol.2 10月1日 ローテーション大会 優勝
命けミズキの宝札選手のスペルウィッチ

JCG Shadowverse Open 19th Season Vol.1 9月29日 ローテーション大会 3位タイ
Yuhi選手のラストワードネクロマンサー

JCG Shadowverse Open 19th Season Vol.1 9月29日 ローテーション大会 予選グループ14 1位
びーびー選手のアーティファクトネメシス

◆ エントリー締切迫る

まだまだ環境は最序盤で、今後一週間だけをとってもどのように流行が動いていくのか予測がつかない状態です。10月9日(土)~10月10日(日)開催の1次予選を皮切りに、1週間間隔で進行していく予選大会はまさに電撃戦となります。「環境を読む力」「環境に即応する力」など、普段とは求められる力量のバランスがやや異なる可能性がある今大会を見事制するプレイヤーはいったい誰なのか。
名乗りをあげるなら、まずは明後日10月3日(日) 23:59締切のエントリーをお忘れなきよう。RAGEの歴史に皆さんの手でまた新たな1ページが、新しいドラマが刻まれていくのを楽しみにしています。

【文・まる】

RAGE Shadowverse 2021 Winter

エントリー詳細
エントリーサイト

※エントリー締切:10月3日(日)23時59分

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賞金

参加賞

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